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栗村修の“輪”生相談<199>50代男性「スピードを出そうと回転数を上げるとお尻がポンポンと跳ね上がります」

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 ロングライドを中心にホビーレーサーとして楽しんでいるサイクリストです。

 スピード出そうと回転数を上げるとお尻がポンポンと跳ね上がります。

 改善するにはどうしたら良いでしょうか?

(50代男性)

 昨年書いたトレーニング本(『栗村修のいちばん身につく 最強ロードバイクトレーニング』、宝島社)でも触れましたが、近年は基礎練習がないがしろにされる傾向があるようです。パワーなど定量化しやすい指標に基づいたトレーニングも大事なのですが、基本的なスキルトレーニングをおろそかにしてしまうと、せっかくのパワーをスピードに変えることができません。

 基礎的なスキルとは、まっすぐ走ること、上手く曲がること、しっかりと止まること、あと無駄なくダンシングができることです。「そんなの簡単じゃん」と思った方は要注意です。ホビーレーサーでこの基本スキルを身に付けている人は、残念ながらほとんどいないようですから。

 たとえば「まっすぐ走る」。道路の白線の上をずっとキープできますか? 「上手く曲がる」。ちゃんとアウト側の足に加重していますか? ハンドルに乗ってしまっていませんか?

 こういった基礎的なスキルの、さらに基礎になっているのがペダリングです。ペダリングが上手ければまっすぐ走れますし、コーナーリングも上手でしょう。要は、自転車の上で体を動かすという行為の核にあるのがペダリングなんですね。

 質問者さんのように、ケイデンスを上げるとお尻が跳ねてしまう人は多いと思います。それは、主に引き足のスキルが足りていないからではないでしょうか。

ペダリング中にお尻が暴れてしまう場合はどうすればいい? Photo: Yuzuru SUNADA

 ペダリングって、実は歩くことに似ているんです。歩くときには、足を前⇒後ろ、また前⇒後ろと動かして体を蹴りだしますよね。まず前から後ろに蹴りだして体を前方に移動させ、次には足を後ろからまた前に移動させると。

 歩くときの、足を後ろに蹴りだして体を前に移動させる運動はペダリングの踏み足に相当します。後ろにある足を前に持ってくる動きが引き足ですね。これらは言うまでもなくセットです。セットでなければ歩けません。

 ところが、自転車のペダリングだと引き足を忘れがちです。忘れるのは、意識しなくても足が勝手に持ち上がるからかもしれません。反対側の足がペダルを踏めば自動的にこちらの足は持ち上がりますからね。

 でも、引き足を使えないと問題が生じるんです。ペダルに脚の重さが乗ってしまうから、反対のペダルを踏んでいる側の足の動きを邪魔するのはもちろんですが、お尻が跳ねるんですよ。上に上がるペダルに足が突き上げられるからです。

 というわけで、ケイデンスを上げるとお尻が跳ねるのは、引き足が使えていないからです。ペダルが上がってくる速度に足を上げる運動が追いついていないからなんですよ。

 引き足が使えていないというのは、徒歩に例えると、後ろに蹴りだす動きだけはするけれど足を空中に持ち上げて前に持ってくることができていない状態です。足をズルズル引きずって歩いている感じですね。

 なので、地面を蹴り終わった足をちゃんと自分の意志で持ち上げるイメージでペダリングをしてみてください。自転車の上で歩くことをイメージするといいですよ。

回転を身に付けるなら、固定ギヤのピスト(トラックレース用バイク)で三本ローラーに乗ってみると感覚がつかみやすい Photo: Yuzuru SUNADA

 もっと具体的には、ピストで三本ローラーに乗るのがベストです。フリーがないピストは「ごまかし」がきかないので、ペダリングの乱れに気づきやすいんです。もしこの練習をやる機会があったら、引き足時にハムストリングをつかってペダルを引きあげるのではなく、太ももを上げることを意識してください。「膝でハンドルを蹴るように」などとも言われました。そして、この「ピスト+3本ローラー」の組み合わせで高速回転練習を繰り返せば、次第にお尻の跳ねは収まってくることでしょう。

 ピストがないなら、ロードバイクでも三本ローラーは効果的です。あるいは三本ローラーが無くても、とにかく引き足を意識してみてください。

 そして、なによりも重要なのは、ペダリングのような基本的なスキルトレーニングに時間を割くことです。パワーを上げるのも大事ですが、パワーアップに費やす時間の10分の1でいいですから、たとえばケイデンス120をキープして走ってみるなどスキルトレーニングをしてみてください。予想以上の効果があるでしょう。なぜなら、パワーをスピードに変換するのはスキルだからです。

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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