ジロ・デ・イタリア2020 第17ステージオコーナーが“雪辱”の逃げ切り マリアローザ争いは翌日以降に持ち越し

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 終盤の戦いを迎えているジロ・デ・イタリア。現地時間10月21日は第17ステージを行い、ベン・オコーナー(オーストラリア、NTTプロサイクリング)が前日2位の雪辱となる逃げ切り勝利。4つの山岳を越えるハードな1日を制した。個人総合争いは、上位陣が一団でフィニッシュしたことで大きな変動はなし。ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)が引き続きマリアローザに袖を通している。

ジロ・デ・イタリア2020第17ステージ、残り8kmでのアタックを成功させたベン・オコーナーが逃げ切り勝利を挙げた Photo: Yuzuru SUNADA

ドロミテの山々が選手たちの前に立ちはだかる

 最終週に入っている大会は、いよいよ覇権争いが激化する山岳区間へと入っていく。この日、選手たちの前に立ちはだかるのはドロミテの4つの山々。バッサノデルグラッパを出発したプロトンは、レース前半で登坂距離21.9km・平均勾配6.6%の1級山岳フォルチェッラ・ヴァルボーナを越える。いったん下って、中盤では同じく1級のモンテ・ボンドーネ(20.2km、6.8%)、後半に入って3級山岳パッソ・デュローネ(10.4km、6%)と連続してクリアしていく。

雪が積もる山岳地帯をゆくプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

 ステージを締めるのが、ウインタースポーツでもおなじみのマドンナ・ディ・カンピリオへの登坂。距離にして12.5km、平均勾配5.7%の1級山岳は、10%を超える急勾配の区間がなく、頂上に近づくにつれて傾斜が緩やかになるとあって、総合上位陣のタイム差がつきにくいと予想される。とはいえ、ステージ距離は203kmで、難易度5つ星との主催者発表。マリアローザを視界に捉える選手たちがどのようにコースを攻略するかが見どころとなった。

 そんなレースは、リアルスタート直後から出入りが激しくハイスピードで進行。35kmを過ぎたところで5人が飛び出し、逃げが決まるムードへ。それを受けて、集団からは次々と選手たちがアタック。やがて19人の先頭グループが形成された。

19人で形成された先頭グループ。トーマス・デヘントが牽引する Photo: Yuzuru SUNADA

 前方にはマリアローザを脅かす選手がいないこともあり、メイン集団は意識的にリードを拡大させていく。リーダーチームのドゥクーニンク・クイックステップがコントロールし、先頭グループとは7分前後のタイム差で推移。この間、1つ目のカテゴリー山岳である1級のフォルチェッラ・ヴァルボーナをルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング)が1位通過。情勢が変わることなく迎えた1級のモンテ・ボンドーネもゲレイロがトップで山岳ポイント量産に成功している。

 この後の下りで、先頭グループからダリオ・カタルド(イタリア、モビスター チーム)が加速。一度は見送った選手たちも、下り終えたところで動き始めてカタルドを追走。3級山岳パッソ・デュローネの入口で6人が追いつき、新たな先頭グループへ。上りに入って以降も数人単位のパックが合流に成功し、マドンナ・ディ・カンピリオを前に先頭グループは15人に。タイム差も、いくぶん集団が迫っているものの、それでも5分以上のリードを確保。逃げ切りを濃厚にして、最後の上りへと突入した。

最後の8kmをオコーナーが独走 総合争いは動きなし

 マドンナ・ディ・カンピリオへの上りに入って早々に、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)がアタック。牽引する時間が長くなりつつあった状況を嫌って、先頭グループの絞り込みを狙う。さらにはカウンターでローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)も仕掛けるが、他選手のチェックにあう。

残り8kmでアタック、独走に持ち込んだベン・オコーナー Photo: Yuzuru SUNADA

 フィニッシュまで残り8kmとなったところで、オコーナーがアタック。一瞬ペースが緩んだタイミングを見逃さずに飛び出すと、結果的にこれが決定打となった。少し置いてハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・マクラーレン)が単独で追走を始めるが、30秒ほどの差から縮めることができない。

 独走になってからもペースを乱すことなく上り続けたオコーナー。前日もステージ優勝争いに加わりながら、最終盤で引き離され2位に終わっていた。その雪辱とばかりに再度のトライで勝利をつかんでみせた。それから31秒差でペーンシュタイナーが、1分10秒差でデヘントが、それぞれステージ2位、3位でレースを終えた。

メイン集団を牽引するジェイ・ヒンドレー。一気にペースを上げる Photo: Yuzuru SUNADA

 一方、メイン集団はマドンナ・ディ・カンピリオに入ったところからチーム サンウェブがペーシングを開始。特に個人総合でも3位につけるジェイ・ヒンドレー(オーストラリア)がペースを上げると、集団の人数が一気に絞り込まれる状態に。しかし、マリアローザのアルメイダと、個人総合2位のウィルコ・ケルデルマン(オランダ)、ヒンドレーのサンウェブコンビとがお見合い状態となり、最終的にアルメイダをアシストするファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が集団をまとめる方向に。個人総合上位陣は一団のままフィニッシュへと到達。最後は個人総合4位のテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が集団の先頭をとったが、総合順位そのものには変動なく終わっている。

 アルメイダはマリアローザのキープに成功。翌日の第18ステージでも着用することとなった。同様に新人賞もアルメイダがトップを走るほか、ポイント賞のマリアチクラミーノはアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)も変わらず。山岳賞のマリアアッズーラには動きがあり、このステージでポイントを集めたゲレイロが再び首位に立っている。

 なお、新城幸也(バーレーン・マクラーレン)は、26分11秒差の81位でステージを完了している。

個人総合首位のホアン・アルメイダ(右から4人目)と2位のウィルコ・ケルデルマン(右から3人目)。両者の総合タイム差は17秒 Photo: Yuzuru SUNADA

 続く第18ステージは、ピンツォーロからラーギ・ディ・カンカノまでの207km。スタートしてすぐ上り始める2級山岳カンポ・カルロマーニョ、1級山岳パッソ・カストリンを越え、しばし平坦区間を走った後に迎えるのは、おなじみのステルヴィオ峠(パッソ・デッロ・ステルヴィオ)。登坂距離24.7km、平均勾配7.5%を上ると、頂上は標高2758m。今大会の最高標高地点「チーマコッピ」に設定される。これを一気に下って、1級山岳ラーギ・ディ・カンカノへとアタック。連続するヘアピンコーナーを抜けて、残り1.9kmで頂上を迎えると、最後はフィニッシュへ急ぐだけ。コース難易度の高さはもとより、降雪・積雪などの気象条件も気になるところ。状況によってはコース変更もあるとされている。

第17ステージ結果
1 ベン・オコーナー(オーストラリア、NTTプロサイクリング) 5時間50分59秒
2 ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・マクラーレン) +31秒
3 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) +1分10秒
4 イルヌル・ザカリン(ロシア、CCCチーム) +1分13秒
5 キリアン・フランキーニー(スイス、グルパマ・エフデジ) +1分55秒
6 ハーム・ファンフック(ベルギー、ロット・スーダル) +2分49秒
7 ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、モビスター チーム) +3分29秒
8 オスカル・ロドリゲス(スペイン、アスタナ プロチーム)
9 アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、NTTプロサイクリング) +3分30秒
10 ジェスパー・ハンセン(デンマーク、コフィディス) +4分32秒
81 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) +26分11秒

個人総合(マリアローザ)
1 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 71時間41分18秒
2 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +17秒
3 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ) +2分58秒
4 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +2分59秒
5 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) +3分12秒
6 ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +3分20秒
7 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) +3分31秒
8 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング) +3分52秒
9 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +4分11秒
10 ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) +4分26秒
84 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) +2時間54分28秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 221 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 184 pts
3 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 90 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング) 198 pts
2 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ヴィーニザブ・KTM) 148 pts
3 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 82 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 71時間41分18秒
2 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ) +2分58秒
3 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +2分59秒

チーム総合
1 イネオス・グレナディアーズ 214時間56分18秒
2 ドゥクーニンク・クイックステップ +21分33秒
3 ボーラ・ハンスグローエ +27分4秒

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