ジロ・デ・イタリア2020 第19ステージコース短縮を味方につけたチェルニーが逃げ切り勝負を制す 総合勢は静かな一日を過ごす

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
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 ジロ・デ・イタリアの第19ステージが10月23日に行われ、ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム)が勝利をあげた。スプリント争いと予想されたステージだったが、コース短縮の影響もあり逃げ切り勝負に。序盤に出来た14人の逃げから終盤に抜け出したチェルニーが、独走勝利を飾った。一方、総合勢にとっては穏やかなステージに。トップ10に変更はなく、翌日の山頂フィニッシュステージに向かう。

自身のキャリアで最も大きな勝利を手に入れたチェルニー Photo: Yuzuru SUNADA

14人の逃げが完成。逃げVSボーラ

 第19ステージは、モルベーニョからアスティまでの258kmで争われる予定だったが、アッビアテグラッソからアスティまでの124.5kmに急遽変更。主催者は悪天候を理由としているが、その背景には、選手と主催者側との話し合いがあったことを、今大会に出場している複数のチームがツイッターで伝えている。

 距離は短くなっても平坦ステージということは変わらず。残り2ステージが山頂フィニッシュとタイムトライアルのため、この日はスプリンターによる白熱のゴールスプリント、また、マリアチクラミーノ争いが想定された。だが、こうした予想を裏切るのがまたロードレースである。

まず逃げたカンペナールツ、ペロー、チェルニーの3人 Photo: Yuzuru SUNADA

 スタート後、抜け出したのはチェルニー、シモン・ペロー(スイス、アンドローニジョカトリ・シデルメク)、ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)。そこに追走が加わり逃げは14人に。人数や顔ぶれ、そして距離もふまえると逃げ切りの可能性も充分考えられる。

 メイン集団を牽引していたのは、ペテル・サガン(スロバキア)で優勝を狙うボーラ・ハンスグローエ。逃げ切りを警戒し人数をかけて前を追う。そのタイム差は1分から1分半となっていた。だが、その動きを手助けするチームは現れず、ボーラのみが力を使う状態になってしまう。

 しばらくその状態が続いたが、レースが折り返しに入った約56km、とうとうボーラがペースダウン。コントロールを止めてしまった。タイム差は一気に広がり、50km地点では約4分、45kmでは6分となる。レースはこの日初めて落ち着くが、同時に逃げ切りの可能性も高まった。

チーム全体で追走したボーラ・ハンスグローエだったが逃げの勢いに及ばず Photo: Yuzuru SUNADA

チェルニーが果敢にアタック。勝負を賭ける

 残り40kmでの逃げとメインの差は約8分。メイン集団は逃げを追うことを完全にやめ、移動ステージモードに。マリアローザを保持するチーム サンウェブがコントロールする。

 一方、逃げ集団では静かに駆け引きが始まる。中間スプリント前でカンペナールツがアタック。そこにペロー、チェルニー、ジャコポ・モスカ(イタリア、トレック・セガフレード)、サイモン・クラーク(オーストラリア、EFプロサイクリング)、サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・スーダル)がつく。

 この動きで14人の逃げは完全に分断。先頭は、スプリントポイント前に抜け出した6人となるが、その後ペロー、そしてアルメが遅れ始める。脱落する選手がいる一方で、攻撃を出たのがチェルニーだった。TTスペシャリストらしい走りで独走をスタート。残り20km地点で後続とのタイム差を20秒とした。

今年の国内TTチャンピオンにふさわしい独走力をみせたチェルニー Photo: Yuzuru SUNADA

 残り17kmでは、追走の差を30秒以上にキープ。その後、追走にケイセが追いつき、チェルニーは不利になるかと思われた場面もあったが、今年のチェコ国内タイムトライアルチャンピオンには関係なかった。残り15kmではタイム差を40秒に広げる。

 スタートから逃げ続けていたこともあり、ペダリングからは疲れもみられた。ラスト10kmで30秒、5km20秒、3km17秒と徐々にタイム差は縮まる。だが、ここで諦めるわけにはいかない。追走の牽制も手伝ったが、ラスト1kmを切っても15秒のタイム差をキープする。フィニッシュラインまで僅かというところで何度も後ろを確認し、勝利を確信。喜びを噛みしめるようなガッツポーズフィニッシュラインを通過した。

見事チャンスをものにしたチェルニー Photo: Yuzuru SUNADA

 一方の総合勢は、明日に備えて安全に脚を残してレースを終えた。総合トップ10に変動はなく、翌日のステージに臨む。また、新城幸也(バーレーン・マクラーレン)は、86位でフィニッシュした。

 第20ステージはアルバからセストリエーレまでの190km。難易度5つ星の山岳コースとなっている。総合勢による激しい戦いが予想される。

マリアローザ初日を危なげなく終えたケルデルマン。翌日は山岳最終決戦となる Photo: Yuzuru SUNADA

第19ステージ結果
1 ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム) 2時間30分40秒
2 ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング) +18秒
3 ジャコポ・モスカ(イタリア、トレック・セガフレード) +26秒
4 サイモン・クラーク(オーストラリア、EFプロサイクリング)
5 イーリョ・ケイセ(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
6 サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・スーダル)
7 アルベルト・トレス(スペイン、モビスター チーム) +1分10秒
8 シモン・ペロー(スイス、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
9 ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF・ファイザネ)
10 アレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)
47 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) +11分43秒

個人総合(マリアローザ)
1 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) 80時間29分19秒
2 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ) +12秒
3 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +15秒
4 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) +1分19秒
5 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) +2分16秒
6 ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ プロチーム) +3分59秒
7 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +5分40秒
8 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) +5分47秒
9 ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) +6分46秒
10 ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +7分28秒
87 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) +3時間40分56秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 221 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 184 pts
3 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 94 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング) 234 pts
2 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 122 pts
3 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 115 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ) 80時間29分31秒
2 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +3秒
3 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) +2分4秒

チーム総合
1 イネオス・グレナディアーズ 241時間35分57秒
2 ドゥクーニンク・クイックステップ +23分39秒
3 バーレーン・マクラーレン +28分1秒

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UCIワールドツアー ジロ・デ・イタリア2020 ロードレース

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