工具はともだち<2>愛車のボルトと“お近づきに”なりませんか

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ツール・ド・フランス2012 第5ステージのゴールシーン

 ツール・ド・フランスも盛り上がり、そろそろ本格的な夏を感じます。サイクリストの皆さんにとっては、本気モードで走れる季節到来といったところでしょうか?

 前回、「ボルト・ナットは背を向けながら、お互い別れを惜しんでいる終電前のカップル」というようなお話をしました。この世の中には、様々なカップルがいらっしゃいますよね。それと同じように、ボルト・ナットの世界でも様々な形をしたものが存在します。少しメンテナンスの知識がある方ですと、工具はいっぱい種類があって、揃えるだけでも大変だと思われるかもしれません。

 ただし、ご安心ください。皆さんの愛車に使用されているボルト・ナットの種類は、そんなに多くありません。少ない工具で、ボルト・ナットを締め付けることができるのです。この恩恵は、パーツを組み合わせている自転車メーカーの努力のたまものでしょう。これからメンテナンスを始める方にも朗報ですよね。いくつかの“大親友”と呼べる工具をお持ちいただければ、愛車をいつも最適な状態に保つことが可能です。

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 どんなボルトが使用されているのかというと…

自転車に使われているボルト自転車に使われているボルト

 自転車で一般的に使用されているボルト・ナットには、図の右に描かれているような「六角穴付きボルト」があります。ステムや、ディレーラーの取り付け部分、シートなど、主要な箇所にはこのボルトが使用されています。ただ、穴の大きさにはいくつかの決まったサイズがあって、そのサイズ毎に工具が必要です。

 世の中には、JISなどの規格で決められた様々な形状のボルト・ナットが存在しますが、なぜ自転車では六角穴付きボルトが主流になったのでしょうか。

 近年の自転車は、多くのメーカーが、軽量化やデザイン性の向上などに対応すべく新製品を開発しています。その中で、「デザイン性を損なわない」「簡単に取り付けができ、しかもボルトが緩んだりしにくい」「狭い箇所でもきっちり締め付けが出来る」等々、サイクリストの皆さんがかっこよく、気持ちよくサイクリングライフを楽しめるような部品が求められます。

 ボルトという細かな部品までこだわり抜いた結果、デザインが無骨でなく、締め付けや取り外しが確実にでき、緩みにくい六角穴付きボルトに収斂されていったのです。

 すっきりしたデザインの自転車なのに、ボルト部分の突起が不恰好…なんて考えてしまうと、それだけでテンションが下がってしまいますよね。サイクリストの気持ちまで考えてくれているメーカーさんに、感謝の一言です。

「マルチツール」のアーレンキーでステムを締める「マルチツール」のアーレンキーでステムを締める
ペダルは長いアーレンキーで締めるペダルは長いアーレンキーで締める

 一度、皆さんの愛車をじっくりご覧になって下さい。今回ご紹介したボルトと少し“お近づきに”なれるかもしれませんよ。

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 前回の記事は「フェイスブック」でシェアしてくださる方もいて、大変うれしく思っています。直接お会いできなくても、「ご覧いただいている」と思うと気合が入ります。私も先日、少し早起きして、「ステテコ」をジャージに履き替え、愛車でかるうく走ってきました。たくさんのサイクリストの方々に出逢い、何か繋がりを得たような気がしました。

 次回は、ボルトを締めたり緩めたりする“親友たち”を紹介します。

小池覚(こいけ・さとる)
京都機械工具(KTC)へ入社後、販売企画や商品開発に携わる。学生時代から二輪、四輪が趣味で、整備経験が豊富。自転車は実は始めたばかりだが、工具のプロとして、サイクリストにも整備の“いろは”を伝えられることに燃えている。

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