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昼間岳の地球走行録<69>自転車旅で野営地を見つけるポイント 国や地域で異なる注意点

by 昼間岳 / Gaku HIRUMA
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 海外と日本でどちらが野営地を見つけやすいかと聞かれれば、断然海外の方だった。それは日本の気候が関係してくると思う。日本のように高温多湿の風土だと、人目につかなそうなスペースがあっても、草がうっそうと生い茂り、テントを張るどころではないと諦めることが多かった。

 かといって、日本縦断などの長期のツーリングでは、毎日キャンプ場やホステルを利用するのは非常に厳しい。現実的な案だと公園や道の駅などで寝かせてもらうこともあると思うのだけど、もちろん宿泊施設ではないので、早朝に出発するなど最低限のマナーは必要だ。

グルジアの山岳地帯。道路から上にのぼったスペースだ Photo: Gaku HIRUMA

海外でテントを張るときのポイント

 一方海外では、公園やパーキングエリアのような場所でテントを張るのはもってのほかだった。中途半端に人目につく場所でテントを張るのは、人が少なくなった夜間に襲われる危険性が高い。下見をして襲う強盗の話は結構聞くので、人が少なくなった時間に戻ってきて襲うのだと思う。そう考えると、日本はとても治安の良い国だと再認識する。

 海外で野営地の定番スポットとしてガソリンスタンドを思いつく方もいると思うけど、僕はそこまで利用することは多くなかった。海外では町を一歩出ると、テントを張りやすいようなブッシュが広がっていることも多く、ガソリンスタンドでわざわざテントを張らせてもらう必要がなかったからだ。

乾燥している地域では草が短く、ブッシュに入りやすい Photo: Gaku HIRUMA

 治安の面からみると、常に人目につくような24時間営業のガソリンスタンドで襲われるリスクは低いと思うけど、そもそも治安を心配するような地域であれば、必ず宿に泊まっていた。それでもテントを張れず、宿も見つからないというときは、小さい集落の中や、消防署・警察署に相談して敷地内にテントを張らせてもらうこともあった。

アフリカのモザンビークにて。集落にお願いしてテントを張らせてもらった Photo: Gaku HIRUMA

 治安があまり心配のない地域では、ブッシュや道路から死角になる場所に入り込んでテントを張っていた。海外では乾燥している地域が多いので、ブッシュには草がまばらに生えている程度の地域がほとんどだった。

道路下のスペースは完全に人の死角になるので、よく利用した Photo: Gaku HIRUMA
アルメニアで見つけた素敵な野営地。道路から死角になっていて、近くに町もない Photo: Gaku HIRUMA

 僕の場合は朝7時過ぎには走り出すので、午後3時くらいから入り込めそうなブッシュがないか、探しながら走ることにしていた。いい場所があれば3時過ぎに走るのをやめるが、なかなかいい場所がないと日没間近まで走らねばならないこともあった。そういった場合は、ブッシュや道路からあまり死角にならなくても暗闇にまみれてテントを張ることもあった。

植物やアリは侮れない

 野営するときの注意点は国や地域によって違う。例えばアメリカは私有地が非常に厳しい印象だった。もちろん、ひとめで私有地と分かる場所に入り込んでテントを張ることはないが、なにせ広大なアメリカ。ここは私有地ではないだろうと思っていても、実は私有地だったということが結構あった。

 そして厄介なのは中南米。まきびしの様なトゲがついた植物が非常に多い。テントやエアマットに刺さっただけでなく、タイヤに数十個も刺さってパンクしたこともあった。あの日は本当に悪夢だった。

 同様にアリの巣にも注意が必要だった。気付かずにアリの巣の上にテントを張っていると、テントが穴だらけになってしまったり、食料がアリだらけになっていたりと、本当に侮れない。

 野営地探しでは色々と注意すべき点があるが、一番重要なことは体力ギリギリまで走らないことだ。疲れは判断力を鈍らせる。「死角じゃないけどもう疲れすぎて先へ進めないからここでテントを張ろう」という経験が何度かあったけど、今思うと非常に危険だったと思う。

昼間岳(ひるま・がく)

小学生のときに自転車で旅する青年を見て、自転車で世界一周するという夢を抱いた。大学時代は国内外を旅し、卒業後は自転車店に勤務。2009年に念願だった自転車世界一周へ出発した。5年8カ月をかけてたくさんの出会いや感動、経験を自転車に載せながら、世界60カ国を走破。2015年4月に帰国した。『Cyclist』ではこれまでに「旅サイクリスト昼間岳の地球写真館」を連載。ブログ Take it easy!!

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