ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 第15ステージフィリプセンが上り基調のスプリントに勝利 個人総合上位陣には変動なし

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 大会第3週を進行中のブエルタ・ア・エスパーニャ。現地時間11月5日は第15ステージを行い、雨と向かい風の中を進行する1日に。最後は複数の上りと悪天候を乗り切った選手たちによるスプリントとなり、ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ)がステージ優勝。グランツール初勝利を挙げた。個人総合での大幅な順位変動はなく、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が首位をキープ。引き続きマイヨロホを着用する。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2020第15ステージ、上り貴重のスプリントをジャスパー・フィリプセンが制した ©PHOTOGOMEZSPORT2020

ポルトガルとの国境に並行して進むロングステージ

 プロトンはスペイン北西部のガリシア州を進行。この日はモスからプエブラ・デ・サナブリアまでの230.8kmのルートが設定された。当初は隣国ポルトガルへ向かうことになっていたが、新型コロナウイルス感染拡大にともなって同国では国境の直接的な往来を制限する措置が発動。ブエルタもこれにしたがい、ポルトガルへの入国を断念することとなった。

モスの街を出発するプロトン ©PHOTOGOMEZSPORT2020

 それにより、国境と並行するような新ルートが設定された。内陸の丘陵地帯に入ってからは、5つの3級山岳を越えるタフなレイアウト。最終盤は残り3kmを切ってからのコーナーの連続と、残り1kmで迎える勾配5%の上りがフィニッシュへ急ぐ選手たちの前に立ちはだかる。今大会の丘陵ステージでは逃げ切りで勝者が決まる傾向にあるが、このステージも同様となるかはメイン集団のペーシング次第と見られた。

 レースは序盤の平坦区間から逃げを狙った動きが多発するが、数人飛び出しては集団が吸収する流れの繰り返し。距離を追うごとに飛び出す選手の単位が大きくなっていくが、先頭をゆくメンバーとメイン集団、ともに思惑がなかなか合致せず落ち着く気配が見られない。慌ただしい状況が続く中、この日1つ目のカテゴリー山岳である3級のアルト・デ・サン・アマロへと到達。ここは山岳賞争いで首位を独走中のギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)が1位で通過する。

10人を超える逃げメンバーがレースを先導 ©PHOTOGOMEZSPORT2020

 緊迫した展開の均衡が破られたのは、2つ目の山岳であるアルト・デ・カルセドを迎えいようかというタイミング。ここで13人が飛び出すと、ようやくメイン集団が容認。山岳ポイントを伸ばしたいマルタンもジョインすると、アルト・デ・カルセドを含む3つの上りで1位通過に成功させた。

 逃げの態勢を整えた先頭グループとメイン集団とは、残り100kmを目前にこの日最大の6分差に。その後はボーラ・ハンスグローエを中心にメイン集団のコントロールが本格化し、徐々に前を行く選手たちとの差を縮めていく。両グループ間の形勢に大きな変化はなかったものの、残り60kmでその差は2分15秒、残り50kmでは1分台、さらにはフィニッシュまで40kmを切ったところでいよいよ1分を切るタイム差まで迫った。

フィリプセンが上りスプリントでパワーとスピードを発揮

 レースが後半に入ってからは、メイン集団の勢いが勝っているかに思われたが、残り30kmを目前に先頭ではマティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)がアタック。これで逃げ続けていたグループが崩れ、数人がカッタネオを追う格好となる。前方でペースが上がったこともあり、一度は30秒ほどまで近づいたメイン集団は再び1分を超えるタイム差に。

メイン集団でレースを進めるアレハンドロ・バルベルデ ©PHOTOGOMEZSPORT2020

 こうした状況で、残り20kmを前にジーノ・マーダー(スイス、NTTプロサイクリング)がメイン集団から抜け出すと、あっという間に追走グループへと追いつきそのままパス。単独で先頭をゆくカッタネオを追いかける。しかし、トップを目指して走っていた選手たちは、いずれもしばらくして失速。結局残り10kmになったところでメイン集団に捕まった。

 前方でめまぐるしく展開が変化する中、一定ペースで進行を続けたメイン集団。独走態勢にあるカッタネオとの差を少しずつ縮めていき、残り5kmで20秒差に。完全に射程圏にとらえると、残り3.5kmでキャッチ。80人以上が集団に残っていたこともあり、ステージ優勝争いはスプリントになることが濃厚になった。

 コースがテクニカルになる残り3kmからはあらゆるチームが集団前方に入り乱れる形になったが、最後の1kmに差し掛かってミッチェルトン・スコット、ドゥクーニンク・クイックステップ、UAE・チームエミレーツといったチームのリードアウトマンが主導権争いを激化させる。そうした中から、残り300mでミケル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)が先頭に立つと、パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がすかさず反応。絶好のポジションから飛び出すタイミングを計る。

3人が並ぶようにしてフィニッシュ。ジャスパー・フィリプセン(左)がわずかにリードして勝利を決めた ©PHOTOGOMEZSPORT2020

 しかし、残り200mでアッカーマンの脇から加速したフィリプセンが先頭に立つとそのままフィニッシュへと猛進。アッカーマンやヤニック・シュタイムレ(ドイツ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が追ったが、上っていたこともありもう一段ギアを上げるには厳しかったか。トップを譲ることのなかったフィリプセンがステージ優勝を決めた。

 なお、この日は雨や向かい風の強い中でのレースとなったが、悪コンディションを考慮して残り3km地点でのタイム差をそのまま総合成績に反映させる対応がとられた。これにより、ステージ84位まではフィリプセンのフィニッシュと同タイム扱いに。個人総合上位陣はいずれもこの中でレースを終えており、順位の変動は発生していない。

 ここまでを終えて、ログリッチがマイヨロホとポイント賞のプントスでトップに立つ。山岳賞のモンターニャではマルタンがこの日だけで13ポイントを獲得し、3ステージを残して2位以下の選手たちの逆転が不可能な得点差とした。あとは今大会を完走できれば同賞の確定となる。新人賞のマイヨブランコはエンリク・マス(スペイン、モビスター チーム)が保持している。

マイヨロホをキープしたプリモシュ・ログリッチ ©PHOTOGOMEZSPORT2020

 翌6日に行われる第16ステージは、サラマンカからシウダード・ロドリゴまでの162km。レース中盤から後半にかけて標高1000m超の山岳を2つ上って、フィニッシュを目指していく。2つ目のカテゴリー山岳である1級のプエルト・エル・ロブレド頂上からフィニッシュまでは約35km。上りで生き残った選手たちがフィニッシュめがけてなだれ込む展開が予想される。

第15ステージ結果
1 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ) 6時間18分57秒
2 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +0秒
3 ヤニック・シュタイムレ(ドイツ、ドゥクーニンク・クイックステップ)
4 フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・マクラーレン)
5 ディオン・スミス(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット)
6 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、NTTプロサイクリング)
7 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、EFプロサイクリング)
8 ドリアン・ゴドン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
9 スタン・デウルフ(ベルギー、ロット・スーダル)
10 ミケル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)

個人総合(マイヨロホ)
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 60時間16分2秒
2 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) +39秒
3 ヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング) +47秒
4 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) +1分42秒
5 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) +3分23秒
6 ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・マクラーレン) +6分15秒
7 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +7分14秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +8分39秒
9 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ プロチーム) +8分48秒
10 ダビ・デラクルス(スペイン、UAE・チームエミレーツ) +9分23秒

ポイント賞(プントス)
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 178 pts
2 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 113 pts
3 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) 111 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) 89 pts
2 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 34 pts
3 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 30 pts

新人賞(マイヨブランコ)
1 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) 60時間19分25秒
2 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ プロチーム) +5分25秒
3 ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ) +7分22秒

チーム総合
1 モビスター チーム 181時間5分0秒
2 ユンボ・ヴィスマ +8分5秒
3 アスタナ プロチーム +39分49秒

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UCIワールドツアー ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 ロードレース

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