1カ月1000km乗り込みインプレピレリのTLRタイヤ「Pゼロレース TLR」、「Pゼロレース TLR SL」を長期実走レビュー

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 ピレリのチューブレスレディタイヤ「Pゼロレース TLR」と「Pゼロレース TLR SL」のインプレッションをお届けする。満を持して発表された話題の2モデルを約1000kmテスト。長期間の実走で見えた製品の特徴を紹介する。

ピレリのチューブレスレディタイヤ「P ZERO RACE TLR」(Pゼロレース TLR)と、「P ZERO RACE TLR SL」(Pゼロレース TLR SL)をインプレッション Photo: Shusaku MATSUO

世界的なレーシングブランド

 ピレリはフォーミュラーワンを始めとするモータースポーツシーンで数々の活躍を納めてきたレーシングタイヤのリーディングブランドだ。2017年にサイクルロードレースシーンへと復活してからは、UCIワールドチームと技術提携を結び、選手らと共に開発を進めてきた。

P ZERO RACE TLR(Pゼロレース TLR) © PIRELLI
P ZERO RACE TLR SL(Pゼロレース TLR SL) © PIRELLI

 ロードバイク用のレーシングタイヤ「Pゼロ」をチューブラー、クリンチャートラインナップをするなかで、トレンドのチューブレスレディが遂に発表となった。新たにラインナップに加わった2モデルには、共に120tpiのケーシングと、新しい「SmartEVO Compound」(スマートエボコンパウンド)が採用。グリップ性能と転がり抵抗という、相反する性質を持つ特性を高いバランスで実現している。

レース向けオールラウンダーの「P ZERO RACE TLR(Pゼロレース TLR)」 Photo: Shusaku MATSUO

 「Pゼロレース TLR SL」は、より軽さを求めたモデルだ。「TechWALL」(テックウォール)と呼ばれるケーシング技術を採用し、軽量モデルながら耐パンク性能も兼ね備えている。「Pゼロレース TLR」は総合力を念頭に入れて開発されたオールラウンダーだ。「TechWALL+」(テックウォール プラス)のほか、耐パンクベルトをトレッド下に埋め込むことで、耐パンク性能をさらに高めている。

より軽さを求めた「P ZERO RACE TLR SL(Pゼロレース TLR SL)」 Photo: Shusaku MATSUO

 インプレッションを行うにあたり、両モデルを約1カ月間で合計1000kmほどの距離を走り込んで試した。タイヤのサイズは26Cを選択。両モデルともに推奨気圧は最小で5BAR、最大で7.5BARと定められており。体重が72kgの筆者は、さまざまな空気圧を試してみた結果6BARが最もしっくりときた。最適な空気圧で試した走行感だが、まずは「Pゼロレース TLR」から記していく。

それぞれ方向性が異なる高性能

 「Pゼロレース TLR」はトレッドの肉厚感が伝わり、もちもちとした柔らかな第一印象を受けた。ざらつきや凹凸といったロードインフォメーションはトレッドを通して乗り手に与えつつ、不快なノイズはチューブレスの特性を生かし除去してくれる。トレッドと路面の間で今何が起こっているのかがよくわかるため、自信を持ってコントロールができるのだ。

「Pゼロレース TLR」はもちもちとしたTLRらしい乗り味で、耐パンク性や耐摩耗性も高く練習とレースどちらも1本でOKな万能タイヤだ Photo: Kyoko GOTO

 もちもちと表現したが、バイクの激しい動きに対しては機敏に反応する。スプリントや、車体を大きく振ったダンシングにもタイヤが足を引きずることなく追従。いい意味でチューブレス的な感覚が薄く、気を使わずにがんがん乗り込むことができた。毎日乗っていても1日あたり0.3BAR空気圧が低下する程度だ。クリンチャーと比べるとこまめな充填が必要となるが、気密性は優れている部類だろう。トレッドの減りもレース向けタイヤにしては激しくなく、トレーニングから本番までイケるオールラウンダーであった。

 一方で「Pゼロレース TLR SL」は「Pゼロレース TLR」とまた違った表情を見せた。走り始めてすぐに軽量タイヤだとわかる軽快さが特徴で、コーっという心地よいロードノイズが路面との抵抗が低いことを体感させてくれる。極めてソリッドで、鋭くハリがあり、まさにレース向けタイヤであることが分かる。

軽くて鋭さがあり、グリップ力も非常に高い。レースで結果を狙いたいサイクリスト向けの本番用タイヤだ Photo: Kyoko GOTO

 コーナリング時のグリップも優れている。「Pゼロレース TLR」がタイヤ全体でグリップしている感覚が強いのに対し、「Pゼロレース TLR SL」はトレッド表面が路面を掴んでグリップ生んでいる。トレッドの性能が高い証だろう。軽量タイヤにありがちな神経質な不安定さはなく、常に攻めの姿勢で乗りたくなるほど。上りでも、ダンシングでも圧倒的に身のこなしが軽く、走っていて非常に気持ちが良い。耐パンクベルトが配されていないため、「Pゼロレース TLR」に耐久性は劣るだろうが、用途をレースに絞ればこちらを選択したい。ちなみに、どちらのタイヤもシーラント材は適量入れていたが、トレッドに穴が開くことは1度もなかった。

 一言だけ注意点を申し上げると、もし両モデルの新品を使用する際は“皮むき”走行を一定の距離行っていただきたい。トレッド表面がやや滑りやすくなっているためで、濡れたウエスで拭き取ってもいいだろう。ぜひ本来の性能を発揮するためにも、じっくり慣らしてからスポーツライドを行って欲しい。

P ZERO RACE TLR SL

税抜価格:9,800円
サイズ:700x24C、700x26C、700x28C
重量:230g(24C)、245g(26C)、275g(28C)
ケーシング:120tpi
コンパウンド:SmartEVO Compound
アンチパンクチャー:TechWALL

P ZERO RACE TLR

税抜価格:9,200円
サイズ:700x24C、700x26C、700x28C、700x30C
重量:245g(24C)、270g(26C)、295g(28C)、320g(30C)
ケーシング:120tpi
コンパウンド:SmartEVO Compound
アンチパンクチャー:TechWALL+

松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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