平野由香里さん、山本元喜選手、畑中勇介選手が魅力語る人気インスタグラマー、キナンサイクリングチームと走るWAKAYAMA800・熊野編①

by 浅野真則 / Masanori ASANO
  • 一覧

 和歌山県といえば、海や山、川などの自然が織りなす絶景スポットや世界遺産の聖地・熊野などでおなじみだが、これらをサイクリングで楽しめるサイクリング王国でもある。県内全域のおよそ800kmの道路にサイクリストのためのブルーラインが引かれ、それらがWAKAYAMA800という大きなサイクリングコースになっていて、その一部を走るだけでも魅力的なサイクリングコースになる。そこで今回はWAKAYAMA800の魅力的なコースを紹介する記事の第2弾として、和歌山県東部の熊野エリアにスポットを当てて2つのモデルコースを紹介。自転車界の人気インスタグラマーの平野由香里さん、キナンサイクリングチームの山本元喜選手と畑中勇介選手がコースの魅力を語る。

キナン選手と集合! Photo: Masanori ASANO

平野由香里さん(中央)

 音楽と融合した室内バイクエクササイズや親子体操教室の講師を務める傍ら、サイクルイベントやツアーの企画運営にも携わり、MCとしても活動する。箕面市自転車特命大使も務める。デローザジャパンとパートナーシップを結んでいる。
インスタグラム:hirano_yukari_official

山本元喜選手(左から2人目)

 2016年に日本人として5人目のジロ・デ・イタリア完走を果たし、2018年には全日本選手権ロードレースを制したキナンサイクリングチームの中心選手。ブログやSNSでの情報発信も盛んに行っている。

畑中勇介選手(右から2人目)

 2021年シーズンからキナンサイクリングチームに加入。2017年に全日本選手権ロードレースを制したほか、2010、2011、2015年にJプロツアー個人総合優勝を獲得するなど、長年国内ロードレースシーンのトップ選手として活躍している。

【コースその1】
ツール・ド・熊野の舞台から本宮大社へ。シメは熊野の名湯!

コース概要

 ツール・ド・熊野の第1ステージ「赤木川清流コース」を走り、清流赤木川沿いをサイクリング。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録資産の熊野本宮大社や大斎原を参拝し、熊野参拝時の湯垢離の地・湯の峰温泉の温泉街を散策。シメに川湯温泉でサイクリングの疲れを癒す。温泉と世界遺産・熊野を存分に堪能できるコース。

アクセス

・マイカーの場合
 今回紹介する川湯温泉を発着するルートを走る場合は、新宮からの公共交通機関がバスかタクシーしかないので、マイカーで現地へ来ることを推奨する。その場合、川湯温泉の宿泊先に駐車させてもらう。数時間程度であれば川湯温泉の公共の無料駐車場を利用してもよい。

・公共交通機関の場合
 JR新宮駅から自走で本宮方面を目指す健脚向けのプランになる。1日目は新宮から赤木川清流コースを経て川湯温泉に投宿。1日目の途中までツール・ド・熊野第1ステージのパレード走行からレースのコースをトレースすることになる。翌日は湯の峰温泉を経て、本宮大社を参拝し、JR新宮駅に戻る。

熊野川の絶景ルートからツール・ド・熊野の舞台へ

 スタート地点は川湯温泉。国道168号へ出て、熊野川に沿って10km以上道なりに進む。このあたりは熊野川の雄大な流れを眺めながら走れる絶景の道。熊野川はかつて本宮大社から新宮市の熊野速玉大社に向けて参拝する際に使われた“川の熊野古道”だったそうだ。

 3つめのトンネルを抜け、対岸に渡る橋をくぐったらすぐに右折。丁字路を右折すると程なくツール・ド・熊野第1ステージの「赤木川清流コース」に入る。

ツール・ド・熊野第1ステージの舞台・赤木川清流コース。清流・太田川沿いを走る気持ちのよいサイクリングコースだ Photo: Masanori ASANO

 赤木川清流コースは、熊野の山から流れ出て熊野川に注ぐ赤木川を遡るように走り、熊野古道・大雲取越の終点の小口の集落を折り返す全長15kmほどの周回コース。序盤は川を左手に眺めながら走れるほぼフラットな地形だが、ひとつ目のトンネルの手前は、短い上りがある。トンネルの中は暗いので、明るめのライトがあると安心だ。2つめのトンネルを抜けるとすぐ、分岐を左折し、小口の集落へ。このあたりは道幅が狭くなるので、スピードに注意しよう。突き当たりを右折し、赤木川を渡って県道44号との交差点を右折したら折り返しだ。

周回コースに入ってすぐに赤木川の近くに下りられる場所がある。小さな木の鳥居が目印 Photo: Masanori ASANO

 折り返し地点からいったん下ってすぐにトンネルまで短い上り、この先は下り基調だ。折り返し点から7kmほど進んだところで左折すると、第1ステージのKOMへの上りだ。最大勾配10%以上の短くて急な上りを越えて集落を抜けると、フィニッシュ地点の熊野川温泉さつきの前に出る。プロ選手の激しいバトルをイメージして走るもよし、のんびりサイクリングペースで走っても楽しむのもよいコースだ。

小口の集落を折り返してすぐ、トンネルまでの短い上りにクマノザクラが咲くポイントがある Photo: Masanori ASANO

平野さん「クマノザクラが咲く写真映えスポットも」

 赤木川の清流沿いにのどかな景色が広がっていて、交通量も少ないので気持ちよく走れるし、とてもすばらしいサイクリングコースだと思いました。川の近くに下りられる場所があったり、折り返し地点の小口の集落付近におよそ100年ぶり見つかった野生種の桜・クマノザクラが咲くポイントがあったり、SNS映えするポイントもたくさんあります。上りも少しありますが、それほど長くないので、マイペースで走れば問題ないはずです!

山本選手「サイクリングペースで走るからこそ見えるものがあった」

 毎年ツール・ド・熊野の第1ステージで走る赤木川清流コースをサイクリングペースで走ると、気付かなかった魅力を感じられて新鮮でした。いつもは前の選手のお尻とか後輪とかを見て、小口の集落から折り返すところとかで集団が伸びるので、歯を食いしばって集団に食らいついていく印象しかないんですよね(笑)。サイクリングで走ってからツール・ド・熊野を見に来ていただくと、プロ選手たちの速さを体感していただけるはず。ぜひ応援に来てください!

畑中選手「レースの時はKOMの上りとかゴールスプリントに注目」

 自分もサイクリングペースでこのコースを走ったのは初めてだったので新鮮でした。サイクリングペースで走ると気持ちいいコースだと気付きました。レースではKOMへの短くて急な上りやフィニッシュ前のゴールスプリントはプロレースの迫力を感じられるのでオススメです。僕はKOMへの上りが得意なので、ここでカッコイイ姿を見てください(笑)。

熊野本宮大社から世界遺産のいで湯・湯の峰温泉へ

 赤木川清流コースをあとにし、国道168号を熊野川を遡るように進み、熊野本宮大社方面を目指す。本宮大社までは3つトンネルがあり、後半の2本は長めなので、明るいライトとテールライトは必須だ。

 熊野本宮大社前には、和歌山県世界遺産センターという施設がある。熊野の歴史や世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の概要を紹介する常設展示があるので、参拝前に予備知識を得ておくと参拝をより楽しめる。

和歌山県世界遺産センターには聖地・熊野を描いた那智参詣曼荼羅の複製が飾られている Photo: Masanori ASANO

 熊野本宮大社は、熊野の聖地・熊野三山のひとつ。熊野三山と伊勢神宮や高野山、吉野などの聖地を結ぶ熊野古道と呼ばれる道を含め、「紀伊山地の霊場と参詣道」という世界で2例しかない聖地と巡礼の道がセットになった世界遺産になっている。

熊野三山のひとつ、熊野本宮大社。世界遺産「紀伊半島の霊場と参詣道」の登録資産だ Photo: Masanori ASANO
熊野本宮大社の表参道の鳥居前には自家焙煎コーヒーを楽しめるカフェも。コーヒー(400円)と熊野産の蜂蜜を使ったくまみつカステラ(250円)で一服(価格は税別) Photo: Masanori ASANO
熊野本宮大社にほど近い川湯温泉の民宿・大村屋の熊野古道弁当。高菜が巻かれたおにぎりめはり寿司をはじめ、旬の地元食材を使って手作りされている。1100円(要予約) Photo: Masanori ASANO

 熊野本宮大社の本殿は石段を登ったところにあるので、歩きやすいスニーカーなどの靴が必須。道中の安全を祈願していこう。お参りの後は、日本神話で神武東征の際に道案内役を務めたとされる八咫烏の描かれた安全守を授けてもらおう。

日本神話の神武東征の際に案内役を務めた八咫烏が描かれた熊野本宮大社の安全守 Photo: Masanori ASANO
自転車に取り付ければ安全に目的地まで導いてくれそうだ Photo: Masanori ASANO

 その足でかつて熊野本宮大社があった大斎原にもお参りしていこう。熊野本宮大社は鎮座以来熊野川のほとりにあったが、明治時代に洪水によって流され、現在地に移されたという経緯がある。大斎原への表参道には大鳥居があり、その大きさに圧倒される。境内にはクマノザクラやしだれ桜などが植えられており、桜の時期は見事だ。大斎原の鳥居は遠くから見てもその大きさが分かる。天気がよければ川原の土手で弁当をほおばるのもおすすめだ。

かつて熊野本宮大社が鎮座していた大斎原。熊野川のほとりにある大鳥居が目印だ Photo: Masanori ASANO

 お参りを終えたら世界遺産のいで湯・湯の峰温泉をめざして短い峠を越える。距離は2.5kmほどだが、平均勾配約6%と上りごたえがある。ピークを越えて1kmほど下ると、湯の峰温泉の温泉街だ。この温泉は、熊野本宮大社に参拝する人が身を清めた湯垢離の地で、つぼ湯という世界遺産の登録資産になっている温泉がある(入浴は予約制)。つぼ湯前には湯筒があり、近くの商店で購入した卵や野菜などをゆでて味わうこともできる。

湯の峰温泉の湯筒ではゆで卵や温泉卵も作れる Photo: Masanori ASANO

 湯の峰温泉を堪能したら、スタート地点の川湯温泉へ。川湯温泉は大塔川の川原にわく温泉で、冬期には巨大な露天風呂・仙人風呂も登場する。それ以外にも日帰り入浴が楽しめる施設や宿もあるが、せっかくなら泊まりでゆっくりと温泉を堪能し、疲れを癒そう。

本日の宿●奥熊野 川湯温泉 山水館みどりや

 大塔川沿いに立つ温泉宿。男女別の内湯の大浴場のほか、川原に混浴の露天風呂もある(入浴時には専用の浴衣を着用)。夜は星空を眺めながらの入浴を楽しめる。

和歌山県田辺市本宮町川湯13
電話0735-42-1011

奥熊野 川湯温泉 山水館みどりや Photo: Masanori ASANO
みどりやの夕食の一例。お造りや鍋物が並ぶほか、バイキングから種類豊富なおかずや副菜、押し寿司などの主食を楽しめるのが魅力 Photo: Masanori ASANO

この記事のタグ

和歌山県

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

Cyclist CLIP

スペシャル

自転車協会バナー

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載