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教えて! 安井先生<14>ロードバイクで走り出す前に必ずやっていることは?

by 安井行生 / Yukio YASUI
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今回のお題

Q:ロードバイクで走り出す前に必ずやっていることを教えてください。メンテナンスや準備などいろいろあると思いますが、安井さんのこだわりというか、配慮やテクニックなどがあったら知りたいです。

A:明日は久しぶりに丸一日走る時間がとれそうなんです。天気もいいようだし、箱根でヒルクライム三昧を目論み中。というわけで、今から明日の準備をします。ついでに質問にお答えしましょう。

 近所を1~2時間まわるくらいなら特別なことはしませんが、山にがっつり走りに行くときは、それなりの準備をします。

 複数台体制を敷いている人は、まずどのバイクとどのホイールで行くかを決めねばなりません。それについては「ロードバイクを複数所有する際の選び方と乗り分けは?」で書いたのでご一読を。

 明日はしっかりと上るつもりなので、上りが楽しいバイクとホイールがいい。スーパーシックスエボにRシスを付けることにします。

タイヤとチェーン、とりわけ後者に注意を払うべし

 次に整備状態。僕が走りに行く前に気に掛けるのは、タイヤとチェーンです。といっても、タイヤに関しては一般的な点検のみ。傷の有無、摩耗・劣化などを見て、出かける直前にエアをチェックするだけ。Rシスに付いてるフュージョン5、まだ摩耗も少なく、傷もない。明日出かける直前にエアを入れるだけで大丈夫そうです。

 一方、チェーンはかなり気にします。チェーンの状態って、「走りの気持ちよさ」にかなり大きな影響を与えていると思うんです。チェーンが伸びてオイルが切れていても走れますが、キュルキュル異音はするわゴロゴロ振動が伝わってくるわで、走っていて全然楽しくない。油分が少なくなってシャリシャリ言い始めただけで僕は嫌です。

 だからチェーンの面倒はかなり小まめに見てやります。さすがに毎回ではありませんが、数百km毎にメンテナンス(洗浄と注油)をする感じ。洗浄&注油のタイミングは、使用しているオイル、走っている環境、負荷域によって変わるので一概には言えませんが、簡単な判断方法は、チェーンをねじってみること。

チェーンをねじってみて状態確認をすることをオススメします Photo: Masahiro OSAWA

 ねじったときに感触がヌルヌルとするならまだ大丈夫(新品のチェーンのヌルヌル感を覚えておくといいでしょう)。シャリシャリになってきたらオイルが切れてきたということ。ガリガリになっていたらチェーンの中に異物が入っているということです。これは某ケミカルメーカーの技術者に聞いた話です。覚えておいて損はありませんよ。

 スーパーシックスのチェーンをねじってみると、ちょっとシャリシャリ。思えば、前回チェーンを洗浄してからもう3~400kmくらい走っているはず。明日に備えて、潤滑状態をリフレッシュさせておきましょう。

チェーンの洗浄と注油のコツ

 ついでだから、ここでチェーンの洗浄と注油のコツを一席。

 洗浄のキモは「ローラーの中の汚れをいかにかき出すか」です。みなさんがよくやられるように、速乾性のあるクリーナーをかけて表面を綺麗にするだけでは意味がありません。速乾性のないチェーンクリーナーをリンクとローラーの中に染み込ませて、指でローラーをグルグル回してやります。そうするとローラーの中にクリーナーが染み込んで、汚れが溶け出てきます。

 スーパーシックスエボのチェーン、表面は綺麗に見えますが、クリーナーをかけてローラーを回してやると、内部から真っ黒の汚れが溶け出てきました。最初は抵抗のあったローラーも、スルスルと回るようになりました。こうしてチェーンを中まで綺麗にしておきます。時間はかかりますが、いくらでも時間をかけられるのがアマチュアメカニックの特権です。

 次は注油…ではありません。洗浄直後はローラーの中に洗浄成分が残っているので、その上から注油しても効果が薄い。泡状のクリーナー(ワコーズのフォーミングマルチクリーナーなど)でチェーン内部の洗浄成分を洗い流します。水が使える環境なら、チェーンを水洗いしてもOK。ただし、クリーナーによっては水洗い不可なこともあるので注意。界面活性剤が入っているクリーナーは水洗いができます。

チェーンオイルは一コマ一コマに丁寧に滴下

 最後に注油です。お好みのチェーンオイルを一コマ一コマに丁寧に滴下します。水置換性のあるオイルを使うなら、チェーンが濡れた状態でもOKですが、水置換性のないオイルなら、チェーンが乾いてから注油をすること。粘度の高いオイルなら、洗浄時と同様にローラーを回してやると浸透しやすくなります。

チェーンオイルは一コマ一コマに丁寧に滴下します Photo: Shusaku MATSUO

 ちなみに、チェーンオイルは注油後に溶剤成分が揮発します。走りに行く直前に注油すると、揮発する前の「薄いオイル」で走り出すことになります。走りに行く数時間前に注油をしておくと、揮発成分が飛んで適度な濃さのオイルになり、本来の潤滑性能が得られます。

 明日は登坂時間が長くなるので、チェーンにかかる負荷が大きい。高負荷時でもクッション性を維持してくれるオイルを選びます。注油をし、一晩置いて溶剤が揮発するのを待って、走る前にチェーン表面の余分なオイルを軽く拭き取って完了。これで明日はチェーン駆動が無音の、滑るような走りが楽しめるはず。

 その他、毎回ではありませんが、各パーツの組み付け状態、ホイールの振れ、チェーンの伸び、ブレーキシューやケーブル(とくにシフト側)の状態もざっと見ておきます。電動シフトの人はバッテリーもチェックですね。いわゆる乗車前点検を普通にやるだけ。

携行品やウェア、通行規制のチェックもお忘れなく

 走りに行く機材に合わせて携行品を決めましょう…という話は「ロードバイクの携帯工具などの携行品はどう選んでいますか?」でしましたね。

 このキャノンデール、ローターのクランクをノーマルからコンパクトにしたばかり。パーツを交換した直後は何が起きるか分からないので、いつもの携行品に加えて、ローターのクランクの固定ボルトを回す8mmアーレンキーを持っていきます。

 もちろん目的地の天気と気温は事前に調べます。それに合わせてウエアを準備。その際の注意点は「ロードバイクのウェア選びはどうすべき?」で書きました。明日は箱根が14℃の予報、しかも快晴。山の上でもそれほど寒くはないでしょう。冬用インナー、長袖ジャージ、ウインドブレーカーでいけそうです。

 標高の高い峠や路面状況が良くないマイナーな峠に行く際、大切なのは「通行止め情報」。冬なら「積雪・凍結情報」です。この前も、まぁ大丈夫だろうと思って行ったら見事に工事による通行止め。とぼとぼと引き返しました。

マイナーな峠に行く場合は通行規制にも注意を払いたい Photo: Yukio YASUI

 今はツイッターなどで検索すれば、自転車乗りはもちろん、オートバイ乗りやクルマ好きなどが、「箱根旧道は上のほうが凍結しとるぞ」とか、「半原越えが通行止めだった、せっかく行ったのに超ショック」などとリポートしてくれてます。それらを参考にさせてもらいましょう。便利な世の中になったものです。

 さて。明日は箱根旧道&国道1号をダブルでやっつけるか、長尾峠まで行って御殿場経由で帰るか、つばきラインで大観山まで行くか、熱海まで下りて十国峠~箱根峠を走るか…悩みながら早めに寝ることにします。では、おやすみなさい。

インプレッションライダー・安井行生(やすい・ゆきお)

 大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。ひょんなことから自転車ライターへと転身し、現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた自転車大好き人間。

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