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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<2>春の2大ステージレース終了! 心躍る“ネクストジェネレーション”の台頭

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 3月上旬恒例のステージレース、「パリ~ニース」(3~10日)と「ティレーノ~アドリアティコ」(6~12日)が終了しました。天候に左右されながらも、それぞれに好レースが展開されましたね。

次世代のプロトンを担うライダーたちの活躍

 ティレーノ~アドリアティコにビッグネームが揃ったことで、パリ~ニースは新たな力を試す絶好の機会に。結果、総合トップ10のうち半数がプロ5年目以内の選手が占めた。

「パリ~ニース」総合優勝のリッチー・ポート(オーストラリア、スカイ プロサイクリング)「パリ~ニース」総合優勝のリッチー・ポート(オーストラリア、スカイ プロサイクリング)

 総合優勝のリッチー・ポート(オーストラリア、スカイ プロサイクリング)は、ブラッドリー・ウィギンス、クリス・フルーム(ともにイギリス)らのアシストとしておなじみだが、チーム サクソバンク時代の2010年にはプロ1年目ながらジロ・デ・イタリアでマリア・ローザを3日間着用。来シーズンは、そのジロでエースを務めたいと意気込む。アシストに専念する今は、総合系トップライダーになるための投資期間だ。

 アメリカ人コンビ、アンドルー・タランスキー(ガーミン・シャープ)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(BMCレーシングチーム)はそれぞれ総合2位と4位。特にタランスキーは、毎ステージアシストが手薄な状況で重要局面を乗り切った点は充分に評価できるだろう。チームからは「モンターニュ・ド・リュールの頂上ゴールである第5ステージと、山岳TTの第7ステージを踏ん張れば何とかなる」と言われていたとか。

 一方、ヴァンガーデレンの目下のねらいは5月のツアー・オブ・カリフォルニア。得意の山岳、TTと揃うアメリカ大陸最大のレースでのタイトル獲得に期待したい。

「パリ~ニース」第3ステージでテージ優勝を決めたアンドルー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)「パリ~ニース」第3ステージでテージ優勝を決めたアンドルー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)は「ツール・ド・フランス2012」で新人賞ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)は「ツール・ド・フランス2012」で新人賞
ミハル・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ)は「ティレーノ~アドリアティコ」第4ステージで勝利ミハル・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ)は「ティレーノ~アドリアティコ」第4ステージで勝利

 ティレーノ組では、22歳のミハル・クフィアトコフスキー(ポーランド、オメガファルマ・クイックステップ)が総合4位と健闘。初日のチームTTで好位置につけていたことは大きいが、山岳ステージでもトップライダーと対等に渡り合った。元々TTと得意とし、2008年にはジュニア世界選手権でアルカンシエルを獲得している選手。

 サイクルロードレース新興国が産んだ“ネクストジェネレーション”。近いうち、彼らがグランツールで総合優勝する日がやってくるかもしれない。

3月17日開催「ミラノ~サンレモ」の展望

 今年最初のビッグクラシック、「ミラノ~サンレモ」まであと数日。あくまで個人的見解だが、上りはもちろん、下りをいかに巧くこなすかもポイントになると見ている。ポッジオの頂上付近でアタックを決めて、ゴールまでの下りで逃げ切る。この動きを成功させた選手に勝機があるのではないか。

※レースについては、年始に書いた「ロードレース2013シーズン展望<2> シーズン前半編」をぜひ参考にしていただきたい。

 それを踏まえて考えると、優勝候補筆頭はペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)。MTBで鍛えたダウンヒルテクニックを駆使し、“大仕事”をやってのける可能性を感じる。上りでの対応力はもとより、集団スプリントになってもチャンスは充分だ。

「ティレーノ~アドリアティコ」でヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロサイクリング)と走るペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)「ティレーノ~アドリアティコ」でヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロサイクリング)と走るペテル・サガン(スロバキア、キャノンデール)

 さらには、ティレーノ~アドリアティコ総合優勝のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロサイクリング)、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、レディオシャック・レオパード)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)あたりも屈指のダウンヒラー。

 スプリンターも黙ってはいない。元世界王者であるマーク・カヴェンディシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)や、マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)は上りをクリアできれば優勝のチャンスが一気に膨らむ。オリカ・グリーンエッジは、昨年優勝のサイモン・ゲランス(オーストラリア)の調子が上がらず、ゴスにかかる期待は大きい。

 ポッジオで抜け出した選手と集団が「追いかけっこ」を繰り広げるのか、はたまたスプリンターチームが主導権を握ってゴール前に現れるのか。筆者としては前者が良いなぁ…なんて思っていたり。追走集団が迫る中、先行する数名がゴール前で牽制するシーンとか、結構スリルあるじゃないですか!(笑)

今週の爆走ライダー: マウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・セッレイタリア)

「爆走ライダー」とは…
1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

「ツール・ド・フランス2010」第9ステージ。チームのエース、カデル・エバンス(右、オーストラリア)を抱きとめるマウロ・サンタンブロージオ(イタリア)「ツール・ド・フランス2010」第9ステージ。チームのエース、カデル・エバンス(右、オーストラリア)を抱きとめるマウロ・サンタンブロージオ(イタリア)

 2010年ツール・ド・フランス第9ステージ。マドレーヌ峠で大きく遅れ、マイヨ・ジョーヌを失ったカデル・エバンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)にゴールまで付き添い、涙に暮れるリーダーを慰めていた選手、と言えば思い出される方もいるのではないだろうか。

 現チームに移籍した今年、エースにふさわしい好走を連発。1月のツール・ド・サンルイス(UCI2.1、アルゼンチン)では総合6位、2月16日のトロフェオ・ライグエリア(UCI1.1、イタリア)では3位。そしてティレーノ~アドリアティコでは総合7位に。登坂力が向上している印象を受ける。

 ヴィーニファンティーニ・セッレイタリアは今年、ステファノ・ガルゼッリ、ダニーロ・ディルーカ(ともにイタリア)と元ジロ王者を補強したが、サンタンブロージオも加わり、5月のジロ本番が楽しみになってきた。それにしても、かつてはスプリントステージで上位に入るような選手だったのに、いつの間にか総合争いをするようになっているのだから驚きである。

「ティレーノ~アドリアティコ」でも好走を見せたマウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・セッレイタリア)「ティレーノ~アドリアティコ」でも好走を見せたマウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・セッレイタリア)

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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