官民連携の取組みで文化を醸成ブリヂストンサイクルが静岡県職員向けに講習を開催 県で推進する自転車通勤を後押し

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 日本を代表する自転車メーカー、ブリヂストンサイクルは、今年8月に認定された「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクトの初回認定企業のうちの1社として、自転車を活用した取り組みに尽力している。11月1日、自転車通勤を推進している静岡県で、県職員向けの自転車講習を開催。実際に公道で遭遇する場面を想定した実地講習を行った啓蒙活動をCyclist編集部が密着取材した。

ブリヂストンサイクルが自転車通勤を推奨する静岡県の職員向けに安全講習を実施 Photo: Shusaku MATSUO

自転車通行の「なぜ?」を学習

 未曾有のコロナ禍において、“密”を避け、運動として効果的な自転車通勤が注目を集めている。「『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクト」も創設され、29社・団体(2020年10月6日現在)が“宣言企業”として名乗りを上げた。全社的な取り組みとして自転車通勤を推進する民間企業も増えている。

 そんな中、自治体も同様に自転車を活用した取り組みを積極的に採用している。静岡県もその一つ。修禅寺には日本サイクルスポーツセンターや日本競輪選手養成所を擁し、サイクルスポーツが盛んな地域として認知もあり、2021年には県内で東京五輪の自転車競技開催も決定している。伊豆半島を一周する“伊豆イチ”の舞台として県外のサイクリストに人気を博している。

 県内では、県民の自転車活用を促すため、民間企業だけでなく、県職員にも自転車通勤を積極的に導入を進めている。

学ぶ内容は基礎的な内容ながら、既存の愛好家でも復習したいものばかり Photo: Shusaku MATSUO
座学の講師を努めたブリヂストンサイクルの大槻浩太郎さん Photo: Shusaku MATSUO

 しかし、車道を原則とする自転車の走行は、自転車側と自動車側の相互に理解が進んでおらず障壁となっている事象が多い。そこで、ブリヂストンサイクルが県職員向けに講習を実施することになった。

 ブリヂストンサイクルは自社が抱えるプロチーム「チーム ブリヂストンサイクリング」の本拠地を三島市に構え、選手たちは県内を練習地として活動している。チームは「ふじのくにスポーツサポーター」として県内のスポーツ機運醸成に努めており、ブリヂストンサイクルとしても県と親交があったことが講習会開催のきっかけとなった。

 11月1日のイベント当日、県職員は座学での講習のほか、実際に遭遇しがちなシチュエーションを免許センター内の模擬コースで体験し、道路通行にまつわる理解を深めた。

 座学では「ヘルメットをなぜ被るべきなのか」、「自転車はどこを通行して良いのか」といった基本的かつ、意外に周知されていないルールやマナーをブリヂストンサイクルの社員、大槻浩太郎さんが説明。日頃から何気なく通過していた道路表示や看板の意味など、県職員からの細やかな質問に対しても丁寧に解説した。

自転車だけでなく車側の視点も重要視

 免許センターのコース内で行われた講習では、駐車車両の安全な避け方や、自転車が走行すべきライン、停車すべき場所などを時間をかけてじっくりと確認した。コースではシドニー、アテネ、北京五輪にトラック競技「ポイントレース」の日本代表選手として出場し、現在は同社社員の飯島誠さんが講師を勤めた。

 飯島さんは「ルールの範囲内で車から見て、よく認知される存在を目指しましょう」と解説していたのが印象的だった。車のドライバーから自転車がどう見えるのか意識を持つことが大事だと説いた。県職員らはスポーツバイク経験者と未経験者のどちらも含まれるが、皆が深く頷きながらコースを自らの足で回っていた。

レクチャーを受けた駐車車両の避け方を実践する県職員 Photo: Shusaku MATSUO
自転車はどこを通行すべきか、どの信号に従うべきかといった基本的なルールやマナーについて講習を受ける Photo: Shusaku MATSUO
「駐車車両のドアが開くかもしれない」といった実際に起こるシチュエーションを学ぶ Photo: Shusaku MATSUO
今回の講習の意義を説明する静岡県スポーツ・文化観光部スポーツ局スポーツ政策課長の大石哲也さん Photo: Shusaku MATSUO

 自らもサイクリストで、静岡県スポーツ・文化観光部スポーツ局スポーツ政策課長の大石哲也さんは「自転車通勤を推進する側として、県職員自らが取り組まなければならない課題です。ルールやマナーの理解を深めるとともに、青年会議所などに働きかけ、経営陣にメリットを知っていただきたいと考えています」と積極的に県内の民間企業への自転車通勤の導入を図りたい意向を示した。

 「県職員には自転車に普段乗らない人もいます。今回の講習では、実際に走って、動きについても教えていただき、そうした人の課題も見えてきました。県庁内だけでなく、広報動画などを駆使して官民だけでなく、既存のサイクリスト、車のドライバーなど幅広い方々に教育の場を持ち、安全を求めた活動を行っていければと思います」と石田さんは続けた。

元五輪日本代表で現在はブリヂストンサイクル社員の飯島誠さんが安全な自転車走行について解説 Photo: Shusaku MATSUO

 講習を担当した飯島さんは「皆さん、最初は自転車通勤に対して漠然としたイメージを持っていたかと思いますが、より具体的になったのではないかと思います。自転車側だけでなく、自動車を運転する側の視点についても考えていただきました。意識づけのきっかけになればありがたいですね。まだまだ日本は自転車後進国ですので、自転車通勤や競技に至るまで、広い範囲で文化が根付く取り組みをブリヂストンサイクルとしてお手伝いしてければと思います」と今後の展望を述べた。

 今後、静岡県としてはe-BIKEを活用したサイクルツーリズムの支援や、太平洋岸自転車道整備における矢羽根や走行レーンの設置といったインフラ事業にも力を入れるという。これらの施策に県職員が関わることは必須であり、今回のような講習は必ず生きてくるであろう。ブリヂストンサイクルの社会的な取り組みは、自転車文化の醸成に深く寄与している。

県内の自転車文化の醸成に向け、講習を終えた静岡県庁職員とブリヂストンサイクル Photo: Shusaku MATSUO

(提供:ブリヂストンサイクル)

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