ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 第16ステージ2つの峠越え後のスプリントをコルトニールセンがモノに ログリッチは総合リード拡大に成功

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ブエルタ・ア・エスパーニャの第16ステージが現地時間11月6日に行われ、2つの峠を越えるコースをマグナス・コルトニールセン(デンマーク、EFプロサイクリング)が勝利。ブエルタでは通算3勝目となるステージ優勝を挙げた。2位には個人総合首位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が入り、ボーナスタイムにより総合タイム差の拡大に成功している。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2020第16ステージ、2つの峠を越えた後の集団スプリントはマグナス・コルトニールセンが勝利した ©PHOTOGOMEZSPORT2019

カヴァニャが驚異の粘り

 前日行われた第15ステージと、この日実施された第16ステージは当初、隣国ポルトガルを走行することになっていたが、同国の新型コロナウイルス対策に関連して国境をまたいでのレース実施を取りやめ。ルートを再編成してスペイン国内での走行にとどめることとなった。

サラマンカをスタートするプロトン © Unipublic/Charly López

 このステージは、サラマンカからシウダード・ロドリゴまでの162km。スタートからしばし南下したのち、山岳地帯へと入っていく。ちょうどレース半ばで2級山岳のプエルト・エル・ポルティーリョ(登坂距離13.8km、平均勾配4.4%)を越え、いったん下ってすぐに1級山岳プエルト・エル・ロブレド(11.7km、3.8%)へ。この上りをクリアすると、残りは約35km。上りの難易度から見て、一概に逃げ有利とも言い切れず、展開はメイン集団のペース次第といったところ。逃げる選手たちを完全に容認するのか、スピードマンを残すチームが集団を統率してフィニッシュへと向かっていくのか、予想の難しい1日とされていた。

 そんな中で始まったレースは、15km地点でアンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH)のアタックに、チームメートのフアン・オソリオ(コロンビア)が同調。2人で逃げ始めると、レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、コービー・ホーセンス(ベルギー、ロット・スーダル)、ヘスス・エスケラ(スペイン、ブルゴス・BH)も合流を目指して追走を開始。30kmを過ぎたところで合流し、6人の先頭グループに。そのうち半数の3人のブルゴス・BH勢という状況となった。

 ただ、この日1つ目のカテゴリー山岳であるプエルト・エル・ポルティーリョの上りに入ると、オソリオが脱落。後方ではメイン集団もペースを上げ、最大で5分あったタイム差はあっという間に3分台へ。以降もその差は縮小していく一方に。

山岳区間をゆくメイン集団 © Unipublic/Charly López

 先を急ぎたい先頭グループは、1級山岳プエルト・エル・ロブレドに入ってカヴァニャがペースアップしたことで完全に崩壊。これに対応できたのはスタナードだけ。2人逃げの態勢で頂上を通過し、あとはフィニッシュまでの平坦と下りを攻めていくだけになった。

 前方はいずれも総合成績に関係しない選手たちだが、メイン集団もステージ優勝を狙うチームが逃げを許さない姿勢を見せる。特に、プエルト・エル・ロブレドの頂上通過以降は、モビスター チームが追撃ムードを高める一方。先頭の2人を眼前までとらえられるところまでやってきた。

 しかし、ここから驚異の粘りを見せたのがカヴァニャだった。残り18kmで一緒に走ってきたスタナードを切り離して独走に持ち込むと、20秒前後のタイム差を維持したまま先行を続ける。逃げ切りへのわずかな望みにかけて懸命にリードを守り続けた。

ペースが上がるメイン集団。マイヨロホのプリモシュ・ログリッチの姿も見える © Unipublic/Charly López

コルトニールセンが最後の100mで加速

 残り10kmで15秒のリードを持っていたカヴァニャだったが、フィニッシュまで5kmを切ると集団がもう一段ギヤを上げたこともあってその差は徐々に縮まっていく。残り3kmでは9秒差、何とか逃げたいカヴァニャだったが1kmほど進んだところで力尽きた。

 こうなると、勝負は集団スプリントが濃厚に。2つの峠越えで生き残った40人ほどが一団となって最終局面へと進んでいく。残り1.5kmでブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマ・エフデジ)がアタックを試みたが、これは決定打にはならず。スピードの上がった集団が労せずキャッチすると、その勢いのままスプリント態勢へと突入した。

ポディウムに上がったステージ優勝のマグナス・コルトニールセン ©PHOTOGOMEZSPORT2019

 早めに仕掛けたのはアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)。これをルイ・コスタ(ポルトガル、UAE・チームエミレーツ)がチェックに動く。さらに最後の100mでコルトニールセンがコスタの脇から抜け出て先頭へ。そのままトップで駆け抜けたコルトニールセンがステージ優勝を決めた。

 さらに、これに続く形でログリッチも2位でフィニッシュ。マイヨロホ自らスプリントに参戦し、ステージ上位のボーナスタイム6秒獲得に成功。総合争いのライバルに対してリードを広げる好走を見せた。

総合リード拡大に成功したプリモシュ・ログリッチ ©PHOTOGOMEZSPORT2019

 これにより、ログリッチと個人総合2位のリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)との総合タイム差は45秒とした。加えて、ポイント賞のプントスも2ステージを残して首位を事実上確定させ、あとは最終ステージまで走り切るだけとしている。

 激戦が続く大会は、いよいよ最終決戦へ。翌7日に行われる第17ステージは、セケロスからアルト・デ・ラ・コバティーリャまでの178.2km。1級から3級までの5つの山々を立て続けに走破し、迎えるは超級山岳コバティーリャの上り。登坂距離11.4km、平均勾配7.1%の難所は、中腹で10%前後の急坂区間が控え、最終盤も8%前後の勾配が続く。最終の第18ステージが平坦で、最終目的地マドリードまではパレード走行となることが慣例となっていることから、マイヨロホ争いは事実上コバティーリャが最後の戦いの場に。今年最後のグランツールの覇権争いが、いよいよクライマックスを迎える。

第16ステージ結果
1 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、EFプロサイクリング) 4時間4分35秒
2 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +0秒
3 ディオン・スミス(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット)
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
5 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)
6 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
7 ドリアン・ゴドン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
8 ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、NTTプロサイクリング)
9 ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、チーム サンウェブ)
10 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ プロチーム)

個人総合(マイヨロホ)
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 64時間20分31秒
2 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) +45秒
3 ヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング) +53秒
4 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) +1分48秒
5 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) +3分29秒
6 ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・マクラーレン) +6分21秒
7 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +7分20秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +8分45秒
9 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ プロチーム) +8分54秒
10 ダビ・デラクルス(スペイン、UAE・チームエミレーツ) +9分29秒

ポイント賞(プントス)
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 198 pts
2 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 125 pts
3 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) 111 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) 89 pts
2 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 34 pts
3 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 30 pts

新人賞(マイヨブランコ)
1 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) 64時間24分0秒
2 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ プロチーム) +5分25秒
3 ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ) +7分22秒

チーム総合
1 モビスター チーム 193時間19分2秒
2 ユンボ・ヴィスマ +7分48秒
3 アスタナ プロチーム +40分17秒

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UCIワールドツアー ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 ロードレース

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