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「自転車“応用”栄養学」<6>ベストコンディションをつかさどる腸 高免疫かつ強い身体を作る「シンバイオティクス」とは?

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 毎日の体調管理を保つために、食事からただエネルギーを摂取するだけでなく、食事の栄養から身体の一部を作り出すこと、また活動のエネルギーにすることを滞りなくできることが大切です。食事が私たちの体内に“真”に入り込むのは腸です。そこには様々な腸内細菌が存在し、摂取した食事をいわゆる栄養素の形にして体内に取り込みます(吸収)。この腸内環境を整えることが、ベストコンディションを作る上でとても重要な要素となります。

腸内細菌を育てるために必要な栄養素とは? Photo: gettyimages/ flyingv43

「善玉菌」を増やして育てる

 腸内細菌が存在する腸内環境の状態が悪いと、栄養をうまく吸収することができなかったり、本来働くはずの腸内細菌が機能せず、侵入する外敵から身体を守ることができなくなり、体調を崩しやすくなる可能性があります。

 腸内環境を整えることとは、腸内に住み着く良い菌(善玉菌)を増やしていくこと(プロバイオティクス)、またその善玉菌を育てていくこと(プレバイオティクス)であり、それらを実現する上で食事がとても重要な役割を果たします。

 プロバイオティクスとしてのおすすめの食材は、ヨーグルトや発酵食品である納豆やみそ、漬物などを積極的に取り入れること。そしてプレバイオティクスとしておすすめしたい食材は、わかめやひじきなどの海藻類や、成熟した果物などに多い「水溶性食物繊維」です。

プロバイオティクスにはヨーグルト等の発酵食品がおすすめ Photo: gettyimages/ marekuliasz

水溶性食物繊維は善玉菌の“餌”

 食物繊維は栄養素としての認知はそれほど高くありませんが、現代においては日本人が不足しがちな栄養素の一つとなっています。大きくは炭水化物に分類される食物繊維ですが、体内で消化できない(つまりエネルギーになりにくい)炭水化物です。

 水溶性食物繊維は皆さんがそれぞれ持っている善玉菌の“餌”で、それを積極的に摂ることによって善玉菌が活性化し、腸内の環境を整え、免疫力を高めるといわれています。すなわち、体調を崩しにくい身体にするということにつながります。

 “腸活”というと乳酸菌の摂取ばかりに意識が向きがちですが、一方でその乳酸菌を育むための意識も必要です。このプロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせた考え方を「シンパイオティクス」といい、双方の機能がより効果的に働くことを目的としたもので、最近は外科手術前の体調管理にも取り入れられています。腸内環境を予め整えておくことで、術後の感染や体力の低下を予防するとされています。

パフォーマンス発揮には普段からのコンディション作りが不可欠

 近年の食事動向では、日本人の「食物繊維」の摂取が低下していると報告されています。日本の長寿を支えていたといっても過言ではない「食物繊維」。今一度その重要性を認識して、特に水溶性の食物繊維を積極的に取り入れていきましょう。新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染、そして発症や悪化の防止に、食からもアプローチしていくことが重要です。

パフォーマンスを発揮するには、普段からベストコンディションを維持することが重要 Photo: gettyimages/ mediaphotos

 パフォーマンスを発揮できる体にするということは、普段からベストコンディションを維持しておくということが重要です。体調管理はスポーツのためだけではなく、普段の生活、仕事においても大切なことです。とくに免疫力が注目さてている昨今、是非「シンバイオティクス」を念頭に置いて、食事を見直してみてください。

小川静香 小川静香(おがわ・しずか)

公認スポーツ栄養士、管理栄養士、博士(医学)。食アスリートジュニアインストラクター。日本女子大学卒業後、東北大学大学院医学系研究科運動学分野を修了。3歳から水泳を始め、国体も経験。大学院在学中にトライアスロンにハマり、2009年に念願の日本選手権に出場。同年佐渡国際トライアスロンAタイプで優勝を果たす。スポーツトレーナーを目指す学生の指導にあたる他、スポーツ栄養の知識を自ら実践し、栄養教育活動や栄養セミナーで伝える。現在はアイアンマンレースに向けた練習と共に筋トレにも精力的に取り組み、ボディメイクに奮闘中。

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