ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 第5ステージ逃げ切ったウェレンスが激坂スプリントを制す マーティン落車も救済措置により総合勢は動きなし

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ブエルタ・ア・エスパーニャ2020の第5ステージが10月24日に開催され、3人に絞り込まれた逃げ集団での激坂スプリント勝負をティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が制した。総合首位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は区間4位に入り、マイヨロホを守っている。

逃げグループでのスプリントを制したティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)がステージ優勝 © Unipublic/Charly López

逃げ切りを狙った激しいアタック合戦

 第5ステージはウエスカからサビニャニゴまでの184.4kmで争われた。前半は多少アップダウンがあるものの概ね平坦路で、残り70kmを切ってから2級、3級、2級山岳が立て続けに登場する。

 残り18km地点に2級山岳アルト・デ・ペトラブラ(登坂距離8.7km・平均勾配5.2%)が設定されているものの、フィニッシュまでほぼダウンヒルで、フィニッシュ直前には勾配10%超えの激坂が待ち受けているレイアウトだった。

レース序盤は激しい攻防に © Unipublic/Charly López

 レースはスタート直後から激しいアタック合戦と、追走が繰り広げられ、ルイ・コスタ(ポルトガル、UAE・チームエミレーツ)、ロバート・パワー(オーストラリア、チーム サンウェブ)、ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)、オマール・フライレ(スペイン、アスタナプロチーム)らを含む14人が集団から抜け出した。

 逃げに選手を送り損ねたEFプロサイクリングやカハルラル・セグロスRGAなどが集団を率いて、逃げを吸収しようとしていたため、両者のタイム差は1分以上開くことはなかった。

 スタートから1時間の平均スピードは時速51kmというハイスピードな展開の末、残り113km地点で逃げは一旦吸収。その後のカウンターで飛び出す選手が出るものの、決定的な動きとはならず。パワーやウェレンスなどのアタックをきっかけに、総合6位のセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)、総合13位のアンドレア・バジオーリ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)らを含む10人以上の選手が抜け出した。

 メイン集団から1分30秒ほどリードを築くと、ウェレンスとティメン・アレンスマン(オランダ、チーム サンウェブ)が抜け出した。ここに、マルタンが追いついて先頭は3人に。取り残された逃げのグループは、メイン集団に戻ることとなった。

メイン集団は山岳賞ジャージのカラパスを擁するイネオス勢が先頭を引く © Unipublic/Charly López

ウェレンスが山岳賞と区間勝利を両取り

 3人の逃げは容認され、集団から徐々にタイム差が開いていく。道中の3カ所のカテゴリー山岳はすべてウェレンスが先頭通過を果たし、リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)から山岳賞ジャージ奪取となった。

 メイン集団は2級山岳アルト・デ・ペトラブラで大きな動きは見せず、先頭3人の逃げ切りが確定的に。

先頭3人の逃げ切りが決定的に © Unipublic/Charly López

 ダウンヒルを下りきって、フィニッシュに向けて上り区間に入った先頭3人。最初に仕掛けたのはアレンスマンだった。残り1kmを切って、アレンスマンがアタックを仕掛けると、ウェレンスが反応し、マルタンが少し遅れてしまった。

 しかし、その後の激坂区間に到達すると、アレンスマンは失速。少し息を吹き返したマルタンが、ウェレンスに食らいつくも、短い上りのパンチ力であれば世界トップクラスの実力者であるウェレンスが先頭のまま激坂区間を上りきった。そのままマルタンを突き放して、先頭でフィニッシュ。ブエルタ初出場で、グランツール全体では通算3度目の区間勝利を飾った。

マルタンを寄せ付けず勝利を手に入れたウェレンス © Unipublic/Charly López

 一方、メイン集団は激坂区間でログリッチが猛加速を見せ、カラパスら後続集団に差をつける走りでわずかにタイムを稼いだかに見えた。しかし、激坂の上り口で集団落車が発生しており、総合2位のダニエル・マーティン(アイルランド)らが巻き込まれてしまった。レース後に救済措置がとられ、マーティンはログリッチと同タイム扱いとなり、ログリッチに差をつけられたカラパスらの集団も同タイム扱いとなった。結果として、総合成績面では無風の一日となった。

 翌第6ステージはフランス国内に入り、オービスク峠やトゥールマレー峠が登場する超難関山岳ステージとなる予定だったが、フランス国内でのCOVID-19の感染拡大に伴い、フランスでのレース開催が不可となった。

第6ステージはフランス通過ルートから変更あり

 そのため、ルート変更を余儀なくされ、第6ステージはビエスカスからアラモン・フォルミガルの山頂フィニッシュへと至る146.4kmのステージとなった。1級山岳アラモン・フォルミガルは登坂距離14.4km・平均勾配4.7%となっており、オービスク峠やトゥールマレー峠に比べると難易度の低いコースへと変更になった。

 しかし、2016年第15ステージでもほとんど同様のコースレイアウトでレースが行われたが、アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)と総合首位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)らが序盤から猛烈な攻撃を仕掛けて、総合2位のクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)から2分以上タイムを奪った。結果的にこの日のリードがなければキンタナの総合優勝は無かった(最終的にフルームと1分23秒差)といえる重要なステージだったように、一筋縄でいかないコースであるといえそうだ。

第5ステージ結果
1 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 4時間19分25秒
2 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) +4秒
3 テイメン・アレンスマン(オランダ、チーム サンウェブ) +12秒
4 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +2分13秒
5 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
6 アレクサンデル・アランブル(スペイン、アスタナ プロチーム)
7 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)
8 ジュリアン・シモン(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)
9 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)
10 ドリアン・ゴドン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)

個人総合(マイヨロホ)
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 20時間52分31秒
2 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) +5秒
3 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) +13秒
4 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) +32秒
5 ヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング) +38秒
6 セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) +44秒
7 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +1分17秒
8 エスデバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) +1分29秒
9 マルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム) +1分55秒
10 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ) +1分57秒

ポイント賞(プントス)
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 79 pts
2 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) 57 pts
3 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 57 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 19 pts
2 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 18 pts
3 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) 16 pts

新人賞(マイヨブランコ)
1 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) 20時間53分3秒
2 アンドレア・バジオーリ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) +2分26秒
3 ジーノ・マーダー(スイス、NTTプロサイクリング) +2分59秒

チーム総合
1 ユンボ・ヴィスマ 62時間40分36秒
2 モビスター チーム +1分42秒
3 UAE・チームエミレーツ +7分14秒

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UCIワールドツアー ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 ロードレース

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