エウスカルテルチーム インサイドリポート<2>明日への活力

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 ――「フレッチャ、疲れたよ」

 ベテラン選手のミケル・アスタルロサが声を掛けてきた。まだツールは始まったばかりだし、彼らの仕事場である山岳ステージにも入っていない。

 「なぜ?」と問いただしてみた。すると彼は「落車が多くて、参っちゃうよ」と肩をすくめてみせた。

 1日200kmにも及ぶコースでは、路面のコンディションが次々と変化するだけでなく、集団走行では常に周りの挙動に注意していなければならない。選手がひとり転んだだけで、数十人の選手が巻き込まれてしまう。実際、第3ステージのゴール直前の上り坂では、落車の嵐が起きた。

マッサージが終わると夕食の時間。 チーム専属シェフが帯同している ©和田やずかマッサージが終わると夕食の時間。 チーム専属シェフが帯同している ©和田やずか

 そんな選手達が、ようやく緊張から解き放たれるのが夕食の時間。エウスカルテルチームの場合、ビュッフェ形式だ。ひと皿目は、黙々と食べる。例えるなら、まるで蟹を食べているときのように寡黙だ。それほどお腹が空いている。

 ふた皿目になると、少し落ち着いて談笑が始まる。レースでの出来事を中心に冗談も言い合う。まるで本当の兄弟のように仲がいい。

 食事は単にエネルギーの補給のみならず、選手が笑顔を取り戻す大切な時間だ。

地元から持参してきたパスタとチーズ。 大盛りを2回食べる選手もいる ©和田やずか地元から持参してきたパスタとチーズ。 大盛りを2回食べる選手もいる ©和田やずか
食事中にサインを貰いに来た少年。選手も快く応じ、 「将来は選手になりたいかい?」と声をかけた ©和田やずか食事中にサインを貰いに来た少年。選手も快く応じ、 「将来は選手になりたいかい?」と声をかけた ©和田やずか

写真・文 和田やずか

和田やずか和田やずか(わだ・やずか)
1997年よりフリーランスで写真を撮り始め、一般誌や広告などのほか、自転車関係の写真を多く手がける。ツール・ド・フランス出場のプロチーム「エウスカルテル・エウスカディ」(スペイン)に帯同するのは今年で5回目で、チームメイトから呼ばれるニックネームは「フレッチャ」。レース以外に選手が見せる表情や舞台裏などを写す。

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エウスカルテルチーム インサイドリポート ツール・ド・フランス2012

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