養成所で行う訓練の一覧(例)
・瞬発系筋力、スタート(ゼロスタート)
・筋力、パワー(中速からの加速)
・パワー(爆発的パワー強化、筋刺激)
・パワースピード(加速補助→モーター退避)
・回転力(高回転)
・オーバースピード(追走)
・特化したパワー、スピード(レースギヤでのモーターもがき)
・特化した筋力、スピード(レースギヤでの自力もがき)
・筋力、持久力(高強度筋持久力・スキル)
・パワー、スピード、耐久力(スピード持久力)
・有酸素トレーニング
今年春に日本競輪選手養成所へ入所し、選手候補生となった窪木一茂選手(チームブリヂストンサイクリング)から、養成所生活のリポート第2回が届きました。来春までの養成期間も折り返しを過ぎ、実戦的な訓練に移ってきました。今回は養成所での具体的なトレーニング内容も紹介します。
◇ ◇
日本競輪選手養成所に入って、まもなく5カ月あまりが経過しようとしています。ここでの生活環境にもだいぶ慣れてきました。コロナの影響で外出はできませんが、外部との接触は無いため、安心して練習に打ち込めています。9月上旬には第2回目の卒業認定考査が行われました。これらの認定試験と呼ばれるものは年に3回行われ、これらに合格しなければ競輪選手という職業に就くことができません。
僕はというと無事に2回目の中間試験に合格することができました。
簡単に説明すると、自転車のタイムを計る技能検定、身体に異常がないかの身体検査、競輪選手になるための知識を要する学力検定、競輪選手に適した人物であるかを見定める人物検定という、4項目の試験です。
中間認定考査が終了し、これから卒業までは競輪の模擬競走訓練という、実際の競輪競走の行い方などについて学んでいく時期となります。
リポート第2回の今回は、日本競輪選手養成所のトレーニング内容、学科、訓練について紹介したいと思います。
まず入所してすぐに119回生、120回生ともに一年間の自転車のトレーニングプラン、ジムトレーニングの計画表について教えてもらいました。
大まかな、自転車トレーニングでの年間期分けとして、訓練期間当初は基礎的脚力の向上で基礎固めの時期という感じで、約10カ月の厳しいトレーニングをこなしていくために必要な基礎体力や持久力の強化に重点が置かれます。
並行して正しいフォーム習得や、追走スキルの向上を狙いに進められていきます。
第2回記録会に向けてはバイク誘導(バイクペーサー)を使って「オーバースピード」の強化を図りながら、特にトップスピードの限界を高めることに重点を置いていきます。
9月上旬の第2回記録会が終われば、専門的脚力の向上・競走技術の取得を目指して3月の卒業までは競走訓練が多く行われ、競輪選手としてのデビューに向けての準備に取り掛かります。
訓練期間の終盤では賭けの対象となる競輪選手として、公正安全にレース運びができるよう競走技術の十分な習得を目指して行っていきます。
トレーニング(訓練)についてのカテゴリーは以下の種類に分けられ、日々、最新の短距離ナショナルチームのトレーニング理論に基づいた高度な訓練が継続され、脚力の向上を図っていきます。
僕は今まで、長距離種目の100km、200kmといった自転車ロードレースを中心に競技を行ってきたので競輪選手養成所での短距離強化のトレーニング計画というものについて、初めて行うメニューが多く、疲労が抜けにくい日が多かったように思います。
一本、一本を出し切る練習が多く、一日に数本しかもがく練習がない日でも追い込んだ日の夜は、脚が筋肉痛のような感じで熱くなり、なかなか眠りにつけない日々もありました。
特に、教官が行ってくださるバイクモーターの後ろに付いてもがく練習は、時速80km/h以上で走ることが可能で、一人では出すことのできないスピードが出せてとても楽しんで練習に打ち込めています。
養成所で行う訓練の一覧(例)
・瞬発系筋力、スタート(ゼロスタート)
・筋力、パワー(中速からの加速)
・パワー(爆発的パワー強化、筋刺激)
・パワースピード(加速補助→モーター退避)
・回転力(高回転)
・オーバースピード(追走)
・特化したパワー、スピード(レースギヤでのモーターもがき)
・特化した筋力、スピード(レースギヤでの自力もがき)
・筋力、持久力(高強度筋持久力・スキル)
・パワー、スピード、耐久力(スピード持久力)
・有酸素トレーニング
1日のスケジュール(例)
午前6時30分の起床から午後10時の消灯まで綿密に組まれています。1年間の規則正しい生活は、自己管理、良識、人格などプロスポーツ選手としての、また社会人としての基盤を築いていきます。
6:30 起床
6:45 点呼
6:50~7:20 錬成・清掃
7:30~8:05 朝食
9:05~9:45 第1時限
9:55~10:35 第2時限
10:45~11:25 第3時限
11:25~12:05 昼食
12:55~13:35 第4時限
13:45~14:25 第5時限
14:35~15:15 第6時限
15:25~16:05 第7時限
16:15~16:55 第8時限
17:00~19:00 入浴
17:45~18:45 夕食
19:15~19:45 自習
19:45~20:50 自由時間
21:00 点呼
22:00 消灯
学科年間カリキュラム(例)
競輪関係法規の基礎、競輪の運営、あっせんの仕組み、登録方法、競技規則、一般教養、運動生理学の基礎、トレーニング理論の基礎、級班制度の仕組み、税金、年金、メンタルトレーニング法、セルフマネジメント、英会話、自転車整備技術、その他
僕が競輪選手養成所に入るにあたり、今まで自分が得意としてきた有酸素能力は一度ストップさせ、自転車ロードレースからは離脱するつもりでこの競輪の道に進むことを決意しました。もう一度、中・長距離のレースが走れるかという心配はありますし、在籍中や卒業してすぐは、ロードレースに集中して取り組んでいた頃のような持久能力が落ちているのも覚悟はしています。
しかし積み上げてきたことがあるので心配していません。
大学を卒業してオリンピックを本気で目指し、自転車競技と向き合うことを決めた23歳の時から、自転車のフィットネスコーチに「パワートレーニング」というものを指導してきてもらいました。日本ではあまり有効活用されていないように感じますが、海外ではパワートレーニングを生業にしているコーチが多く存在しています。
パワーデータを管理してきたおかげで、23歳からの約7年間の練習、またはオフの時期や、各試合等の蓄積したデータによって自分の身体は、約一年間有酸素能力をストップさせていても再び有酸素能力が向上できるという科学的なデータを知ることができたのです。簡単にいえば毎日の日記をつけるといった感じですかね。
それらの科学的データを積み上げてこれたおかげで、瞬発的能力を向上させることを第一に考えて取り組めると思っています。
この日本競輪選手養成所で世界基準の短距離育成カリキュラムを学べることで、自分の自転車選手としての可能性をより一層広げて行くことが、今後の自分の楽しみの1つにあります。それは日々鍛錬を繰り返すアスリートの本質的なものだと思います。
いつまで自転車を漕ぎ続けれるか全く想像できませんが、自分の可能性を信じて、自分の限界はもっと先にあると信じて自転車と共にこれからも歩んでいけたら、最高だと思っています。
これからも応援の程どうぞよろしくお願いします。
1989年生まれ。福島県石川郡古殿町出身の自転車競技選手。ロードレースとトラック中長距離の国内トップ選手として活躍。ロードでは2015年の全日本ロードレース選手権を制し、2016年から2シーズンはNIPPO・ヴィーニファンティーニに所属して海外レースを転戦。2018年には全日本個人タイムトライアルでも日本一に輝いた。トラック競技では、中長距離種目において個人・団体ほとんどの種目で日本チャンピオン獲得経験のある第一人者。2016年のリオデジャネイロ五輪にはオムニアム種目で出場。2019年もポイントレースやマディソン、4km個人追抜き、4km団体追抜きでも日本チャンピオンに輝き、国内記録、アジア記録を更新。
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