Cyclist編集部・澤野健太が選ぶ今年の注目ニュース「ぼくらが自転車に乗る理由」再確認できた2020年

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
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 『Cyclist』編集部が選ぶ「2020年の注目ニュース」。最後は編集長の澤野健太が、
いつもとは違った2020年を様々な記事と個人的な自転車の楽しみ方で振り返りました。全ての読者の方と意見は違うかもしれませんが、ご一読いただければ幸いです。

半年ぶりのイベント出場となったラファ・プレステージ若狭。若狭の海を見下ろすグラベルで記念撮影。トンボが秋の到来を感じさせた Photo: Shuhei Sato

注目された自転車通勤

 2020年、自転車関連のニュースが何かと言えば、すべてがニュースだったとしか言えません。「コロナ禍における自転車の評価」、「レース、イベントの中止、開催」すべてが世の中の動きとともに変わっていきました。満員電車を避ける動きから、自転車通勤が奨励され、関係メーカーの販売数、売上も増加、販売店でも品薄の状況が続いています。「Cyclist」のコンテンツでも「自転車通勤」に関する話題はよく読まれました。これは自転車を活用した新たなライフスタイルへ、否応無しにシフトチェンジした良い動きとなりました。

キャンセル、来年、再来年に延期のイベント

 一方で「自転車を楽しむ」「イベントに出る」という点ではどうだったでしょうか。自分自身を振り返ると、2020年5月上旬開催予定だったアメリカのグラベルイベント「DIRTY KANZA」(ダーティー・カンザ)にエントリー。「盛り上がるグラベルレースとはどんなものなのか?」。海外のイベントに初めて申し込み、行程を考え、一緒に行くサイクリストと連絡を取り合い、2019年から楽しみにしていました。

 それが、2020年3月頃、「秋に延期します」との一報が来て、秋を迎える頃になると、「キャンセルしますか?来年の参加にしますか?再来年の参加にしますか?」と3択から選べることに。その時は「再来年」という選択肢に強く衝撃を受け、問題が予想以上に長期化していることにやっと気づきました。ダーティー・カンザは「UNBOUND GRAVEL」(アンバウンド・グラベル)と名前を変え、2021年6月に開催予定。一体どうなるのでしょうか。

 暖かくなり、一番自転車に乗りたくなった3月、4月は「自転車で遠くに行くことで新型コロナウイルスを運ばないか」「集団で自転車に乗って周りにうつさないか」「マスクをするべきか、どれくらい周りと距離を置いて走るべきか」。様々な意見があり、Cyclistとしても自分としても「色々な考えがあり、色々な乗り方のある自転車、自由になれるための自転車の乗り方を規定したくない」という思いであえて、主義主張をしませんでした。いや、できなかったのかもしれません。

秋口にイベント再開の動き

 秋になり、コロナ禍は簡単に収まらないと世の中も長期的な視点で落ち着いてきたように思います。私自身も久しぶりにイベントに出ることを決意。9月上旬に行われた「RAPHA PRESTIGE WAKASA」(ラファ・プレステージ若狭)に出場しました。日本海の若狭湾に面し、美しい海や自然に育まれた福井県から県南部の若狭湾沿岸にまたがる嶺南(れいなん)地域を起点に、アップダウンのある2つのグラベル区間をメインディッシュに、海、山、湖、森を堪能。三方五湖(みかたごこ)、若狭湾、そして山を越えて琵琶湖まで巡る160km、獲得標高2500mの旅は今まで走って来た自転車人生で一番心に残るライドになりました。

ラファ・プレステージ若狭が久しぶりのイベント出場という参加者の満開の笑顔が印象的だった Photo: Nobuhiko Tanabe 

 そもそも春に「DIRTY KANZA」に行く予定だったサイクリストグループに誘っていただき、おそろいの「TKC カスタムジャージ」に身を包み、自分が足を引っ張りながらも、チーム全員でゴール。初めて一緒に走って仲間になる自転車の素晴らしさ、未知の道を走る楽しさ、遠くに出かける楽しさ、全てを新鮮に思い出しました。

ラファ・プレステージは、色んなレベルのサイクリストが力を合わせて完走するのが魅力の一つだ Photo: Shuhei Sato
ラファ・プレステージ若狭の開催に尽力した若狭美浜観光協会の藤田美穂さん(左)と中村昇さん Photo: Kenta Sawano

 楽しむだけでなく、開催側の自治体側の準備、RAPHA JAPANの感染防止策など、イベント運営側の立場としても参考になりました。誘致に尽力した若狭美浜観光協会・藤田美穂さんの「4、5人の少数グループで来ていただき、地元の民宿に泊まって、自転車で走ってもらい地域を知ってもらえる素晴らしいイベント。民宿での感染対策、出場者の2週間前からの体温チェックなど、できることをしっかりやり開催に繋げました」という言葉が印象的だった。

 日本以上にコロナの影響が大きかった海外からもたくさんの情報をいただきました。コロナが最も酷かったイタリアの自転車購入補助の話、日本に帰国せずイタリアを自転車旅した一家の夏休みの冒険、厳しい外出制限生活の中、「国境なき医師団」への支援のためフランスからオンラインで超長距離のバーチャル・チャリティーレースに挑戦した日本人サイクリスト。みんなが自転車を通じて、前向きに進んでいました。

イタリア自転車旅に初挑戦した11歳のそっち(右)と8歳のターキ兄弟  Photo: Daisuke YANO
フランスの自宅でピレネー山脈を眺めながら室内ライドするYumi Souleさん Photo: Yumi Soule

 夏も終わりを迎える頃、ツール・ド・フランスを始めとした欧州のビッグレースが短期間で次々と開催されました。どのレースも最後まで開催されるかどうかが、レース結果と同じくらい注目されていました。完走した選手はもちろん、大会運営側、メディアにも拍手を送りました。

 日本国内では遠方への輪行よりも、近場のサイクリング旅「マイクロサイクルツーリズム」に目を向ける絶好の機会にもなりました。1泊、もしくは日帰りで気軽に行けるサイクリング旅。意外と近くにある楽しい場所を再発見する楽しみ方がクローズアップ。国内でその発見を手助けする、地域を楽しんでもらう「サイクリングガイド」がより重要になってくると感じました。

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