宮澤崇史選手らと同じコーチングが受けられるプライベートコーチングスタジオ「SMART COACHING」が東京・四谷にオープン

宮澤崇史選手(サクソ・ティンコフ)など国内トップアスリートのプライベートコーチングを行う安藤隼人さんが4月2日、東京・四谷に自転車競技を専門としたコーチングスタジオ「SMART COACHING」(スマートコーチング)をオープンする。オープンに先駆けて、マスコミ関係者にスタジオの施設公開と、トレーニングサービスの体験会が開かれた。
代表兼コーチの安藤さんは、鹿屋体育大学の自転車競技部の主将を務め、卒業後は高所登山の帯同業務を経験。その後、プロスキーヤーの三浦雄一郎、豪太さんの主宰するミウラドルフィンズで、一般登山者への高所順応トレーニングに関する運動指導や、低酸素室を使用した自転車選手へのトレーニング指導を行ってきた。
竹谷賢二選手や小田島(片山)梨絵選手などオリンピック選手や、プロボクサーといったトップアスリートへの指導だけでなく、一般向け特定保健指導やコンサルティングなどの指導実績も豊富。現在は「Cyclist」のコラムでおなじみの西加南子選手をはじめとして、体験会当日に同席した岡田征陽選手(競輪S級S班)、小室雅成選手(イナーメ)など、国内20人以上のトップ選手のトレーニング指導に当たっている。
低酸素室など最先端機器を備えたスタジオ

「SMART COACHING」には標高3000m以上の低酸素状態を作り出すことのできる「低酸素室」が備わっている。東京都心にいながらドア1枚で、「乗鞍高原ヒルクライム」のゴール地点まで一気に駆け上がったのと同じ環境に行くことができる。
また、ペダル1回転の中でどの場所で一番力が発生しているのかを左右別々に測定することのできる「ワットバイク」というトレーニング機器や、ハイスピードカメラなどの動作測定機器、血中酸素飽和度測定器や心電図計、また血中乳酸濃度測定器といった、大学や医療機関でしかお目に掛れないような生理学的測定機器も完備している。

安藤さんは「少しでも強くなりたいと願う人に、無駄な努力をすることなく目標を達成してほしい。その気持ちに応えたい」と語る。プロ選手に限らず、時間の制約の多いアマチュアアスリートにも、このような施設を使ったハイレベルなトレーニングメニューは有効だという。
また、「日本人が世界と戦えるようになるには、ワットといった数値をクリアするだけでは足りない」という。同じパワーでもそれをどう出すか、それが上手く行かない時はどう補正をかけていくのか、一人一人に合わせた形でアプローチしているという。
スタジオのオープンには宮澤選手もビデオメッセージを寄せた。その中で宮澤選手は「海外にはメニュー時間や強度の数値などを指示されることはあっても、これほどきめの細かい指導受けたことはない。今までになかったコーチング」と語っていた。
低酸素トレーニングを実体験

筆者も低酸素室でのトレーニングを体験した。ドア1枚隔てた真新しいトレーニング室に入ると、特に息苦しい感じもしない。ただ、手に付けている血中酸素飽和度計を見ると、立っているだけで90という数字を割っている。これは医療現場なら酸素吸入を考える数値とのこと。目の前で軽めの指標で運動している小室選手の数値は78で、低地なら余程追い込まないと得ることのできない状態だ。確かに小室選手の顔は、酸欠の時の色になり始めている。
筆者もワットバイクを漕いでみた。きつくない筈の指標だが、実際には段々と横の人と話すのが苦しく感じてきた。この状況の中でワットバイクの表示を見ながら、「やりたいこと」を正確に意識して運動をこなすのはとても難しい。身体の動きを見た安藤さんから指摘が飛ぶ。さらに撮影した動画を見ながら体の使い方を指導される。
もし、動きの中で筋肉の意識や動作の意識づけに問題がある場合は、すぐに横にあるコアトレーニングの設備を使い補正を掛けてくれる。コアトレーニング中も様々な身体の意識について、その人に合わせた指摘をしてくれる。
この日はわずか10分程度の短いトレーニングセッションだったが、それでも筆者は幾つかの「気付き」を得ることができた。決して安くはない利用料金だが、高級カーボンホイールを購入する資金があるなら、自分の身体の使い方や動かし方の向上に投資してみるのも一つの選択肢ではないだろうか。“モノ好き”の筆者だが、この選択には大いに悩んでしまいそうだ。(レポート 鈴木良則)