路線が茨城県南東部へ延伸B.B.BASEの「佐原・鹿島コース」で行く 快適「つくば霞ヶ浦りんりんロード」サイクリング

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 JRの両国駅と佐原駅を結んでいたJR東日本のサイクルトレイン「B.B.BASE」(ビービーベース)の「佐原コース」が今秋、路線を鹿島神宮駅まで延伸し、新たに「佐原・鹿島コース」として生まれ変わった。利根川を渡って、茨城県南東部まで気軽に足を延ばせるようになり、停車駅に潮来(いたこ)駅と鹿島神宮駅が加わった。早速、その「佐原・鹿島コース」の片道切符を利用してJR潮来駅で下車し、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」をフルコースで走るという1泊2日の自転車旅プランを体験した。

サイクルトレイン「B.B.BASE」の新設コース「鹿島・潮来コース」行きの列車に乗って茨城県のJR潮来駅へGO! Photo: Kyoko GOTO

輪行疲れとは無縁の「B.B.BASE」

 自転車を輪行せずに、そのままの状態で乗車できるサイクルトレイン「B.B.BASE」。毎週末、東京のJR両国駅を起点に房総半島4路線(外房コース、内房コース、銚子コース、佐原・鹿島コース)で運行している。 

B.B.BASEの路線図。両国を拠点に現在4つのコースが運行している。今回は10月に新設された茨城県南東部に向かう佐原・鹿島神宮コース ©B.B.BASE

 起点となるJR両国駅にはクロス、ロードを含む29台のレンタルバイクを取り揃えた「B.B.BASEバイシクルステーション」があるので、往復でB.B.BASEを利用する場合は、ここで自転車をレンタルして自転車旅に出かけることもできる。

「B.B.BASE」の発着駅、JR両国駅 Photo: Kyoko GOTO

スポーツバイクを借りられる「B.B.BASEバイシクルステーション」。クロスバイクは2日間で4500円、ロードバイクも6000円で借りられる Photo: Kyoko GOTO

 ちなみに両国駅の中にある「ベックスコーヒー」はこの秋、サイクルカフェとしてリニューアルオープン。B.B.BASEの乗車チケットを提示すると無料でコーヒーのサイズアップができるサービスを行っている。

両国駅の中にある「ベックスコーヒー」。入り口左手にはバイクラックも完備されている Photo: Kyoko GOTO
ロードバイクがディスプレイされた店内 Photo: Kyoko GOTO

 この日のB.B.BASEの出発は午前8時12分。ここから茨城県の潮来駅まで約2時間の電車旅が始まる。ベックスコーヒーでサイズアップしたコーヒーと朝ごはんを調達して、車窓の景色を眺めながらのんびりと旅を楽しむのも良いだろう。

当然ながら自転車を輪行状態にせずに乗車。この瞬間が嬉しい! Photo: Kyoko GOTO

 B.B.BASEは自転車を解体しなくて良いことはもちろん、車内で他の乗客に迷惑がかからないかとヤキモキすることもない。片道切符(両国~鹿島神宮間)の料金は3800円。このストレスフリーを体験するとそれだけの価値はあると感じる。

各指定席の背面に自転車を固定。自転車によっては搭載できない場合もあるので予め公式サイトで自転車の規定を確認しよう Photo: Kyoko GOTO
快適な自転車旅。このストレスフリー感は新幹線でも味わえない Photo: Shusaku MATSUO

 午前10時7分、JR潮来駅に到着。固定していた自転車を外し、そのままホームへと下りる。電車からそのまま駅の外まで自転車を押し歩くという非日常感が楽しい。

到着したJR潮来駅では地元の熱烈な歓迎のサプライズ Photo: Kyoko GOTO

 JR潮来駅で下車した目的は、茨城県にあるナショナルサイクリングルート「つくば霞ヶ浦りんりんロード」にアクセスするため。潮来駅は霞ヶ浦の南東部分に位置しており、対岸には茨城県のサイクリングの拠点、土浦市がある。

JR潮来駅と土浦駅の位置関係。霞ケ浦沿いに48kmを走る ©RidewithGPS

 今回の旅は、その土浦市を目指して霞ヶ浦の東側の湖畔を走り、翌日には土浦から筑波山方面へ旧筑波鉄道の廃線敷を再利用した自転車道を走るという、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」をまとめて満喫できるコース設定となっている。

ストレート多めの霞ケ浦東岸で爽快ライド

 午前10時過ぎ、JR土浦駅を目指して潮来駅をスタート。いつもなら漕ぎ出す前に輪行で“一仕事”を終えて「やっとスタート」な気分で走り出すところだが、その一連の手間がないだけで、なんと体と気持ちがフレッシュなことか! 手が汚れることもなければ、作業中に体が冷えることもない。さらにいえばバラした自転車を再び組み立てるという徒労感もゼロ。「輪行って大変な作業だったんだな…」と気付くと同時に、この甘美な体験…クセになりそうです。

JR潮来駅から土浦目指して霞ヶ浦の湖岸東側を北上。輪行の手間がないだけで気持ちの負担が大きく違う! Photo: Shusaku MATSUO

 霞ヶ浦の南東部にある潮来から土浦へは東西どちらの湖畔からでもアクセス可能で、どちらかというと西岸の方が距離は短いが、地元のサイクリストいわく、西岸より東岸の方がストレートな道が多く、路面の状態も良いのでさらに走りやすいとのこと。さらにいえば左側通行なので、ライド中常に湖面が間近に見えるのも東岸側を走るメリットだ。

風もなく穏やかだった当日、行く手には空と湖面の境目がわからない不思議な風景が広がっていた Photo: Kyoko GOTO
元造り酒屋だった古民家をリノベーションしたゲストハウス「江口屋」でランチ休憩 Photo: Kyoko GOTO
普段はランチは営業しておらず、宿泊客用のメニューを特別に提供していただいた。かすみがうら市産「ふくまる厳選米」の釜土炊きごはんをはじめ、全ての食材が茨城県内産というこだわり Photo: Kyoko GOTO
2019年3月にオープンしたサイクリングの新拠点施設「りんりんポート土浦」。入り口では土浦市のマスコットキャラクター「つちまる」がお出迎え Photo: Kyoko GOTO
チューブ等の備品を取り扱う自動販売機も完備 Photo: Kyoko GOTO

「BEB5」で自転車旅をとことんエンジョイ!

 この日の宿はJR土浦駅の駅ビル「PLAYatre」内に併設する「BEB5」。星野リゾートが手掛けるサイクリストのためのカジュアルホテルだ。

JR土浦のプレイアトレ内にあるサイクリストのための宿「星野リゾートBEB5 土浦」に到着 Photo: Kyoko GOTO

 BEB5といえば「愛車と添い寝」ができるサイクルルームや、霞ヶ浦の湖畔で朝焼けを見にいく「朝焼け絶景サイクリング」等といった、サイクリストの心をくすぐるユニークな“ハプニングステイ”が特徴だが、この秋のグランドオープンとともに、さらに新たなサービスを追加した。

自転車を部屋に持ち込めるサイクルルーム Photo: Shusaku MATSUO
自由に工具が使えるメンテナンスルーム Photo: Kyoko GOTO
霞ヶ浦の湖畔で朝焼けを見にいく「朝焼け絶景サイクリング」。朝焼けを見たあとはホットコーヒーと干し芋のサービスも ©星野リゾート

 その一つが、サイクリストが快適に過ごすための便利グッズの無料貸し出し。ビンディングシューズから履き替えられる館内用のスリッパや、サイクルルーム以外でも愛車を室内に置くことができる自転車スタンドの貸し出し、そして雨の日に嬉しいシューズ用の乾燥機や、洗濯ネットやピンチ付ハンガー等の貸し出し、さらに乾燥用のサーキュレーターの貸し出しまで全て無料で行っている。

洗濯ネットやピンチ付ハンガーの貸し出し等、通常の宿泊先では得難いもの Photo: Shusaku MATSUO
シューズ用乾燥機。乾燥から消臭殺菌までできるので、万が一雨で濡れた場合でも安心 Photo: Shusaku MATSUO

 旅といっても「荷物を極力少なくしたいから、ジャージを1着分しかもたない」というサイクリストも少なくない。実際、私も旅先では翌日のためにジャージを洗濯をすることが多い。そういったニーズを吸い上げ、かゆいところに手が届くようなきめ細やかなサービスは、サイクリストの思考や行動を知り尽くしたBEB5ならではの心配りだろう。 

脚を伸ばして「旧筑波鉄道」コースへ

 BEB5で楽しく快適にリカバーした翌日は、「つくば霞ヶ浦りんりんロード」のもう一つのコース「筑波鉄道コース」で桜川市を目指す片道約30kmのライドに出発。 

「つくば霞ケ浦りんりんロード」の「旧筑波鉄道廃線敷コース」を走り、筑波山を回り込む形で桜川市の真壁まで走る片道約30kmのコース ©RidewithGPS

 その名の通り、旧筑波鉄道の廃線敷を再利用した全国的にも珍しい自転車歩行者専用道で、信号がないのはもちろん勾配が少なく急カーブもないので、とても走りやすいコースとなっている。

旧筑波鉄道廃線敷を活用した「つくば霞ヶ浦りんりんロード」 Photo: Shusaku MATSUO

 行程はJR岩瀬駅までの片道40km。旧駅舎を活用した休憩所がコース上に6カ所設置されているので、自分のペースや体力に合わせてサイクリングを楽しむことができる。

コース上に現れる旧駅舎(休憩所)にかつてここが線路だった面影が Photo: Kyoko GOTO
休憩所に設置されている公共空気入れ Photo: Kyoko GOTO
正面から迫りくるような筑波山。桜川市方面に自転車を漕ぎ進めると、次第に雄大さを増していく Photo: Shusaku MATSUO

 スタートから約30km地点、桜川市の真壁に到着。歴史的な町並みが残るエリアで、重要伝統建築物群保存地区にも指定されている。時間があれば自転車を下りて散策してみのもおすすめだ。

 その一角にある劇坂を上った先の小高い丘に、本日のゴールとなるオーベルジュ「うり坊」がある。芥川龍之介や室生犀星など多くの文人達に愛されたといわれる歴史ある宿で、今秋「筑波山ろくの泊まれるレストラン」としてリニューアルオープンした。

見晴らし抜群の高台で、隠れ家のように佇むオーベルジュ「うり坊」 Photo: Kyoko GOTO

 レストランのランチはイタリアンのコースメニューのみ。限定30食で要予約制となっている。ちょっと贅沢にランチ休憩を楽しんだあとは、真壁の町を散策して土浦駅に戻るのも良し、時間があればここでもう一泊して、今度は筑波山でヒルクライムを楽しむのも良いだろう。次の動き方、楽しみ方を展開する拠点として活用できそうな立地だ。

ランチはイタリアンのコースが楽しめる Photo: Kyoko GOTO
文豪・芥川龍之介も宿泊したという客室 Photo: Kyoko GOTO

◇         ◇

 B.B.BASEでから潮来経由で楽しむ、つくば霞ケ浦りんりんロードのフルコース旅、いかがだったでしょうか。もちろん潮来駅を拠点として霞ケ浦界隈を走り、B.B.BASEで日帰り往復の旅を楽しむのもおすすめですが、往路でB.B.BASEを利用し、復路は行った先で輪行乗車すれば、自転車旅の幅をもっと自由に広げることができます。点と点をつなぐように、上手にツールを活用して快適な自転車旅を楽しんでみてください。

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