福光俊介の「寝落ち禁止!ツール三昧」<1>Here we go! 本能で応援する3週間が始まった

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 レースを観る際、誰を応援するかは本能の赴くままで決めている。もちろん、贔屓(ひいき)の選手やチームはあるのだけれど、選手の脚質やコースレイアウト、そのレースとの相性なんかを照らし合わせて誰にチャンスがあるのかを直感で判断する。だから、必ずしもその贔屓選手を毎回応援しているというわけではない。みんなはどうか分からないけれど、少なくともボクにとってはロードレースを多角的に、なおかつ選手を把握する術として成り立っている。

日本から唯一参加している新城幸也(チーム ヨーロッパカー)日本から唯一参加している新城幸也(チーム ヨーロッパカー)

 ツールのプロローグ。どの選手もいつになくモチベーションが高く、集中し、それでいて最高の舞台に立てる喜びを感じているのがテレビ越しにも伝わってきた。特にスタート台に就いた選手の極限まで集中する表情。ボクはあれが大好きだ。何なら、ツールの開幕は毎年TTであってほしい。あの顔が見られるから。

 3週間のフランスを一周する旅に出る選手たちへはまさに「Here we go!」という言葉がピッタリではないか! 毎日深夜に観戦するボクにとっても、この3週間は戦いだ。かつてヒットしたシャ乱Qの歌の歌詞を借りるなら「そう 明日の仕事とか たぶん つらいんだけど」、3週間後に勝者が決まるまで「もったいないから 起きてる」、そんな心境である。あぁ、年代がバレる(笑)。とにかく、観る我々も「Here we go!」。くれぐれも寝落ちや寝坊、夜食の食べ過ぎには注意をしよう。

WIGGOことウィギンス。プロローグは惜しくも2位WIGGOことウィギンス。プロローグは惜しくも2位

 「here we go!」といえば、Facebookのウォールに「HERE WIGGO」なるイラストが上がっていた。“WIGGO”とはブラッドリー・ウィギンス(イギリス、スカイ)のニックネーム。発音の妙があるとはいえ、応援するには上手いこと表現されているなと思った。

 さて、第1ステージ。しばらくは観ていて退屈な流れ。中間スプリントで少し盛り上がったけれど、再び逃げを泳がせるべくゆったりとした展開に。本当のレースは残り30kmを切って集団内での位置取りが激しくなってから。特に残り20kmからは観ていてハラハラさせられて、眠気も吹っ飛んでいた。最後は“東欧の若武者”ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)の勝負勘が光った勝利だった。

第1ステージの区間優勝を飾ったペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)。ツール初出場での初勝利だ。第1ステージの区間優勝を飾ったペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)。ツール初出場での初勝利だ。

 残り2kmを切っての坂でボクはサガンが失速したのだと思った。ところが、実際は自分が前に出るような状況を嫌い、後ろにいる有力選手の動きを待ってのものだった。ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、レイディオシャック・ニッサン)に脚があると見るや、その動きに完璧なまでに乗じていた。カンチェッラーラの飛び出しも見事なものだっただけに、あれに乗れればもうサガンのモノであるのは火を見るよりも明らか。正直、少しだけでも牽く動きを見せてほしかったが、そればかりは戦術と展開上、言っても仕方がない。サガンは勝つべくして勝ったと思う。ちなみにボクが“本能”で誰を応援していたかは・・・うん、内緒にしておこう(笑)。

 3週間の戦いは切って落とされたばかり。第2ステージからはスプリントステージが始まり、いよいよ“ツールらしさ”が出てくるだろう。それとともにボクのテンションもどんどん上がっていく。そうなるとついつい行く先々で空気を読まずツール話を展開してしまうので、今年こそは「Here we go again.(=またか、もうウンザリだよ…)」となってしまわぬよう、メンタルコントロールを自らに課しつつ過ごすことにする。

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)
自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて数十年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

(写真 砂田弓弦)

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