ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 第10ステージログリッチが終盤の上りを味方につけ優勝 ボーナスタイム獲得でマイヨロホを奪回

  • 一覧

 ブエルタ・ア・エスパーニャの第10ステージが10月30日に行われ、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が優勝を飾った。平坦基調、スプリンターが勝利してもおかしくないステージだったが、ラスト2kmの上り基調のレイアウトを生かし、見事勝利を手にした。ログリッチはカラパスに3秒差をつけフィニッシュ、さらにボーナスタイム10秒も獲得に成功。マイヨロホを取り戻した。

ログリッチが上り基調の集団スプリントを制して優勝 ©PHOTOGOMEZSPORT2020

終盤のスプリント争いに向け穏やかに進むレース

 第10ステージは、カストロ・ウルディアレスからスアンセスまでの185km。カテゴリー山岳は3級山岳アルト・デ・サンシプリアノ(距離4.3km、平均勾配5%)のみ、昨日同様のスプリントステージだ。上り基調のラスト2kmをクリアし一番にフィニッシュするのは、何色のジャージか。

港町カストロ・ウルディアレスをスタートする集団 © Unipublic/Charly López

 アタック合戦の末、逃げたのはブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・スーダル)、ピム・リヒハルト(オランダ、トタル・ディレクトエネルジー)、ヨナタン・ラストラ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)、アレックス・モレナール(オランダ、ブルゴス・BH)の4人。

 最も総合タイムが良いのがラストラで、58分49秒遅れ。メイン集団はこの逃げを容認する。そのメイン集団は、ロバート・スタナード(オーストラリア)で優勝を狙うミッチェルトン・スコット、サム・ベネット(アイルランド)擁するドゥクーニンク・クイックステップ、アスタナ プロチームがコントロールしていた。

 レースの3分の1をクリアする頃、そのタイム差は10分以上にまで開く。先週のスプリントステージが逃げ切り勝利になったことを考えると、この日も逃げから優勝者が出る可能性はゼロではない。だが、徐々にタイム差は短縮。残り60km地点の唯一の山岳ポイント通過時は、その差が4分程になる。スプリンターの競演が想像できる展開だ。

スプリンターチームが中心となってメイン集団はコントロール © Unipublic/Charly López

優勝候補のベネットが脱落

 スプリンターを抱えるチームが虎視眈々とゴールスプリント争いに向けて準備をする中、アクシデントが起こる。優勝候補のベネットが遅れてしまう。

 この時点での遅れは、ステージ優勝争いから脱落したといっても過言ではない。他のアシスト選手がベネットを引き上げないところをみると、ミケル・モルコフ(デンマーク)やゼネク・スティバル(チェコ)、アンドレア・バジオーリ(イタリア、以上ドゥクーニンク・クイックステップ)での勝負に切り替えたとも考えられる。

 残り30kmで約1分半、25kmで1分、20kmで30秒と徐々にタイム差が縮まる中、残り17kmで逃げ集団を吸収。ゴールスプリントに向け、いよいよ戦いが始まる。まず、主導権を握ったのはドゥクーニンク。やはりこのステージを諦めていない動きだ。

 もちろん、他のチームも黙ってはいられない。14kmでは、ヘルベン・タイッセン(ベルギー)擁するロット・スーダルが先頭に出て集団を牽引する。また、危険回避の為、イネオス・グレナディアーズのクリストファー・フルーム(イギリス)が前方でアシストする場面もあった。

 残り11km、トレインでは敵わないと悟ったか、ウィレム・スミット(南アフリカ、ブルゴス・BH)がアタック。いち早く攻撃を仕掛ける。だが、直後にメイン集団が吸収。スプリント常勝軍団が組むトレインは強力だった。

スプリンターと総合勢が入り乱れる

 残り10kmを切ると、優勝候補のチームも攻撃を仕掛ける。レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がアタック。そこにイヴォ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAE・チームエミレーツ)がつき、独走力を生かした走りで先行する。その後、オリヴェイラは脱落するが単独になっても粘るカヴァニャ。この間、ドゥクーニンクはゴールスプリントに向け脚を休める。

 残り3.6km、仲間のために走り続けたカヴァニャがメイン集団に吸収される。イネオスがアンドレイ・アマドール(コスタリカ)を先頭に主導権を握る。

 アクシデント救済措置があるラスト3kmに入ると、集団牽引はイネオスからスプリンターチームに交代。アッカーマン擁する(ドイツ)ボーラ・ハンスグローエ、 ロット・スーダルなどが先頭に出る。

 残り2kmを切り、いよいよ上り基調に突入。先頭に出てきたのは、ログリッチを引き連れたパウル・マルテンス(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)だった。タイミングを考えるとこれは落車回避ではない優勝を狙う動きだ。もちろん、スプリンターチームも動く。数少ないスプリントステージをものにする為、1kmでヨン・アベラストゥリ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)やアンドレア・バジオーリ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)、アレクサンデル・アランブル(スペイン、アスタナ プロチーム)らが全力で踏みフィニッシュラインを目指す。

 スプリントターと上りに強い選手が入り乱れる中、ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)が仕掛ける。800m、マルタンが勝利するにはここしかないというタイミングだった。だが、カラパスやアッカーマンらも追随。残り100mになっても圧倒的に抜け出すものは現れなかった。

マイヨロホを取り戻したログリッチ © Unipublic/Charly López

 集団は混沌とし、誰が勝ってもおかしくない状況。そこで別格のスピードをみせたのがログリッチだった。他の選手が早めの勝負で力を使い果たした頃、ダンシングで一気に加速。ライバルを置き去りにし、両手をあげてフィニッシュラインを通過した。カラパスはログリッチから3秒遅れてレースを完了。ログリッチがボーナスタイムを獲得したことで、ログリッチとカラパスは総合で同タイムに。規定によりログリッチがマイヨロホの座についた。

 翌日の第11ステージ、続く12ステージは山頂フィニッシュの山岳ステージ。ログリッチのコンディションや3週目にタイムトライアルが含まれていることを考慮すると、ログリッチにとっては追い風の状況だ。一方、カラパスはこの2日間でリードを奪わないと、マイヨロホが厳しい状況に。イネオスのチーム力の見せどころだ。

第10ステージ結果
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 4時間14分11秒
2 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +0秒
3 アンドレア・バジオーリ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
4 アレクサンデル・アランブル(スペイン、アスタナ プロチーム)
5 ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
6 ジュリアン・シモン(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)
7 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)
8 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
9 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAE・チームエミレーツ) +3秒
10 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、EFプロサイクリング)

個人総合(マイヨロホ)
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 40時間25分15秒
2 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) +0秒
3 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) +25秒
4 ヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング) +51秒
5 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) +1分54秒
6 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +3分19秒
7 エスデバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) +3分28秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +3分35秒
9 ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・マクラーレン) +3分47秒
10 マルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム) +3分52秒

ポイント賞(プントス)
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 129 pts
2 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 83 pts
3 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) 82 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) 27 pts
2 セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) 24 pts
3 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 24 pts

新人賞(マイヨブランコ)
1 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) 40時間27分9秒
2 ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ) +4分21秒
3 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ プロチーム) +4分58秒

チーム総合
1 モビスター チーム 121時間25分21秒
2 ユンボ・ヴィスマ +5分57秒
3 アスタナ プロチーム +12分43秒

この記事のタグ

UCIワールドツアー ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 ロードレース

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

Cyclist CLIP

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載