那須のサイクリング拠点「ブラーゼンベース」も設置コルナゴが期待する“勝てるチーム”へ 監督・主将・社長が語る「那須ブラーゼン」の未来

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インタビューに答える清水良行キャプテンインタビューに答える清水良行キャプテン

 3月23日、地元の栃木県那須塩原市でお披露目パーティーを開いて始動した地域密着型ロードレースチーム「那須ブラーゼン(BLASEN)」。中田真琴監督(36)、清水良行キャプテン(30)、そしてチームの運営会社「ナスポ」(NASPO)の前田幸雄社長に、チームの意気込みや那須にかける想いを聞いた。

「那須ブラーゼン」地元で初のお披露目パーティー


【映像:シクロチャンネル】 
 

将来は欧州への選手派遣も

中田真琴監督中田真琴監督

 那須ブラーゼンが駆るバイクは、イタリアのコルナゴ。ヨーロッパを中心とした長い自転車レースの歴史の中で、選手と共にレースを“戦い抜いて”きた名門ブランドだ。機材供給先としては、日本のエース新城幸也が所属する「チーム ヨーロッパカー」(フランス)などいくつもの有力チームが知られている。

 実は中田真琴監督は、コルナゴの日本総代理店「エヌビーエス」で、コルナゴのブランドマネージャーを務めている。「監督は初めて」という今回の抜擢は、機材供給の交渉を進めるうちに決まったのだそうだ。

 「コルナゴは、PR目的でバイクの供給はしません。レースで実際に勝てるチームにだけ供給しています」と強調する中田監督。那須ブラーゼンをサポートするにあたっても、「地域のマスコット的な存在なのか、レースに本気に取り組むのかで激しく議論を交わしました。最後には、『中田さんにそれだけのビジョンがあるなら、ぜひ監督に』と声をかけられた」と振り返った。

 中田監督は、選手生活23年というキャリアを誇り、国内だけでなくヨーロッパやアメリカでも選手として走った経験を持つ。その中で、国内にジュニアの人材が少ないことを強く認識してきたという。那須ブラーゼンでは、地域密着型というチームの特性を生かして、ジュニアの子供たちと触れ合いながら若手を発掘をしていく考えだ。

 また「当然、選手に自己研磨してもらうことが前提」とした上で、本場ヨーロッパへ選手を送り込むビジョンも描いている。「全員がヨーロッパを目指すわけではないが、例えば18歳の雨澤毅明といった若い選手には、ヨーロッパを目指すべくトレーニングできる機会も提供したい」と続けた。

チームカーやバイクとともにポーズをとる那須ブラーゼンのメンバー。右から中田真琴監督、清水良行、大場重幸、眞坂哲平、小坂光、若杉厚仁、雨澤毅明チームカーやバイクとともにポーズをとる那須ブラーゼンのメンバー。右から中田真琴監督、清水良行、大場重幸、眞坂哲平、小坂光、若杉厚仁、雨澤毅明
雨澤毅明雨澤毅明

 将来的には、コルナゴがスポンサーとなっている海外チームへ選手を派遣する可能性もあるという。ジュニアやアンダーカテゴリーのチームへの派遣が有力だ。中田監督は、「那須ブラーゼンからヨーロッパカーに派遣された若い選手が、新城幸也選手のチームメートになる…といった未来もあるかもしれない」と期待を膨らませた。

那須に愛着、地元の反応も上々

清水良行キャプテン清水良行キャプテン

 すでに那須地域でトレーニングを行なっている清水良行キャプテンは、地元の人たちからの、期待の込められた“いい反応”をひしひしと感じている。日本屈指のリゾート地である那須高原に、愛着もわいてきた。趣味がカフェ巡りと話す清水選手にとって、そういった休憩スポットがたくさんある那須は「うってつけ」。また地形についても「山あり平坦路ありで、練習環境として最適」と評価している。

 栃木県のもうひとつのロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」に対しては、「こつこつ努力を積み重ねていけば、日本一になれるという先輩チーム」と讃えた。そして「レースでは、ライバルとして本気で競い合っていく」と意気込みをみせた。

 清水選手は、若手育成に関して、監督同様に取り組んでいきたい考えだ。「自転車教室を開催したり、地元の小学生のジュニアチームをつくったり、発掘の場を設けたい。50歳以上のシニアチーム構想もある」と語った。

 普段はナスポの職員として勤務する。そのことについては、「初めてのサラリーマン。大変だけどやりがいがある」と付け加えた。

眞坂哲平眞坂哲平
小坂光小坂光
大場重幸大場重幸
若杉厚仁若杉厚仁

サイクリストにやさしい那須高原へ

 ブラーゼン設立の直接のきっかけは、宇都宮ブリッツェンの廣瀬佳正ゼネラルマネージャーから2012年春、自転車レースの文化を共に盛り上げようと、那須地域にチーム設立を勧める熱烈なラブコールだった。10月にはチーム運営会社のナスポが設立され、メーンスポンサーの「じゃらん」をはじめ、地元企業を含むスポンサー15社から1250万円の運営資金が集まった。名実ともに地元の応援を受けての船出だ。

前田幸雄ナスポ社長前田幸雄ナスポ社長

 しかしその前段では、2年前に始まった「那須高原ロングライド」の成功もブラーゼン設立に大きな影響を及ぼしている。大会は、標高1915mの那須岳(茶臼岳)のふもとに広がる那須高原を“自転車の聖地”へしようとスタート。折しも東日本大震災による風評被害が大きかった同地域で、地域活性化を担う重要なイベントになったという。

 「初回では、わずか2カ月足らずのエントリー期間に800人の参加者が集まり、これは那須地域に対するエールだと力が入った」と話すのは、ナスポの前田幸雄社長。翌2012年には1500人が参加するイベントに成長したと同時に、地元の人たちの自転車に対する意識が変わってきたのを感じたそうだ。今年も7月7日に開催を予定している。

 那須高原ではいま、飲食店や観光施設がサイクリストのためにバイクラック、空気入れ、チューブなどの設備・備品を用意する取り組みが進んでいる。「サイクルピット」と呼ばれるこれらの施設は、現在は70カ所ほど展開。さらに、サイクルピットや、サイクリングコースの距離、高低差などが記載され、携帯に便利な「サイクルマップ」も作成・販売されている(200円)。

 前田社長は、「バイクラックは、『たとえジャージ姿であってもウェルカムですよ』という意思表示」と話す。

週末のアウトレットに展示されたチームカーに買い物客も興味津々=那須ガーデンアウトレット週末のアウトレットに展示されたチームカーに買い物客も興味津々=那須ガーデンアウトレット

 4月24日には、那須高原のサイクリングを楽しむための拠点、「那須ブラーゼンベース」の開設が予定されている。レンタサイクルを始め、那須ブラーゼンの選手が“ガイドライダー”となり、那須高原を案内する催しも企画しているという。

 前田社長は、「大会の試走を含め、楽しければ何度も訪れてくれるのがサイクリスト。これがまさしく観光の原点なのでは」と、自転車と観光の親和性を強調する。また「ファンクラブ特典にも観光地ならではのメリットを付加する」として、チームを応援することが那須の応援につながるというようなファンサービスを作りたいと意気込んでいる。

文 柄沢亜希・写真 伊沢利幸、柄沢亜希

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