ジロ・デ・イタリア2020 第20ステージ再度の一対一はゲイガンハートが勝利 総合首位はヒンドレーも両者同タイムで最終TT決戦へ

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 終盤の戦いが熱を帯びるジロ・デ・イタリア2020。現地時間10月24日は第20ステージを行い、今大会最後の山岳勝負はテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が、ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ)とのマッチスプリントを制してステージ優勝。第18ステージで敗れたリベンジを果たすとともに、今大会2勝目を挙げた。個人総合首位のマリアローザは、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)からヒンドレーへチーム内移動。ただ、ゲイガンハートが同タイムの2位につけ、翌日のタイムトライアルで決着をつけることとなった。

ジロ・デ・イタリア2020第20ステージ、テイオ・ゲイガンハート(右)がマッチスプリントでジャイ・ヒンドレーに勝利。2日前の雪辱を果たした Photo: Yuzuru SUNADA

デニスの強力牽引で総合争いに大きな変化

 大会第3週に入って、プロトンはイタリアアルプスを進行中。その象徴となるステージがこの日設けられる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大への対応のため、コースに組み込まれていたフランス領内の通過が不可能に。3日前にコース変更が発表された。

第20ステージの新ルートレイアウト ©︎ RCS

 獲得標高5000mを超えるクイーンステージだったルートは、アルバをスタートしてレース半ばまで平坦区間を進行。中間地点を境に山岳へと入っていき、スキーリゾートとして知られるセストリエーレを3回上るものに。1回目の登坂は2級山岳にカテゴライズされ、頂上通過後の下りを経て当初から予定されていた登坂ルートへと移る。このルートも本来は最後の登坂区間となっていたが、コース変更により2回上る形に。1度フィニッシュラインを通過し、ダウンヒル後に同じ上りへトライする。登坂距離は7km、平均勾配7.6%、最大勾配10%で、1級山岳にカテゴライズ。なお、ステージ距離は元のコースから8km短縮され、190kmとなった。

マリアチクラミーノを着るアルノー・デマール。逃げに加わって中間スプリントを1位通過した Photo: Yuzuru SUNADA

 迎えたレースは、早い段階で逃げと追走のメンバーが固まり、30km地点を通過するまでにそのいずれもが先頭グループに合流。最大で21人に膨らみ、メイン集団に対してリードを広げていく。この中には、ポイント賞のマリアチクラミーノを着用するアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)も含まれ、52km地点に設定された1つ目の中間スプリントでは狙い通り1位通過に成功。ジャージ獲得を確定的なものにした。

 先頭グループとメイン集団との差は7分台まで広がったが、1回目のセストリエーレ登坂を前にタイムギャップは縮小傾向へと変わっていく。集団はアスタナ プロチームやイネオス・グレナディアーズがペーシング。頂上通過時にはその差は4分台まで縮まった。

 先頭グループでは、フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、バルディアーニ・CSF・ファイザネ)が頂上をトップ通過するが、その後の下りでダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が加速し単独先頭に立つ。しばらくして追走を狙った動きも発生し、数人のパックとなった中からエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター チーム)がさらにペースアップ。2回目のセストリエーレ頂上を目前にバッレリーニをパスすると、そのまま独走へと移った。

ローハン・デニスの牽引でメイン集団が崩壊した Photo: Yuzuru SUNADA

 その間に、メイン集団でもレースの流れを左右するビッグアクションが起きていた。イネオス・グレナディアーズが完全に主導権を握ると、上りの中腹からローハン・デニス(オーストラリア)が猛然とペースアップ。これで一気に人数が絞られ、個人総合6位につけるヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ プロチーム)、同8位ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)といった上位陣が軒並み遅れだす。さらには、マリアローザのウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)も後方へと下がり、デニスの引きに対応できたのはゲイガンハートとヒンドレーだけと、2日前の第18ステージと同じような状況が生まれた。

 めまぐるしく展開が動いた2回目のセストリエーレは、トップを守るルビオが一番に最終周回の鐘を聞く。逃げメンバーをはさみ、デニスが牽引する強力パックが約1分30秒差、さらに40秒ほどの差でケルデルマンや個人総合4位のペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)、同5位ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)らが含まれる総合上位陣のグループが続いた。

再度のマッチスプリントはゲイガンハートが雪辱

 下りを終えて3回目のセストリエーレ登坂を前に、逃げ続けるメンバーのうちバッレリーニとピーター・セリー(ベルギー)のドゥクーニンク・クイックステップ勢がルビオに合流。さらに2kmほど進んだところでは、ハイペースで進み続けるデニス、ゲイガンハート、ヒンドレーが追いつく。この3選手にキャッチされた逃げメンバーが追随していたこともあり、一時的ながら先頭グループは8人に膨大。ただ、上りが始まるとすぐに振り落とされ、精鋭3人によるトップ争いへと変わった。

 自身より総合で上位のケルデルマンが後ろに控えていることもあり、イネオス勢をマークし続けるヒンドレーだが、フィニッシュまで残り6.8kmに置かれた2回目の中間スプリントでは自ら仕掛けて1位通過。3秒のボーナスタイムを獲得する。この段階で、ケルデルマンらのグループとは約1分40秒の差がついており、スタート前の総合タイム差で12秒のヒンドレー、同じく15秒のゲイガンハートのどちらかが、ステージ終了時にマリアローザに袖を通すことが濃厚な状勢となった。

3回目のセストリエーレ登坂でジェイ・ヒンドレー(中央)が攻撃に出る Photo: Yuzuru SUNADA

 3回目のセストリエーレ登坂が始まると、ゲイガンハートがヒンドレーを前に出し、2日前とは異なる状況を作り出す。デニスの牽引は変わらずも、ヒンドレーの動きに対応できる構えとする。ケルデルマンとのタイム差から、勝負する必要性が出てきたヒンドレーは残り3kmから断続的にアタックを試みるが、すかさずゲイガンハートがチェック。デニスも一定ペースで上り続けて、両者が牽制状態になるとたびたび牽引へと戻った。

 ゲイガンハートとヒンドレーがマッチアップの態勢になったのは、残り1.5km。ヒンドレーのアタックはゲイガンハートが対応するが、そのままペース維持してスプリント勝負の構えに。両者にらみ合いが続いたが、残り200mでゲイガンハートが満を持して加速。ヒンドレーも粘るがゲイガンハートが前を譲らず、そのままフィニッシュへと飛び込む。第15ステージに続く今大会2勝目は、ヒンドレーに敗れた2日前の雪辱ともなった。

2日前と同様にマッチスプリントになった2人。テイオ・ゲイガンハート(右)が先着し今大会2勝目を挙げた Photo: Yuzuru SUNADA

 3位でフィニッシュしたデニスからしばらくして、セストリエーレ頂上へとやってきたのはアルメイダ。個人総合上位陣のグループから最終盤に飛び出し、前待ちしていたセリーのアシストを受けながらの追い込み。そこから30秒以上遅れて、ケルデルマンらがレースを終えている。

 なお、新城幸也(バーレーン・マクラーレン)は、ゲイガンハートから27分45秒差の91位でステージを完了した。

ヒンドレーとゲイガンハートは同タイム 15.7km個人TTで決着へ

 これらの結果から、個人総合首位のマリアローザはヒンドレーのもとへ。チームメートのケルデルマンに代わってトップに立った。2位にはゲイガンハートが続くが、その差はゼロ。この日両者が獲得したボーナスタイムを合わせても同タイムで、第1ステージと第14ステージで行った個人タイムトライアルで発生したコンマ差から、このステージ終了時点での上位はヒンドレーとなった。

トップと同タイムで個人総合2位につけたテイオ・ゲイガンハート。最終の個人タイムトライアルで逆転をかける Photo: Yuzuru SUNADA

 これにより、今大会の個人総合優勝をかけた勝負は翌25日に行う最終・第21ステージの個人タイムトライアルにゆだねられることに。チェルヌスコ・スル・ナヴィリオからミラノまでの15.7kmに設定され、オールフラットと言ってもよいほどの平坦レイアウト。大会最終日の個人タイムトライアルで決着することはこれまでもあったが、同タイムでの最終決戦は過去に類を見ないケースだ。

 ちなみに、ヒンドレーとゲイガンハートの今大会のタイムトライアル結果は、第1ステージ(15.1km)がヒンドレーが49秒、第14ステージ(34.1km)はゲイガンハートが1分15秒、それぞれ上回る結果になっている。ただ、第1ステージは下り基調の特殊なコースレイアウトに加えて、スタート時間によって風雨の影響があったこと、第14ステージは急坂が組み込まれた点などから、平坦の第21ステージは異なる展開になることも大いに考えられる。ただ1つ確実視されるのは、トップを争う両者と個人総合3位のケルデルマンとは1分32秒差、同4位のビルバオとは2分51秒差とあって、マリアローザの行方はほぼヒンドレーとゲイガンハートに絞られたことだ。

 泣いても笑っても残り1ステージ、残り15.7km。全選手が走り終えたとき、ジロ・デ・イタリア2020年大会の覇者が確定する。

マリアローザに袖を通したジャイ・ヒンドレー。ジロ制覇をかけて最終の個人タイムトライアルに挑む Photo: Yuzuru SUNADA

第20ステージ結果
1 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 4時間52分45秒
2 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ) +0秒
3 ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) +25秒
4 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) +1分1秒
5 アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +1分34秒
6 エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター チーム) +1分35秒
7 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)
8 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)
9 アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー、CCCチーム) +1分48秒
10 ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +2分0秒
91 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) +27分45秒

個人総合(マリアローザ)
1 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ) 85時間22分7秒
2 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +0秒
3 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +1分32秒
4 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) +2分51秒
5 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) +3分14秒
6 ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ プロチーム) +6分32秒
7 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) +7分46秒
8 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +8分5秒
9 ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) +9分24秒
10 ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・マクラーレン) +10分8秒
89 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) +4時間8分38秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 233 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 184 pts
3 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 101 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング) 234 pts
2 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 157 pts
3 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 122 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ) 85時間22分7秒
2 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +0秒
3 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) +3分14秒

チーム総合
1 イネオス・グレナディアーズ 256時間22分40秒
2 ドゥクーニンク・クイックステップ +20分37秒
3 チーム サンウェブ +27分43秒

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