MTBプロショップ「グッドオープンエアズ マイクス」に聞くMTBの選び方とおすすめ

by 大澤昌弘 / Masahiro OSAWA
  • 一覧

 マウンテンバイク(MTB)を始めるにあたって、最初のハードルになるのがMTBの選び方ではないでしょうか。MTBとひと口に言っても、いくつかの種類に分かれ、調べれば調べるほどに混乱しそうです。そこで、本稿ではMTBプロショップ「グッドオープンエアーズ マイクス」の片野泰樹さんに伺ったお話をもとに、MTBの選び方について解説します。

アウトドアショップほか、MTBプロショップも営む「グッドオープンエアズ マイクス」の片野泰樹さんにお話を伺いました Photo: Masahiro OSAWA

MTBは大きく4種に分かれる

 MTBを選ぶ際、明確にしておきたいのが「どういった乗り方をしたいか」だといいます。MTBは大別してトレイル、クロスカントリー、エンデューロ、ダウンヒルの4つに分かれ、車体の造りや性能が変わってきます。それらの違いが、MTBの乗り方と大きくかかわってくるのです。

 クロスカントリー、エンデューロ、ダウンヒルは、MTBの競技種目であり、それぞれのバイクは競技に求められる性能を備えているというわけです。

 まずはダウンヒルから述べましょう。ダウンヒルは、規定のコースを最速で下った人が勝者となる個人タイムトライアル形式の競技です。この競技に使われるダウンヒルバイクは、スピードを出して下っても、荒れた路面からの衝撃が吸収できるよう、サスペンションのストローク量(動く量)は180mm以上と、他のバイクに比べて大きいものとなっています(クロスカントリーは100〜120mm、トレイルは120〜140mm、エンデューロは150〜170mmが目安)。

 ダウンヒルでは、最高時速は60kmに達するとも言われ、スピードを出せるようギヤ比が重く設定されています。フレームも頑丈で重く、制動力を高めるためにディスクブレーキローターのローター径も他のMTBに比べて大きくなるほか、タイヤ幅も2.4〜2.6インチと他と比べて太い傾向にあります。フレームが頑丈でタイヤも太く重いことなどから、カーボンフレームでも車体重量が15〜17kgほどになります。

 一方で上りはまったくこなせません。重量が重いうえに、ペダルを漕ぐたびにサスペンションが動いてしまい、思うように進みません。登坂性能は一切排除しているので、ある意味突き抜けたバイクです。MTBフィールドとして利用できるスキー場で、とにかくオフロードの下りで速さを求めて爽快感を味わいたい人、また機材に任せてフィールドをゆっくりと下りたいという人にも向いているといいます。

エンデューロは上れるダウンヒルバイク

 エンデューロバイクは、ダウンヒルバイクに匹敵する性能を持ちながら軽量で、登坂能力もあり、操作性にも優れ、操る楽しさも味わえるバイクです。イメージとしては「上れるダウンヒルバイク」となります。里山でのライドもこなしますが、よりアグレッシブな走りにも対応できる柔軟さが魅力です。

片野さんオススメのエンデューロバイク「COMMENCAL AM 29 ORIGIN」(コメンサル)。160mmのストローク量を持つフルサスペンションMTB。リアサスがトップチューブ下に配されており、見た目もスタイリッシュ。泥よごれも溜まりにくいとか Photo: Masahiro OSAWA

 エンデューロとはMTB競技のことで、国内のレース、エンデューロナショナルシリーズのウェブサイトにはルールについて「下り基調の『ステージ』と呼ばれる複数のコースを個人タイム計測し、合計タイムにより順位を決定する。各選手はメイン会場より定められた時間に『リエゾン』と呼ばれるステージスタートまでの移動区間を出発し、ステージスタート時間に間に合うよう移動する」とあります。つまり、エンデューロとは、登坂性能が求められながらも、下りが重視されており、そこに用いられるバイクも、下りの能力に性能を振ったものとなるわけです。

 それを示すものとして、エンデューロバイクのサスペンションストローク量は150〜170mmとダウンヒルバイクに次いで大きく、衝撃吸収力は高いです。また、ほとんどが前後にサスペンションを備えたフルサスペンションモデルとなっています。

片野さんオススメのフレーム「MegaTower CC」(サンタクルズバイク)。軽量ながら、ダウンヒルバイクに匹敵するサスペンション能力を持っています Photo: Masahiro OSAWA

MTBの中では軽量なクロスカントリーバイク

 次にクロスカントリーについて。クロスカントリーもMTB競技のことで、アップダウンのある周回コースで選手が一斉にスタートして順位を競います。上りをこなすための軽量性が求められ、ハイエンドモデルでは、フルサスペンションでも総重量が10kgを切ります。タイヤ幅2.2〜2.3インチと、他と比べると細い傾向(トレイルは2.3〜2.4、エンデューロ・ダウンヒルは2.4〜2.6インチ)にあります。

 また、レースの性格上、下りをこなす能力も求められますが、サスペンションストローク量は100〜120mmと他に比べて少ない傾向にあります。サスペンションの衝撃吸収能力が下がることから、よりダイレクトな感覚が楽しめます。自身のスキルアップや純粋なMTBライドを望む方はおすすめです。

クロスカントリーバイクは競技向けのMTB。軽量性が高い。著者私物 Photo: Masahiro OSAWA

多くの人のニーズにマッチしたのがトレイルバイク

 最後がトレイルバイクです。クロスカントリー同様に里山ライドやフィールドライドもこなせます。ただし、トレイルバイクのサスペンションストローク量は120〜140mmで、エンデューロほど下りの性能は高くはありません。同様にクロスカントリーのように軽量性も突き詰めているというわけでもありませんが、上りも下りもこなせて幅広いシーンで活躍できます。

 競技をやりたいという人を除けば、トレイルバイクは検討候補の筆頭となりそうです。片野さんによると、20万円前後の完成車(ハードテールモデル)であれば性能的にも必要十分とのこと。実売価格としては14〜15万円程度のMTBを購入し、ハマり度合いで以後、カスタムへ…という流れが多いといいます。

片野さんオススメのトレイルバイク「SAN QUENTIN-3」(MARINE)。税別24万円。他のトレイルバイクよりもヘッドチューブ角が寝ているので、下りを走行するときの安定感が高い。ストローク量は130mmで下りでも衝撃を十分に吸収してくれます。さらに乗車しながらでもサドルの高さを調整できるドロッパーシートポストも標準装備 Photo: Masahiro OSAWA

 フルサスペンションになると、基本的にはさらに値段が上がりますが、同時に下り性能も上がります。ただし、サスペンションの調整なども考慮すると、メンテナンスは部品の少ないハードテールのほうが初心者にはとっつきやすいかもしれません。メンテナンスにかかる費用もフルサスペンションの方が高くなる傾向にあります。

片野さんオススメのフルサスペンション・トレイルバイク「SENSOR ALLOY COMP」(GT)。税別28万8000円。前後140mmトラベルのサスペンションを備え、ブレーキは制動力の高い4ピストンキャリパー。ドロッパーポストも標準装備。BB上部のフリップチップの操作でBB位置を高くしたり、低くしたりして、ジオメトリの変更も Photo: Masahiro OSAWA

 なお、街乗り用途として考えているならば、おすすめする機会が最も多いのが10万円前後のハードテールMTBとのこと。サスペンションがまったくついていないフルリジッドというものもありますが、MTBフィールドを走るのは厳しいものがあり、こちらは完全に街乗り用として考えたほうがいいでしょう。

アクセサリ類も考慮する

 このように、どんな乗り方をしたいのかを探り、車種別に見ていくと、自分に合うMTBがなんとなく見えてくるのではないでしょうか。「たまには上りも楽しみたいけど、下りも重視してダウンヒルバイクを購入しよう」という考えは成り立たなくなります。

 最後に、MTBの乗車に当たってはヘルメットやシューズなどのアクセサリー類も必須になります。安全に配慮したアイテムを揃えていくと、アクセサリーにかかるコストも10万円ほどはみておいたほうがよいとのことです。MTBの購入検討にあたっては、これらを含めた予算で考えたほうがよいでしょう。

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

Cyclist CLIP

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載