山下晃和さんの実走リポート<前編>4年前のリベンジ、沖縄やんばるグラベルキャンプツーリングに挑戦

  • 一覧

 旅サイクリストの山下晃和さんが沖縄でグラベルロードに乗り、キャンプツーリングに挑戦。その旅の過程をCyclistに寄稿してくれました。記事は全3回。初回は、4年前に沖縄キャンプツーリングへ向かう途中で起きた事件に触れつつ、今回の旅で沖縄に到着するまでの旅程を振り返ります。

空港のJALチェックインは分かりやすくこのような特殊手荷物の表記がユニバーサルマークになっている(2021年2月撮影) Photo: Akikazu YAMASHITA

◇         ◇

沖縄へ向かう途中で事件が起きた

 今から約4年前の2017年2月22日、僕は沖縄へキャンプツーリングへ行こうとしていた。ロードバイクでサクッと180kmほど縦断して弾丸でキャンプツーリングをしようと意気込んでいた。ところが、家から羽田空港まで電車で輪行しようとしている途中に事件は起きた。

 空港に到着する時間に余裕を持つため、かなり早く動いていた。朝早かったので、ほとんど乗客がいないJR恵比寿駅でJR山手線に乗り換え、輪行バッグを肩に担ぎ、バックパックを背負って立っていた。もちろん、旅に出るワクワクも抱えながら。しかし、品川駅で京急線に乗り換えをする際にAPIDURA(アピデュラ)のサドルバッグがないことに気づいた。「あれ?どこに行った?」スマホを見返すと、恵比寿駅で輪行バッグと共にサドルバッグが置いてある写真を撮っていた。急いで取りに帰ることにした。

これがその証拠の恵比寿駅の写真だ(2017年2月撮影) Photo: Akikazu YAMASHITA

 まだ時間には余裕がある。再び、JR山手線で恵比寿駅に戻ったが、例のバッグを置いたところにはない。駅の中を探しまわり、線路に蹴られていないか下を見てみる。しかし、見当たらない。焦った。本当に焦った。全身から汗が吹き出た。スマホの時間をチラチラ気にしつつ、駅員さんにその旨を伝えたが、駅に届け出はないと言う。

 サドルバッグの中にはマウンテンハードウェアのUL1テント、クライミットのイナーシャXというインフレータブルマット、ナンガのモンベルのスリーピングバッグが入っていた。中身の合計額を合わせれば10万円近い。アウトドアを嗜んでいる人であれば、開けてビックリ宝箱だろう。あれがまるっとなければ、野宿どころか青空睡眠になってしまう。無情にも飛行機の時間は迫っていた。

 ここは沖縄に行ってから考えることにしよう、と気持ちを切り替え、大慌てで飛行機に乗った。機内ではショックのあまり、泥のように眠ったことを記憶している。

自転車キャンプツーリング記事は断念

 ロードバイクで行くキャンプツーリングをCyclistで記事にしようとしていたが、やめておいた。観光としては楽しめたが、キャンプをすることなく宿を取って泊まったため、単なるリゾートツーリングになってしまったからだ。

悲しくてこの表情。この先の屋我地キャンプ場でキャンプをするはずが!(2017年の2月撮影) Photo: Akikazu YAMASHITA
サドルの後に付いているのはサドルバッグ ではなく輪行バッグ(2017年2月撮影) Photo: Akikazu YAMASHITA

 ところが、神は存在した。あれから約80日後の2017年5月11日、新宿警察が路上で見つけたという僕が失くしたものにそっくりなバッグが、毎晩PCで見ていた検索サイト(検索ワードはサドルバッグだったがバッグ全般で調べていた )で見つかった。特徴が同じなので、電話で問い合わせてみると一致。「アピデュラ?」そうそれが僕のサドルバッグのブランド名だ。後日、新宿の紛失物センターに取りに行くと、奇跡的に全て無事だった。Knog(ノグ)のリアライトまでしっかり付いている。

 ただ、サドルバッグなどという言葉は一般的ではないようで「スポーツバッグ」として拾得物に登録されていたので、もしサドルバッグを落とした人がいたら、警察に届け出るときは気をつけるといいだろう。そもそも、そんな人はいないか。

4年越しの沖縄キャンプツーリング

 そして今回、「沖縄キャンプツーリング」の忘れ物を取りに再び沖縄に向かった。今年は新型コロナウィルス感染拡大の最中。本来なら2月7日に緊急事態宣言が解除されるというニュースがあったので、その近辺の日程ですぐにでも飛び出したかったが、本業のモデルの仕事も忙しく、ギリギリまで出発が決まらない。

 とはいえ、2月中に行かないとマイルの有効期限が切れてしまう。そして、今回の旅の相棒でもあるキャノンデール「トップストーン2」のリース期限も2月中と時間があまりない。できる限りの感染予防をし、入念に健康状態を確かめた上で沖縄行きのチケットを取った。

 沖縄自体は、昨年も、一昨年もモデル撮影の仕事で来ているのだが、今回は1人自転車でのキャンプツーリング。しかも、やんばるのグラベル(砂利道)を求めての旅は初めてだ。現地で人伝にグラベルの情報を聞くスタイルだったが、このコロナ禍ではそうもいかない。事前に名護市在住でサイクリングツアーガイドもされている宮里武志さんにグラベルの情報を教えていただいた。

 テント、スリーピングバッグ、マットの3種の寝具を入れて、いざ出発。今度は駅にサドルバッグ置き忘れないように。

自宅から羽田空港まで自走がブーム

 自宅から空港までは自走した。輪行も考えたが、できるだけ人に会わないようにするなら、自力で走る方がいい。行きはほぼ下りとはいえ、約1時間半かかる。暗くて狭いトンネルを潜って、自転車1台半ほどの狭い道を走って、階段を上り下りし、羽田の迷宮をクリアしなければならない。初めての人は苦戦すると思うので、時間には余裕を持つほうがいい。

 トンネルを通れば、空港の到着口まで走ることができる。最後に足二つ分くらいのグラベルがあるので注意。自信がない人は押して行こう。

何本かトンネルを通り、ここが羽田空港へ向かう最後のトンネル。自転車はもっと別の快適なルートを作ってほしい Photo: Akikazu YAMASHITA
輪行バッグとダッフルバッグ1個。バックパックも一つ背負っている Photo: Akikazu YAMASHITA

 早く着けば輪行バッグに入れる作業にゆとりが出てくる。飛行機輪行は、ハードルが高く思われがちだが、実はとても簡単だ。前輪外しタイプの輪行バッグでサイズは問題ない。カートを引っ張ってくれば、輪行バッグを肩がけして運んだり、キャンプ道具を引きずりながら歩いたりしなくて済む。

 このときに預け荷物には入れられないスマホのチャージャーなどが、フレームバッグやサドルバッグに入っていないかだけはチェックしておこう。あとはフロントライトなど、壊れて困るものは手持ち荷物で機内に持ち込んでおくほうがよい。

 今回は7時40分出発の便だったが5時30分くらいには羽田空港に到着していた。空港の中はカフェやパワーラウンジもあり、無料のWi-Fiもあるので待ち時間が退屈することはない。 

 JALのカウンターではダッフルバッグの重さを測り(9.4kg)、自転車の中をチェックしてもらう。このときに、CO2ボンベの空気入れと、シングルバーナーなどに使うODガス缶などがないかチェックされた。両方とも持っていないのでそのまま預け荷物へ。

羽田空港の搭乗ゲート前。お客さんは比較的少ないように感じた Photo: Akikazu YAMASHITA

 沖縄便の飛行機ではUSBケーブルもWi-Fiも利用できたので、仕事関係のメールやSNSをチェックしていたらあっという間に那覇空港に到着。2月なのに暑い!

空港から出て2番のバス停を目指せば、ここから名護まで連れていってくれる Photo: Akikazu YAMASHITA

 那覇空港から名護バスターミナルまではさらに輪行する。そうすると、車通りの多い58号線を通らずに一気に名護まで行ける。新型コロナウィルス関連でバスの本数が減っていて、リムジンバスがなかったので、高速バスで行く。自転車はバスの下に入れさせてくれるので大きい荷物も問題ない。無事に沖縄に到着できてひと安心だ。
<つづく>

山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属。雑誌、広告、WEB、CMなどのモデルをメインに、トラベルライターとしても活動する。「GARVY」(実業之日本社)などで連載ページを持つ。日本アドベンチャーサイクリストクラブ(JACC)評議員でもあり、東南アジア8カ国、中南米11カ国を自転車で駆けた旅サイクリスト。その旅日記をもとにした著書『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)がある。趣味は、登山、オートバイ、インドカレーの食べ歩き。ウェブサイトはwww.akikazoo.net

この記事のタグ

グラベルロード

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

Cyclist CLIP

スペシャル

自転車協会バナー

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載