title banner

福光俊介の「週刊サイクルワールド」<8>ステージレーサーが持ち味を発揮したリエージュ そして戦いの場はジロへ

  • 一覧

 リエージュ~バストーニュ~リエージュは、グランツールで主役の座を狙う総合系ライダーが活躍したレースとなりました。そして、5月に入るとジロ・デ・イタリアが開幕。リエージュで快走を見せた選手たちが、3週間の長き戦いへと向かいます。

アルデンヌ勝者は宇都宮が育てた!? ジャパンカップのジンクスは本物か

 “アルデンヌクラシック”3レースの中でも、リエージュ~バストーニュ~リエージュはひときわ歴史と格式が高い。また、数カ所設けられる登坂区間1つひとつの距離が長く、その特徴から“山のレース”とも言われる。他の2レース(アムステルゴールドレースフレーシュ・ワロンヌ)と比較して、ステージレースで活躍するオールラウンダーやクライマーにもチャンスが巡ってくる。

リエージュ~バストーニュ~リエージュ2013で優勝したダニエル・マーティンと、2位のホアキン・ロドリゲス(左)、3位のアレハンドロ・バルベルデリエージュ~バストーニュ~リエージュ2013で優勝したダニエル・マーティンと、2位のホアキン・ロドリゲス(左)、3位のアレハンドロ・バルベルデ

 前評判通り、今年のリエージュはステージレーサーが続々と上位に名を連ねた。優勝したダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)を筆頭に、2位ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム)、3位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)もグランツールの主役を張る選手。クラシックレースを主戦場とする選手では、エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ プロチーム)の6位が最高。大注目のフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)は7位に沈んだ。

 展開による部分は大いにあるが、後半に動きを見せた選手を見ても、ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、チーム サクソ・ティンコフ)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイ プロサイクリング)と、総合系ライダーの多くがこのレースにスポットを当てていたことは確かだ。

 それにしても、毎年10月に宇都宮で開催されるジャパンカップサイクルロードレース出場経験者の大活躍が目立つ。2008年にイヴァン・バッソ(イタリア、当時リクイガス)が出場停止明けの復帰レースとして臨み、その後ジロ・デ・イタリア優勝など輝きを取り戻したのを機に、あちこちで“ジャパンカップのジンクス”が囁かれるようになった。

2012年ジャパン・カップでは2位のダニエル・マーティンの応援も路面に書かれていた=栃木県宇都宮市2012年ジャパン・カップでは2位のダニエル・マーティンの応援も路面に書かれていた=栃木県宇都宮市

 今年のアルデンヌクラシックの勝者を見ても、アムステル・ゴールドレース優勝のロマン・クロイツィゲル(チェコ、チーム サクソ・ティンコフ)はアスタナ時代の2011年に来日。フレーシュ・ワロンヌ優勝のダニエル・モレノ(スペイン、カチューシャ チーム)はケス・デパーニュ時代の2009年に参戦し2位。そしてマーティンは2010年に圧倒的強さで優勝、2012年の2位も記憶に新しい。

 アルデンヌクラシック勝者は宇都宮が育てた――あながち嘘ではないのかもしれない。白状すると、筆者はこのジンクス、単なるネタとしてしか見ていなかったのである。もっとも、これまでさまざまな事情でジャパンカップを観戦できず、多少のやっかみが含まれていることは否めない(笑)。そんなわけで、今年は宇都宮へ足を運び、このジンクスにあやかる可能性を秘めたライダーを目に焼き付けようと思っているのだ!

【2012 JAPAN CUP】レンズが追ったトップ・プロ選手の表情と息遣い ジャパンカップ・フォトギャラリー(レース編)

合言葉は“FIGHT FOR PINK” いよいよジロモードへと突入

 春のクラシックが終わると、焦点はグランツールへ。まずは5月4日開幕のジロ・デ・イタリアだ。

2013年のジロ・デ・イタリアのスタートはナポリ2013年のジロ・デ・イタリアのスタートはナポリ

 ジロ開幕に向けて、公式TwitterやFacebookでたびたび打ち出しているのが“FIGHT FOR PINK”とのキーワード。「PINK」はもちろんマリア・ローザを意味する。

 マリア・ローザ争いの主役として早くから5人の選手がクローズアップされている。ディフェンディングチャンピオンのヘシェダル。地元期待のバッソ、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)。8年ぶりの出場となるサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)。そして昨年のツール・ド・フランスに続く“変則ダブルツール”を目指すブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ プロサイクリング)。彼らはかねてから出場意思を示しており、タイムトライアルの総距離が長い今回のステージ構成にフィットしているあたりもポイント。

 さらには、このほどカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)が出場を表明。“FIGHT FOR PINK”のメインキャストは、ここ数年とは比較にならないほどの豪華さだ。

 これから続々と各チームのロースターが発表される。現在開催中のツアー・オブ・ターキー(トルコ、UCI2.HC)、4月23日開幕のツール・ド・ロマンディ(スイス、UCIワールドツアー)を最終調整、ならびに最終選考レースと位置づけるチームが多い。まずは、この2レースを追ってみてほしい。有力選手たちの調子がチェックできるはずだ。

今週の爆走ライダー: ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)

「爆走ライダー」とは…
1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 筆者の身近にヘシェダルの熱烈なファンがいる。昨年のジロ・デ・イタリアでの激走がきっかけだ。以降、ことあるごとに彼の動向を質問される。マーティンの優勝を演出したリエージュでの好アシストにも、どうやらかなり興奮していたらしい。

 確かに、彼がアタックすると、何かが起こるような気がしてワクワクさせられるものがある。

2012年のジロ・デ・イタリアでステルヴィオ峠を駆けるライダー・ヘシェダル。後ろにはホアキン・ロドリゲスが続く2012年のジロ・デ・イタリアでステルヴィオ峠を駆けるライダー・ヘシェダル。後ろにはホアキン・ロドリゲスが続く

 2010年のツール・ド・フランス。パヴェ(石畳)が取り入れられた第3ステージで逃げに入り、粘りに粘って先頭集団でゴール(ステージ4位)。総合6位という最終成績につなげた。2011年のツール第16ステージでも、当時チームメートだったトル・フースホフト(ノルウェー)とともに逃げ切り、勝利をアシストした。それらのインパクトが強いのだと思う。

2012年のジロを制しマリア・ローザに身を包んだライダー・ヘシェダル2012年のジロを制しマリア・ローザに身を包んだライダー・ヘシェダル

 昨年のジロ・デ・イタリア総合優勝がキャリアのハイライト。一方で、自身のリザルトに直結しなかったとしても、チームの勝利に関与するなど何らかの結果を残すあたりに、本当の強さがあるのではないかと見ている。

 アシストとして確実に仕事をこなした春のクラシックを経て、エースとして臨むジロが待つ。2連覇なるか。今度は山岳ステージで決定的なアタックを繰り出すシーンが見られるのではないだろうか。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

2012 ジャパンカップ 週刊サイクルワールド

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載