走って作って学んで食べる体感ライド体験スポット多数の奥久慈サイクリングの魅力、篠さんYOPIさん大注目のエリアに

by 大澤昌弘 / Masahiro OSAWA
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 茨城県でサイクリングと言ったら、筑波山、霞ヶ浦を思い浮かべる人が多いだろう。実際、つくば霞ヶ浦りんりんロードは、賑わっているようだが、魅力の大きさで言えば、茨城県北部の奥久慈エリアも引けを取らない。今回、インスタグラマーの篠さんと自転車系夫婦YouTuberのtom’s cyclingのYOPIさんを招いて、茨城県が12月初頭に行ったモニターツアーに参加。2人の女子旅に同行してきた。体験スポットが盛りだくさん、家族連れなど幅広い層にもオススメできるルートで、走行環境、牧歌的な風景も良し。生粋のサイクリスト目線からも見ても、二人とも大注目のエリアになったようだ。

写真左:インスタグラマーの篠さん インスタグラム @shino_138、写真右:YouTuber tom’s cyclingのYOPIさん YouTubeチャンネル「tom’s cycling」 彼女らとともに大子町の様々なスポットを巡った Photo: Masahiro OSAWA

奥久慈里山ヒルクライムルート沿いのおすすめ周遊コース

 今回訪れたのは、茨城県久慈郡大子町(だいごまち)。大子町は栃木県の大田原市、那珂川町、福島県棚倉町、矢祭町と隣接している県境の町。県最高峰の八溝山(標高1022m)があり、袋田の滝で有名な町といえば、察しがつく人もいるのではないだろうか。

 そして、この大子町は、茨城県がサイクリング王国の実現に向けて作り上げた「いばらきサイクルツーリズム構想」の4つのモデルルートのうちのひとつ、奥久慈里山ヒルクライムルートにも組み込まれている。

 本稿も奥久慈里山ヒルクライムルートの紹介なのか、というとそれは違う。実は茨城県では奥久慈里山ヒルクライムルートをさらに充実させるべく、新たにまちなかを周遊するコースを作成、その紹介というわけである。奥久慈里山ヒルクライムルートが本線ならば、今回は、いわば“支線”とも言うべきコースだ。ゲームで言えばサブクエストみたいなものだろう。

 支線やサブクエストと言えば、こぢんまりとした印象を抱くかもしれないが、根っからのサイクリストのみならず、家族連れでも満足できそうなスポットが盛りだくさんだった。今回走るのは、道の駅奥久慈だいごを起点に、抹茶体験、おやき作り体験、自転車キャンプもできる公園をめぐり、最後はカフェで締めるという内容だ。コースは28km余りと短いが、獲得標高446mのアップダウンを含んでいる。

※撮影の都合上、取材時は本来とは一部逆回りのルートをたどっていますが、本稿の掲載スポットは茨城県作成の推奨ルート順に紹介しています。

道の駅奥久慈だいごはe-BIKEレンタルも

 では、今回訪れたスポットに話を移そう。スタートとなるのは、道の駅奥久慈だいごだ。ここには、大子温泉の源泉から引いた温泉施設もあり、サイクリング後の汗も流せて、お土産も買える。サイクリングの発着点としては、最適な場所だろう。

道の駅奥久慈だいごを10時過ぎにスタート。レンタルしたのはヤマハのeクロスバイク Photo: Masahiro OSAWA

 さらにレンタサイクルも行われている。クロスバイク、ロードバイクほか、e-BIKEも用意。キッズバイクもあるので、ファミリーでもサイクリングを楽しめるし、e-BIKEを使えば、脚力が不安な初心者でも難なくこなせるはずだ。今回は「誰もが楽しめる」をコンセプトにしており、e-BIKEをチョイスして道の駅奥久慈だいごをスタートした。

レンタサイクルにはロードバイク他、e-MTBなどもあった。e-BIKEの一日レンタルで3000円というのはかなり安い印象だ Photo: Masahiro OSAWA

奥久慈茶の里公園で抹茶体験

 スタートからひたすら緩やかな坂道を上り続けること約12km。牧歌的な里山の風景が続く県道205号をひたすら進むと、最初のスポット「奥久慈茶の里公園」に到着する。

奥久慈茶の里公園。茶室から公園を見渡せる Photo: Masahiro OSAWA

 ここでは県内三大銘茶と呼ばれる奥久慈茶が栽培・販売されているほか、「茶摘教室」(毎年5月~6月まで、350円)、茶づくりを体験する「手もみ茶教室」(要予約、1800円)、お点前を学ぶ「抹茶教室」(700円)など様々な体験教室が催されている。今回2人が体験した抹茶体験では、県内でも有数の茶室で、本格的な茶道が行える場所だという。こうしたちょっとした非日常的な体験をひとつ入れるだけで、その日のサイクリングの満足度は大きく変わる。上記の体験教室はいずれも1時間ほどなので、サイクリングの合間にも入れてみるといいだろう。

奥久慈茶の販売やレストランスペースも Photo: Masahiro OSAWA
篠さんとYOPIさんはお点前を学ぶ「抹茶教室」に参加 Photo: Masahiro OSAWA

 ちなみに、奥久慈茶の里公園は、レストランも備えており、他ではなかなか食べられないお茶の葉の天ぷらもあるのだとか。サイクリングの休憩場所として最初に立ち寄るにはちょうどいい場所になりそうだ。

抹茶体験の感想は?

YOPIさん:高校生のとき以来の体験になりました。抹茶を出してくれるところはありますが、自分で点てたりとか、作法を学べたりする機会は高校生のとき以来なので楽しかったです。茶室から見えた景観もとてもよかったです。

篠さん:初めての経験でしたが、抹茶だけではなく所作も教えてもらえたのはよかったです。

サイクリングの魅力を手軽に味わえるコース

 続いて県道159号、県道160号とつないで、おやき作りを体験できる「大子おやき学校」に向かう。目的地に着くまでは、本格的な上りが待っている。e-BIKEの本領発揮といったところだが、e-BIKEでは通常ではありえないスピードで坂道を上れてしまうので、思わずペダルを踏み込んでしまいたくなるし、踏み込んだら踏み込んだで、体を動かした感じが強い。若干汗をかく程度の軽い運動になる。

きつい勾配でもe-BIKEならばシッティングのままで楽々に坂道をこなせる Photo: Masahiro OSAWA

 茶畑が続くのどかな景色を抜け、坂道を上りきる手前に、景色が開ける場所もあり、頂上を超えると、今度は疾走感を味わえる長い下りが待っている。手軽にサイクリングの醍醐味を味わうには、もってこいのコースといえるだろう。

e-BIKEに乗った感想は?

YOPIさん:エコモード、スタンダードモード、ハイモードと、アシストの高低を操作するのが楽しい。車をドライブするような感じもありますね。

篠さん:e-BIKEでもエコモードにすると、上り坂では結構、負荷がかかるんです。しんどいほどではないのですが、ほどよく運動している感覚になります。普段からロードバイクに乗っている人でも、e-BIKEは十分楽しめると思います。

思い思いのデザインで作れるおやき体験

 目的地の「大子おやき学校」は、おやき作りが体験できるスポットだ。おやきのほか奥久慈特産品の販売も行っている。ものすごく雰囲気があるが、それもそのはず。明治7年創設の旧槙野地小学校の校舎を活用したスポットなのだ。

大子おやき学校 Photo: Masahiro OSAWA
中ではおやきの販売も Photo: Masahiro OSAWA

 おやき体験は1人800円。具材を小麦粉で作った皮に包むだけの簡単なもの。ここでは具材を包んだ生地に思い思いの画を描くこともできる。ちなみに、篠画伯とYOPI画伯の作品はとても個性的だった。誰が何を描いたのか、答えは写真キャプションで確認してほしい。

小麦粉で作った皮に包んで最後に画を書く体験講座 Photo: Masahiro OSAWA
右3つが篠画伯のもので、上から落石注意の道路標識、山道、激坂勾配。左3つがYOPI画伯のもので上からホイール、夫のTOMIさん、フクロウだとか Photo: Masahiro OSAWA

おやき体験の感想は?

一番お気に入りというおやきを手に Photo: Masahiro OSAWA

篠さん:おやきは、自転車乗りがよく食べる馴染み深い食べ物ですよね。買って食べることよくありましたが、自分で作って食べるのは楽しいですね。作るのも簡単でした。800円で体験できて、1個150円と考えると…、お得感が高いです。かかった時間も1時間くらいだったので、サイクリストが立ち寄ってもいいのではないかと思います。ファミリーが寄っても楽しそう。

YOPIさん:意外と大人になってから、こうした体験をする機会って少ないですよね。子供のころに戻れたようで楽しかったです。自分でお土産ができるのもポイント高いです。

自転車キャンプも楽しめる大子広域公園

 次に向かったのが「大子広域公園」だ。実は奥久慈茶の里公園の茶室で、「今日巡る場所には、長い滑り台がある公園があってね…」と話を出したら、食いついてきたのがYOPIさんだった。「長い滑り台、めっちゃやりたい!」と。そして、その希望は叶うことに…。

大子広域公園のなかにある斜面利用型アスレチックの滑り台。高低差がかなりのもの。滑り終わると次は山登り体験ができる Photo: Masahiro OSAWA

 もちろん滑り台のために来たのではない。この公園にはサイクリストから家族連れまで楽しめる多種多様の施設があり、それを視察に来たというわけだ。今回は巡れなかったが、サウナや温水プールを備え季節を問わずに楽しめる「フォレスパ大子」があり、夏季には波の出るプール、滝スライダーなど、家族で楽しめるプール施設もある。

 隣接するオートキャンプ場の「グリンヴィラ大子」は、温泉、シャワー、売店など、様々な施設を備えたキャンプ場だ。テントを持っていなくても、レンタルも行っている。宿泊アイテムがなくとも、自転車キャンプが楽しめてしまう。

 テント泊以外にも、複数人で宿泊できるキャビンもある。サイクリング仲間でキャビンを借りて、昼間は奥久慈をサイクリングしてキャビンに戻り、夜はキャビンでワイワイガヤガヤと過ごす、そんなプランもありだろう。サイクリング仲間同士の合宿にはもってこいだ。

標準4人のファミリーキャビンと標準8人のグループキャビンがある Photo: Masahiro OSAWA
仲間ときたらどれだけ楽しいかと、夢想する二人 Photo: Masahiro OSAWA

 さらに二人の目を引いたのがトラベルトレーラーだ。アルミボディーのトレーラーは、キャンピングカーのような造りになっている。思わず、「スゴイ」を連呼してしまうほど、気分が上がるから不思議だ。

トラベルトレーラー。定員は4人。園内には3台のトラベルトレーラーがあった Photo: Masahiro OSAWA
トラベルトレーラーの内部。ちなみに2人の会話を聞いていたら、パワーメーターについてだった Photo: Masahiro OSAWA

大子広域公園はどうでしたか

YOPIさん:プライベートでも訪れたい場所です。自転車ウェアでも、あの滑り台も余裕でこなせますね。グリンヴィラ大子を拠点にして温泉に入ってバーベキューをしてと、すごく楽しめる場所。翌日遊んだりもできますし…。家族連れできて、奥さんと子供はアスレチックで遊んで、夫は走りにいくなんてことも…。あ、もちろん、立場は逆でもいいですけど。

ゲストハウスもあるカフェ「咲くカフェ」へ

 最後のスポットとして訪れたのが「咲くカフェ」だ。咲くカフェ代表の櫻山啓三郎氏が生家をリノベーションしてゲストハウス付きのカフェとして誕生。メニューには自家栽培の野菜やハーブを含めて20~30品目の地元産の食材を使用しているという。

咲くカフェ Photo: Masahiro OSAWA

 店内には、今どきの若者グループがいたが、外観・内装ともにお洒落なのだからやってくるのも納得。場所柄、終着地点の道の駅奥久慈だいごまでほんの数分の場所にあり、一日の締めくくりとして、仲間と語らいあうには最高の場所だろう。

ガラス張りの窓が解放感を高めてくれて思わず長居してしまいそうになる(というより長居してしまった) Photo: Masahiro OSAWA

 さて、咲くカフェでは今回巡ったコースについてお二人に総括してもらった。以下、写真とともにお二人の感想を振り返っていこう。

今回のコースを走ってみてどうでしたか?

走行したコースはひたすら、のどかな雰囲気が続く Photo: Masahiro OSAWA

YOPIさん:交通量が少なくて何回信号を見たのだろうと思い返すほどに信号が少なかった(信号機は全5カ所)。路面もすごくきれいで走りやすいです。アップダウンもありましたが、それほどえぐいものではなかったですし…。サイクリングロードのようにところどころ車止めがあるわけでもなく、ノンストップで走れるので、ビギナーの人にとっても、ここを走るのは気持ちいいのではないかと思います。高い建物もなく、里山感を味わえる今日のような景色の中で走るサイクリングが一番気持ちいいですね。

篠さんが最も気に入ったのは茶畑のある風景だとか Photo: Masahiro OSAWA

篠さん:県道の割に交通量が少なく走りやすいです。信号が少なくて流れるように走れることはポイントが高いです。しかも、坂もあって最高ですね。ずっと平地だけだと飽きてしまうんですけど、適度なアップダウンもあっていいですね。

 景色が開ける場所もありましたし、コース全般的に里山感があってのどかな感じも素敵でした。里山を見るだけでテンションがあがるんですよ。

奥久慈エリアの印象は?

 カフェでくつろぎ、終着点の道の駅奥久慈だいごへ。朝10時過ぎにスタートし、戻ってきたのは午後5時過ぎだった。距離は28km余りと短いが、過ぎていく時間が早いのはそれだけ充実していたからだと思う。

道の駅奥久慈だいごに到着。到着時はすでに午後5時を回っていた Photo: Masahiro OSAWA

 随行していた筆者もこの地域には相当のポテンシャルの高さがあると思った次第だ。どこを走っても、走り心地のよさそうな道路があり、遊び方もいろいろ。生粋のサイクリストからビギナー、ファミリー層まで楽しめるように思う。そう感じたのは私のみならず、篠さん、YOPIさんも同じ。二人ともに奥久慈エリアは大注目のエリアになったいう。最後に二人の奥久慈エリアの印象をご紹介しよう。

奥久慈の印象はどうでしょうか?

まだ多くのサイクリストに知られていない風景、道が奥久慈にはたくさんありそうだ Photo: Masahiro OSAWA

篠さん:個人的にはめちゃくちゃ好きです。過去2回訪れていて今回で3回目ですが、探せば楽しい道がたくさんあります。茨城県の北部を走っている人はそれほど多くないのでは? そのくらい開拓されていないと思います。メジャーなところを走り飽きたら探検したくなるんじゃないでしょうか。そういうところは茨城県北部にたくさんあるような気がします。

YOPIさん:県北方面に来たのは今回が初めて。県内最高峰の八溝山を知ったのも今日なんです。茨城といったら筑波山、りんりんロード、霞ヶ浦のイメージが強いですが、もっと奥久慈の情報を発信していければ、もっと多くのサイクリストが訪れるのではないでしょうか。

今回立ち寄ったスポット

道の駅奥久慈大子 住所:大子町池田2830-1 電話:0295-72-6111

奥久慈茶の里公園 住所:大子町大字左貫1920 電話:0295-78-0511

大子おやき学校 住所:大子町大字槙野地2469 電話:0295-78-0500

グリンヴィラ大子 住所:大子町矢田15-1 電話:0295-79-0031

咲くカフェ 住所:大子町大子416-1 電話:0295-76-8320

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