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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<368>2021年のUCIワールドチーム・プロチームが決定! 新シーズンに向け有力な顔ぶれが出そろう

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 UCI(国際自転車競技連合)は12月24日、ロードレースにおける2021年シーズンの「UCIワールドチーム」「UCIプロチーム」「UCIウィメンズワールドチーム」に登録される全47チームを発表。このうち、男子最上位カテゴリーのワールドチームは、今年と同じ19チームが登録されることが決まった。ツール・ド・フランスをはじめとするグランツールや、伝統のクラシックレースといったビッグレースへの出場を目指すチームにとっては絶対条件となるこれらカテゴリー。今回は、UCIやその他機関による厳しい審査をクリアしたチームをお知らせ。いよいよ、来るシーズンのトップシーンを駆ける顔ぶれがそろった。

2021年のUCIワールドチーム、UCIプロチームなどが決定。パンデミックによる不安が残る状況だがシーズン開幕への準備が進んでいる(写真はイメージ) Photo: Yuzuru SUNADA

UCIワールドチームは19チーム体制を維持

 ロードレースにおいて、世界のトップレベルを走るチームはいずれも、競技を統括するUCIや関連機関による審査を通過したうえでレース参戦を果たしている。審査は基本としてUCI規則に基づいており、倫理的・財務的・管理的・組織的の4項目について検討され、上位カテゴリーへの登録を目指すチームは毎年その状況を提出・報告することが義務付けられている。特に、アンチ・ドーピング姿勢が問われる倫理面、運営資金にかかわる財務面は重要(もちろん管理・組織も欠かせない要素であるが)で、競技特性上、世界各地への遠征が続き、レースによっては最大3週間の長丁場となる戦いに向き合えるだけの体力をチームが持ち合わせているかを測ることができる部分でもある。

UCI規則に基づく厳しい審査を経て各チームにライセンスが付与される(写真はイメージ) Photo: Yuzuru SUNADA

 そして審査を終えていずれかのカテゴリーに登録されると、規定に基づいてレース活動を行うこととなる。「ファーストディビジョン」とも呼ばれるUCIワールドチームは、当該シーズンの最上位レースカテゴリーの「UCIワールドツアー」を主戦場とする。同ツアーに全戦出場が義務付けられることとなり、ツールやジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャといったグランツールから、ミラノ~サンレモやパリ~ルーベといった伝統的なワンデーレース、その他同カテゴリーに属するステージレースにも出場する。

 それに次ぐ「セカンドディビジョン」UCIプロチームは、下部レースカテゴリーの「UCIコンチネンタルサーキット」を主戦場としながら、同ワールドツアーのレース招待を望む立場になる。招待はレース主催者にゆだねられており、レース開催国のチームであったり、ワールドクラスの選手を擁するチームなどが選出されやすい傾向にある。詳しくは後述するが、同プロチームのうち前年のUCIワールドランキングで最上位に就いたチームは、当該シーズンの同ワールドツアー全戦への招待出場権を獲得する(辞退も可能)。また、次点のチームには、同ワールドツアーのうちワンデーレースに限って招待出場権を獲得する。

 これらへの登録を目指すチームは例年夏ごろに書類を提出し、11月中には審査結果が公表されるが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大によってレースシーズンが全体的に変化。結果的に、12月24日に公表される形になった。

 では、その顔触れを見ていこう。まずは男子最上位カテゴリーのUCIワールドチームから。

これまでUCIプロチームとして走ってきたサーカス・ワンティゴベールが2021年からのファーストディビジョン昇格。来季はインターマルシェ・ワンティ・ゴベールとして走る Photo: Circus - Wanty Gobert

 2021年シーズンは、今季と同様に19チームが登録されることとなった。大きな変化は、スポンサー撤退により事実上の解散となるCCCチームに代わって、今年までUCIプロチームとして走ったサーカス・ワンティ・ゴベールが昇格を決めたことだ。

 サーカス・ワンティ・ゴベールを運営するウォントユーサイクリングは、CCCチームを運営するコンティニュアムスポーツを買収。同時に後者が持つワールドツアーライセンスを引き継ぐこととなり、トップチームの一員となることが決定的な状況にあった。晴れて昇格が決定したチームは来季から、「インターマルシェ・ワンティ・ゴベール」として走る。

 また、スポンサーの撤退によってチーム存続が危ぶまれていたNTTプロサイクリングも、先ごろ新規のパートナーを獲得しクベカ・アソスとして走ることが決定。ワールドツアーライセンスも維持され、来季も引き続きトップシーンを駆ける。

 登録19チームのうち、11チームはUCIの承認によってワールドツアーライセンスの維持が決まったが、8チームはUCI関係機関であるライセンス委員会による審議によって決定したことが明らかになっている。なお、その審議内容については公表されていない。

2021年シーズンUCIワールドチーム

●UCI承認による登録決定チーム
AG2R・シトロエン(フランス)
ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)
コフィディス(フランス)
ドゥクーニンク・クイックステップ(ベルギー)
グルパマ・エフデジ(フランス)
イネオス・グレナディアーズ(イギリス)
ユンボ・ヴィスマ(オランダ)
ロット・スーダル(ベルギー)
モビスター チーム(スペイン)
トレック・セガフレード(アメリカ)
UAE・チームエミレーツ(UAE)

●ライセンス委員会による登録決定チーム
アスタナ・プレミアテック(カザフスタン)
バーレーン・ヴィクトリアス(バーレーン)
グリーンエッジサイクリング(オーストラリア)
インターマルシェ・ワンティ・ゴベール(ベルギー)
イスラエル・スタートアップネイション(イスラエル)
チームDSM(ドイツ)
EFエデュケーション・NIPPO(アメリカ)
クベカ・アソス(南アフリカ)

※カッコ内の国名はチーム登録国
※チーム名はUCI発表に基づく

アルペシン・フェニックスはワールドツアー招待出場権獲得

 セカンドディビジョンのUCIプロチームも19チームが登録されることが決まった。

スペイン籍のUCIコンチネンタルチーム、エキポ・ケルンファルマが2021年からセカンドディヴィジョンへと昇格する Photo: Equipo Kern Pharma

 新たに名を連ねることとなったが、かつてのツール王者であるアルベルト・コンタドール氏が立ち上げた「アルベルト・コンタドール財団」の運営のもと走り出したエオーロ・コメタがUCIコンチネンタルチームから昇格。同様にジロを制しているイヴァン・バッソ氏がスポーツマネージャーを務めており、来季に向けてはイタリア人ライダーを中心に戦力を補強。ハイレベルのレースでも戦えるだけのメンバーをそろえつつある。

 同じく昇格組となるのがエキポ・ケルンファルマ。こちらはスペイン人ライダーを中心で、20歳代前半の若い選手を多く名を連ねている。

アルペシン・フェニックスは2021年のUCIワールドツアー全戦への招待出場権を獲得。マチュー・ファンデルプールのツール・ド・フランス初出場の可能性も高まっている =2020年10月7日 Photo: STIEHL / SUNADA

 登録19チームのうち、今年のUCIワールドランキングで12位だったアルペシン・フェニックスが同プロチーム中最上位にランクしたことで、来年の同ワールドツアー全戦への招待出場権を獲得。すべてに参戦するかどうかはチーム判断にゆだねられるが、ロード・シクロクロス・マウンテンバイクと“超・万能ライダー”のマチュー・ファンデルプール(オランダ)が熱望するツール初出場は濃厚な情勢といえそうだ。また、ワールドランキング14位でプロチーム中では2番手となったアルケア・サムシックは、ワールドツアー内ワンデーレースへの招待出場権を手にしている。

2021年シーズンUCIプロチーム

●UCI承認による登録決定チーム
アルペシン・フェニックス(ベルギー)
アンドローニジョカトリ・シデルメク(イタリア)
バルディアーニ・CSF・ファイザネ(イタリア)
ビンゴール・WB(ベルギー)
ブルゴス・BH(スペイン)
カハルラル・セグロスRGA(スペイン)
エオーロ・コメタ(イタリア)
エキポ・ケルンファルマ(スペイン)
エウスカルテル・エウスカディ(スペイン)
ガスプロム・ルスヴェロ(ロシア)
ラリーサイクリング(アメリカ)
スポートフラーンデレン・バロワーズ(ベルギー)
チーム ノボノルディスク(アメリカ)
トタル・ディレクトエネルジー(フランス)
ウノ・エックスプロサイクリングチーム(ノルウェー)
ヴィーニザブ・KTM(イタリア)

●ライセンス委員会による登録決定チーム
B&Bホテルズ p/b KTM(フランス)
デルコ(フランス)
アルケア・サムシック(フランス)

※カッコ内の国名はチーム登録国
※チーム名はUCI発表に基づく

女子は9チームがトップカテゴリーを形成

 UCIウィメンズワールドチームに承認されたのは9チーム。今季から継続の8チームに加えて、今年までブールス・ドルマンスとして活動してきたチーム SDワークスが同コンチネンタルチームから昇格する。なお、UCI規定による同ウィメンズワールドチームの登録上限は15チーム。来季の9チームが継続することを前提として、2022年シーズンでの新規ライセンス付与は最大で6チームとなる。

2021年シーズンUCIウィメンズワールドチーム

●ライセンス委員会による新規登録決定チーム
チーム SDワークス(オランダ)

●UCI承認による登録決定チーム
アレ・BTCリュブリャナ(イタリア)
キャニオン・スラムレーシング(ドイツ)
FDJ・ヌーヴェルアキテーヌ・フュテュロスコープ(フランス)
リブレーシング(オランダ)
トレック・セガフレード

●ライセンス委員会による登録決定チーム
モビスター チーム(スペイン)
グリーンエッジサイクリング(オーストラリア)
チームDSM(ドイツ)

※カッコ内の国名はチーム登録国
※チーム名はUCI発表に基づく

今週の爆走ライダー−マーク・ドノヴァン(イギリス、チーム サンウェブ)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 プロとしての最初のシーズンを終えた21歳。希望に満ちて迎えた今年だったが、パンデミックによるイレギュラーなシーズンとなり、驚きと戸惑いとを覚えながら日々を過ごした。

ブエルタ・ア・エスパーニャでは2度のトップ5フィニッシュ。山岳で力を発揮し自信を取り戻したマーク・ドノヴァン(写真は第17ステージ) Photo: Team Sunweb

 それでも、「何かができる」という自信はあったという。シーズン中断前にはステージレース1戦しか走れなかったが、再開後初戦となったクリテリウム・ドゥ・ドーフィネは「狙いにいった」。ところが、自らの感覚と周りの実力との違いに圧倒されてしまった。できうる限りの走りはしているのに、プロトン内でまったく通用していない事実に打ちのめされたという。

 それが過信気味だった気持ちを変えるきっかけになった。メンバー入りを果たしたブエルタでは、山岳ステージで2度のトップ5フィニッシュ。「まずは自分の存在価値を示すことから」と初心に帰って臨んだ初のグランツールで、目標は達成した。

 チームにはプロトンきってのヤングスターがひしめいている。自身も将来的にはグランツールレーサーを目指したいと思うが、当面はあらゆる可能性を捨てずに走り続けるつもり。自らの走りを生かせる場は、グランツールかもしれないし、クラシックレースかもしれない。まずはチャレンジを繰り返して、その結果を得ることから始める。

 子供のころに取り組んでいたランニングでかかとを痛めたのを機にトライしたサイクリング。シクロクロスを経て、ロードに集中することにしたのは17歳と、周りのイギリス人ライダーよりは遅め。「みんなより経験が浅い分、チャンスはたくさんあると思う」。無名でチームが見つからなかった頃、一方的に送った履歴書が関係者の目に留まってチーム ウィギンス入りが決まった、という過去もユニーク。

 迎えるシーズンに向けては、「心身ともにストレスをかけないよう走りたい」。しばらくは、エースクラスの走りを支えつつ、トップレベルで走るための極意を学ぶ心づもりだ。

将来へはグランツールでの活躍をイメージするマーク・ドノヴァン。それでもしばらくはエースクラスに尽くしてその走りを学ぶ心づもりだ Photo: Team Sunweb
福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

サイクルジャーナリスト。自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、今ではロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。現在は国内外のレース取材、データ分析を行う。UCIコンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」ではメディアオフィサーとして、チーム広報やメディア対応のコントロールなどを担当する。ウェブサイト「The Syunsuke FUKUMITSU

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