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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<363>2021年シーズンブレイク必至! トップチーム注目の若手を厳選ピックアップ<1>

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ロードレースシーンは現在、例年よりも遅めのストーブリーグが進行中。来季を見据え、各チームが陣容を整えているところだ。近年、若い選手の台頭が目立っているが、それを受けて今回はUCIワールドチームを中心に有力チームで飛躍を誓う注目の若手を紹介していきたい。第1弾は、アージェードゥーゼール ラモンディアール、アスタナ プロチーム、バーレーン・マクラーレン、ボーラ・ハンスグローエ、サーカス・ワンティ・ゴベール、コフィディスから、来季時点で25歳以下のヤングライダーをピックアップ。筆者目線で、その可能性を探っていく。(紹介する選手はいずれも2021年シーズン所属予定チーム。ただし、選手・チームの事情により移籍するケースがあることをご理解ください)

アスタナ プロチームの総合エース候補の1人、アレクサンドル・ウラソフ。今季3勝を挙げ、グランツールレーサーとしての期待も高まっている =ジロ・デル・エミリア2020、2020年8月18日 Photo: Luca Bettini/BettiniPhoto©2020

パレパントルやウラソフにはグランツール上位進出の期待も

アージェードゥーゼール ラモンディアールの次期総合エース候補、オレリアン・パレパントル。山岳・TTともに力を持つ =パリ〜ニース2020第7ステージ、2020年3月14日 Photo: Yuzuru SUNADA

 エースクラスの入退団を含めて10人以上の入れ替わりが予定されているアージェードゥーゼール ラモンディアール(2021年シーズンからアージェードゥーゼール・シトロエンチームに名称変更)だが、従来通り若いフランス人ライダーの育成にも力を入れる。なかでも、ジロ・デ・イタリアを個人総合16位で終えたオレリアン・パレパントル(24歳・フランス)がステージレースでどこまで順位を伸ばしてくるかに期待。短期間のステージレースではすでにトップ10入りも経験。山岳はもちろん、タイムトライアル能力も高いとあり、来季は総合エースとして走る機会が増えてきそうだ。

デビューイヤーから快走を連発したアレクサンドル・ウラソフ。2021年は総合エースとしてグランツールを戦うことになりそう =ティレーノ〜アドリアティコ2020第8ステージ、2020年9月14日 Photo: Yuzuru SUNADA

 アスタナ プロチーム(2021年シーズンからアスタナ・プレミアテックに名称変更)は、山岳コースを中心にシーズン3勝を挙げたアレクサンドル・ウラソフ(24歳・ロシア)にリーダーとしての役割が約束されそうだ。勝利したレース以外にも、イル・ロンバルディア3位、ティレーノ~アドリアティコ個人総合5位と、トップライダーと台頭に渡り合えるだけの実力は証明済み。ジロは体調不良でリタイアしたが、目標をスライドして臨んだブエルタ・ア・エスパーニャは個人総合11位。来年は、グランツールのいずれかで総合エースを務めることになるだろう。ビッグチームからのオファーがヨーロッパのサイクルメディアで報じられたが、当面は現チームで走る意向を示している。

若手とベテランの融合が進むバーレーン・マクラーレンは、フレッド・ライト(左から2人目)が注目のスピードマン。上りや石畳にも強さを発揮する Photo: TeamBahrainMcLaren

 経験・実績ともに豊富な選手たちを中心に戦術を構築するバーレーン・マクラーレンだが、若いスピードマンも順調に成長中。フレッド・ライト(21歳・イギリス)は、先のブエルタで数少ないスプリントチャンスで上位入りにトライ。第15ステージでの4位がハイライトとなった。トラックレースをバッグボーンに、プロ入り前の2019年には“若手の登竜門”ツール・ド・ラヴニールでステージ優勝を経験。短い上りや石畳への適応力も高く、今季でチームを離れるイヴァン・ガルシア(スペイン)の穴を埋める存在となる可能性が高い。

トップライダー撃破の“スピードスター”はボーラ・ハンスグローエへ

今季注目を集めた若手スプリンター、ヨルディ・メーウスはボーラ・ハンスグローエに加入 Photo: Igor Stancik/BettiniPhoto©2020

 スプリント王国ボーラ・ハンスグローエには、新たな「スピードスター候補」が加わる。ヨルディ・メーウス(22歳・ベルギー)は、SEGレーシングアカデミーで鍛練を重ねた3年間で5勝。そのうちの4勝は今年挙げたもの。特に、8月のチェコ・ツアー(UCIヨーロッパツアー2.1)では、シーズン中断明けでペースを上げてきたトップチームのライダーたちを撃破してのステージ2勝。10月には、ベルギー選手権のアンダー23部門を制し、文句なしのプロ入りを決めている。チーム合流後は、パスカル・アッカーマン(ドイツ)らエーススプリンターのリードアウト役を担い、スプリントトレインのノウハウを学ぶ見込み。数年後には、自身がエーススプリンターとしてチームを引っ張るビジョンもすでに完成している。

UCIワールドツアー昇格となるサーカス・ワンティ・ゴベールは山岳強化の一端としてゲオルク・ツィンマーマンを獲得する Photo: Chris Auld Photography / Getty Images

 サーカス・ワンティ・ゴベールは、スポンサー撤退による事実上の解散となるCCCチームからUCIワールドチームライセンスを引き継ぎ、トップカテゴリー昇格が決定的。同ワールドツアーへのフル参戦に向けて、現状ではCCCチームから3選手の受け入れが決まっている。そのうちの1人、ゲオルク・ツィンマーマン(23歳・ドイツ)は、ブエルタでたびたび逃げにトライ。本来はクライマーで、今年は2月のエトワール・ド・ベッセージュ(フランス、UCIヨーロッパツアー2.1)で山岳賞を獲得。昨年はツール・ド・ラヴニール個人総合5位と、ステージレーサーとして将来を嘱望される存在。チームは伝統的にワンデーレーサーやスプリンターが多いが、山岳強化の一端として若きジャーマンライダーに白羽の矢が立った。

コフィディスはスプリント路線強化にCCCチームからシュモン・サイノクを獲得。リードアウトでも自身の勝負でも活躍が見込めるスピードマンだ =ツアー・ダウンアンダー2020チームプレゼンテーション、2020年1月18日 Photo: Yuzuru SUNADA

 今季はわずか2勝と寂しい結果に終わったコフィディスは、スプリントと山岳とを並行して強化を図っていく。スプリント路線で期待をかけられているのが、CCCチームからの移籍が決まったシュモン・サイノク(23歳・ポーランド)。今季はポーランド選手権2位が最高で、シーズンを通してレース出場数が限定されてしまった印象だが、昨年はブエルタの平坦ステージで上位進出を果たすなど、スピードを生かした走りを披露。今シーズンまさかの未勝利に終わったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)の復活をミッションとするチームにあって、リードアウトマンとしても、さらには自身での勝負でも、計算できる若いスピードマンを獲得し平坦コースでの戦いのメドが立った。

今週の爆走ライダー−クレモン・シャンプッサン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 前述のパレパントルとならんで、アージェードゥーゼール ラモンディアールの希望となっているスター候補、22歳のクレモン・シャンプッサンを紹介。

アージェードゥーゼール ラモンディアール期待のクライマー、クレモン・シャンプッサン。2020年シーズンがグランツールデビューを果たし、今後への足掛かりとしている =トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ2019、2019年10月8日 Photo: Yuzuru SUNADA

 ブエルタでは逃げや要所でのアタックでその名を売ったが、プロ入り前からクライマーとして将来を嘱望されてきた。ツール・ド・ラヴニールは昨年が個人総合4位、一昨年が同5位。自身いわく「ミスがあって」2年とも総合表彰台を逃しているが、同時に「同年代との力の差を測るには最高の機会だった」とし、それがプロ入り以降の指標にもなっているという。

 幼い頃はテニスに親しみ、12歳から始めた自転車競技ではマウンテンバイクでジュニアのフランス王者にもなったが、「限界を悟った」との理由でロードへ転向。早い段階で山岳への適性を示してみせた。

 将来的にはグランツールをメインに戦いたいとの展望を掲げるが、そこへの到達を急ぐつもりはない。今シーズンが予定通りに進んでいれば、グランツールへの出場を回避してレース数を制限しながらプロ初年度を走る見込みだったほどで、イレギュラーなシーズン進行に試行錯誤しながら臨んでいたことをブエルタ後に打ち明けている。当面はチームメートのアシストをこなしながら、持っている力を伸ばしていく心積もりだ。

 初のグランツールとなったブエルタは、走り終えると動けないほどに疲れ切ってしまった。長期間のレースにおける、力の配分もこれからの課題。充実したチーム環境の下、トップシーンで走るための極意を学んでいる段階だ。

フランス自転車界も注目するクレモン・シャンプッサンの動向。しばらくは無理せず、チームメートのアシストを経験しながら実力を伸ばそうという考えだ Photo: AG2R La Mondiale
福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

サイクルジャーナリスト。自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、今ではロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。現在は国内外のレース取材、データ分析を行う。UCIコンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」ではメディアオフィサーとして、チーム広報やメディア対応のコントロールなどを担当する。ウェブサイト「The Syunsuke FUKUMITSU

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