ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 第6ステージヨン・イサギレが山頂フィニッシュを制す 総合勢の猛攻でマイヨロホはカラパスに移動

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
  • 一覧

 ブエルタ・ア・エスパーニャの第6ステージが10月26日に行われ、ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ プロチーム)がステージ優勝を飾った。序盤に出来た23人の大逃げに乗り、終盤でアタック。そのまま独走勝利を挙げた。一緒に逃げた兄のゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ プロチーム)もヨンの優勝を大いに助けた。総合首位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は、イネオスやモヴィスターの攻撃により失速。マイヨロホはリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)に移動した。

ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ プロチーム)が最後の上りで独走に持ち込みステージ優勝 © ASO

アタック合戦の末、23人の大逃げ完成

 第6ステージは、ビエスカスからトゥールマレーまでの予定だったが、フランス国内のCOVID-19感染拡大により、フランスでのレース開催が不可能に。ルート変更を余儀なくされた。

 新たなコースはフランスを通らない、ビエスカスからアラモン・フォルミガルまでの146.4km。69.5kmの3級山岳、105.5kmの2級山岳をクリアした後、1級山岳のアラモン・フォルミガル(距離14.4km、平均勾配4.7%)の山頂にフィニッシュする。難易度は下がったものの、最大勾配10%に達する厳しい上りであることに変わりない。また、冷たい雨も厳しいレースとなることを予想させた。

 レースは序盤、レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)、レミー・メルツ(ベルギー、ロット・スーダル)が抜け出したがこれは許されず。

 アタック合戦の末、約30km地点でようやく逃げが出来上がる。メンバーは、ゴルカとヨンのイサギレ兄弟、ルイ・コスタ(ポルトガル、UAE・チームエミレーツ)、セルジオ・エナオ(コロンビア、UAE・チームエミレーツ)、マイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)、ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)らを含む総勢23人。逃げ切りの可能性も充分に考えられる顔ぶれだ。

 一方、メイン集団はログリッチ擁するユンボ・ヴィスマがコントロール。ようやくレースが落ち着く。69.5kmの山岳、約100kmを走った後もこの構図は変わらず。106km地点(残り約40km)の山岳ポイントを通過してもタイム差は3分半となっていた。

メイン集団をコントロールするユンボ・ヴィスマだが苦しいレース展開となった © Unipublic/Charly López

兄・ゴルカが先手を打つ

 動きが出たのは、その山岳の下りだった。ゴルカがダウンヒルで抜け出しに成功。残り30kmではゴルカ、30秒程後ろに22人の追走、4分程後ろにメイン集団という形になる。

 その後もゴルカは快調に走行。残り25kmでは30秒以上のタイム差をキープしていた。最後のアラモン・フォルミガルが待ち受けているとはいっても、追走にはヨンがいる。アスタナはゴルカの逃げ切りとゴルカを利用したヨンの勝利という2枚のカードを持っていた。

 一方、この頃メイン集団でも動きが出る。ユンボ・ヴィスマに代わり、イネオス・グレナディアーズが牽引を始める。ログリッチを脱落させるためだ。イネオスの作戦は成功。ログリッチは遅れをとってしまう。その後、メイン集団に復帰はしたものの最後の上りの前にアシストを使うことになってしまった。

 ゴールまで残り14.7km、いよいよゴルカがアラモン・フォルミガルに突入する。振り向けば追走は見えている状況だったが、ラスト10kmでは13秒、ラスト8kmでも15秒とタイム差をキープしていた。

 一方、メイン集団はイネオスに代わってモビスターが牽引。7.7kmではマルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム)が攻撃。3分程あった先頭とのタイム差もこの動きで2分にまで縮まる。ユンボ勢で残されのはログリッチの他にはジョージ・ベネット(ニュージーランド)のみとなってしまった。

ステージ優勝と総合争い。戦いのゴングがなる

 フィニッシュに向け前方も後方も慌ただしくなってきた。ゴールまで残り6.6km、ここまで逃げいていたゴルカがとうとう捕まり、次の展開が生まれる。
 
 残り5kmではコスタとエナオのUAEチームやマルタン、続いてウッズと次々とアタックをする選手が現れる。一方でゴルカは脱落。勝負をヨンに託すことになった。

 残り3km、ヨンがアタック。9%という厳しい勾配部分で勝負を仕掛ける。ヨンはゴルカが先行する最中に溜めていた力を発揮、快調なペダリングでアラモン・フォルミガルを上っていく。残り1kmを切っても後ろとのタイム差を20秒程に保ち、そのままフィニッシュラインを通過。見事逃げ切り勝利を挙げた。息の合った兄弟での攻撃は見事だった。

総合勢は明暗分かれる

 メイン集団では総合争いが佳境に。残り6.1kmでは総合12位のダビ・デラクルス(スペイン・UAEチームエミレーツ)が先行。そこに総合20位のダヴィ・ゴデュ、ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマ・エフデジ)、先程もアタックしていたソレルがつき追走グループになる。

 もちろん他の総合勢はこの動きに遅れてはならない。総合8位のエスデバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)がアタック、総合3位のリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)と総合5位のヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング)は協調し前を追いかける。

 ここに付けなかったのが総合首位のログリッチ、そして総合2位のダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) 、総合4位のエンリク・マス(スペイン、モビスター チーム)。その差は開いていく。

 結局、カーシーはトップから48秒差、ゴデュ、カラパス、ソレルは55秒差でフィニッシュ。ログリッチは1分38秒差でレースを完了した。

 第6ステージを終え、マイヨロホはカラパスの手に。カーシーは総合2位に順位を上げた。一方、ログリッチは総合4位に順位を落とすことに。休息日前、総合トップ10は大きくシャッフルされた。

 休息日を挟んで行われる第7ステージは、ビトリア=ガステイスからビリャヌエバ・デ・バルデゴビアまでの159.7km。67.3kmと140.6kmに設定されたオルドゥニャ峠をどうクリアするかも重要なポイントになりそうだ。

第6ステージ結果
1 ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ プロチーム) 3時間41分0秒
2 マイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング) +25秒
3 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAE・チームエミレーツ)
4 ロブ・パワー(オーストラリア、チーム サンウェブ) +27秒
5 ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、NTTプロサイクリング)
6 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
7 マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) +38秒
8 ヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング) +48秒
9 ゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ プロチーム) +53秒
10 セルジオ・エナオ(コロンビア、UAE・チームエミレーツ) +55秒

個人総合(マイヨロホ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 24時間34分39秒
2 ヒュー・カーシー(イギリス、EFプロサイクリング) +18秒
3 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) +20秒
4 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +30秒
5 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) +1分7秒
6 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +1分30秒
7 マルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム) +1分42秒
8 エスデバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) +2分2秒
9 ダビ・デラクルス(スペイン、UAE・チームエミレーツ) +2分46秒
10 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +3分0秒

ポイント賞(プントス)
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 79 pts
2 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 61 pts
3 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) 57 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 19 pts
2 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 18 pts
3 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) 16 pts

新人賞(マイヨブランコ)
1 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) 24時間35分46秒
2 ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ) +2分40秒
3 ジーノ・マーダー(スイス、NTTプロサイクリング) +2分57秒

チーム総合
1 モビスター チーム 73時間49分56秒
2 UAE・チームエミレーツ +3分37秒
3 ユンボ・ヴィスマ +8分9秒

この記事のタグ

UCIワールドツアー ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 ロードレース

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

Cyclist CLIP

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載