「私とCyclist」①山下晃和さん自転車が多くの人が楽しめるスポーツになったのは『Cyclist』があったから

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 Cyclistの情報更新停止まであと4日となりました。連載執筆陣がCyclistとのかかわりを振り返る「私とCyclist」を3月31日までリレー連載します。第1回はモデル兼トラベルライターの山下晃和さんです。

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 『ツーリングの達人』という連載をはじめ、自転車キャンプに関する記事を書かせていただいてましたモデル兼トラベルライターの山下晃和です。『Cyclist』終了は、本当に悲しいです。だいぶ前からお世話になっていて、記事を書かせていただくだけでなく、企画を一緒に考えたこともありました。本業は洋服を着るモデルの仕事なので、他の自転車媒体メイン執筆陣キャストの豪華さにプレッシャーで押しつぶされそうになりながらスタートしましたが、編集の皆さんとキャッチボールをし続けることで、記事を作る楽しさを覚えました。

Cycslitでキャンプの魅力を発信してくれた山下晃和さん Photo: Akikazu YAMASHITA

 じつは僕自身も読者のひとりで、他の連載執筆陣の栗村修さん、マルコ・ファヴァロさん、安井行生さん、岳くん(昼間岳さん)の記事を読んで、色々なことを学びました。Cyclistの忘年会やイベント等で、ご本人たちにお会いする機会もあったので、ふり返ると本当に貴重で有意義な時間だったと思います。

『Cyclist』読者とともに成長した8年

 旅に関しては、大学が外国語系だったこともあり、学生の頃から海外へ何度も赴き、バックパッカーで安宿を繋いで、数カ月放浪したり、自転車でも東南アジアを半年間旅してまわったりした経験もあったので、原稿に生かせる部分もありました。ただ、自転車そのものに関してはほぼ初心者に近かったので、『Cyclist』の読者とともに成長していったといっても過言ではありません。

中南米を自転車で旅していた当時 Photo: Akikazu YAMASHITA

 平成後期の激動の日本において、自転車が一般的なスポーツとしての存在を確立していったのも『Cyclist』があったからだと思います。今の若い人たちの選択肢の多さは羨ましいです。学校に自転車部があったり、レースが頻繁に行われていたり、ライドイベントがあったり、自転車に触れられるシーンも増えました。

 「自転車」とひと括りにしても、ロードバイク、MTB(マウンテンバイク)、折りたたみの小径車、シングルスピード、ランドナー、e-BIKE、そしてここ最近のトレンドでもあるシクロクロスやグラベルロードなど。色々な乗り方、遊び方があり、スポーツとしての魅力やモビリティとしての性能を持ち合わせた珍しい乗り物だと思います。

 全ての車種を普段からまんべんなく乗るようにし、多角的に日本の、そして世界のサイクルライフを見て学んでいきたいと思っていました。そんな中、昨年の新型コロナウイルス感染拡大という目に見えない敵が現れ、改めて自転車がモビリティとしての価値を上げ、ますます拡がりをみせて来たところだっただけに、今回の『Cyclist』の終了のアナウンスを聞いて、それはショックでした。いまだに信じられないのですが。

自転車とキャンプの“橋渡し”役に

 近年は、アウトドアブーム、キャンプブームも加速していたので、自転車とキャンプの記事を書かせていただくことも多かったと思います。これは20代の頃、アウトドアショップでアルバイトしていたこともあって、その頃の先輩方の知識やスキルが役立ちました。

 ここ数年、キャンプ道具の選び方や使い方などはWEB、雑誌、YouTubeを調べればたくさん情報が出てくるので、差異化するためにも私は「自転車ありきの旅」をベースに執筆をしていきたいと考えていました。

自転車×キャンプツーリングをGRX搭載バイクで体感 Photo: Shusaku MATSUO

 他者というよりは、自分の中で比較できるようエンジン付きの二輪であるモーターサイクルキャンプ、自動車でのオートキャンプも同じように楽しんでいます。そうすることで、自転車キャンプのやり方や楽しみが浮き彫りになっていくからです。特に、自転車キャンプは大腿四頭筋がエンジンなので(e-BIKEはまた別ジャンルですが)、スポーツの要素もあり、体力も必要不可欠です。

 正直、キャンプツーリング取材はしんどいことも多かったです。ただ、それを忘れてしまうほどの素晴らしい景色、空気、風、自然が感じられるのも確かです。そして、偶然のような必然のような人との出会いがあります。

 だから止められないのかもしれません。

自転車で行くキャンプツーリングの楽しみを伝え続けたい Photo: Akikazu YAMASHITA

 キャンプは答えというものがなく、それぞれの楽しみ方があり、ギアの選び方があり、情報も玉石混合です。色々と経験をしなくては近道がないのも面白いところです。今年はファミリーキャンプだけでなく、ソロキャンプという1人での趣味としても当たり前になってきました。しかし、自転車を移動手段にするという人は、まだ少数派です。今後は、自転車が好きな人にキャンプをしてもらいたいのと、旅が好きな人に自転車旅の良さを伝えたい。この二つが課題です。

 最後に、『Cyclist』の編集部員、後藤さんには御礼を申し上げます。昨年の「BIKE&CAMP」のイベントレポートを執筆していただいたり、自転車ツーリングやキャンプツーリングなどの「旅」の要素を含んだ内容を編集していただり、トークイベントやライドイベントを企画したり、ページを作ったり。本当に自分にとってプラスになりました。ありがとうございました。

 これからは『Cyclist』の読者の皆さまと共に、先の二つの課題をクリアするための発信ができるよう努力していこうと思います。なので、僕の自転車旅は続きます。

 読者のみなさま、関係者のみなさま、本当にありがとうございました。

山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属。雑誌、広告、WEB、CMなどのモデルをメインに、トラベルライターとしても活動する。「GARVY」(実業之日本社)などで連載ページを持つ。日本アドベンチャーサイクリストクラブ(JACC)評議員でもあり、東南アジア8カ国、中南米11カ国を自転車で駆けた旅サイクリスト。その旅日記をもとにした著書『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)がある。趣味は、登山、オートバイ、インドカレーの食べ歩き。ウェブサイトはwww.akikazoo.net

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