総合2連覇を狙うログリッチも参戦ブエルタ・ア・エスパーニャ2020がいよいよ開幕! マイヨロホほか4賞の有力選手は?

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 第75回ブエルタ・ア・エスパーニャが今夜(10月20日)開幕する。元々はオランダで開幕予定だったが、新型コロナウイルスの影響でルート変更・開催期間短縮となり、スペイン北部・バスク州のイルンでスタートを切り、首都マドリードへと至る全18ステージで争われる。今回は大会の展望と総合リーダージャージのマイヨロホを筆頭に、4賞ジャージの有力選手についてプレビューしていく。

今大会の総合優勝候補である左から順にトム・デュムラン、プリモシュ・ログリッチ、クリストファー・フルーム、ティボー・ピノ Photo: Yuzuru SUNADA

スペイン北部中心に難関山岳の連続

 スペインの最北東部、フランスとの国境に接するイルンが今年の開幕地となった。元々はオランダやポルトガルを経由する予定だったが、全18ステージのほとんどがスペイン北部中心に開催されることとなった。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 コースマップ ©ASO

 とはいえ、ブエルタ特有の急峻な峠道が多数登場。さらに第6ステージではフランス国内を訪れ、ツール・ド・フランスではお馴染みのトゥール・マレー峠(登坂距離18.3km・平均勾配7.5%)がブエルタに初登場と名峰揃いの難コースばかりだ。

 特に総合成績を大きく左右する可能性の高い山頂フィニッシュのステージが、第3・6・8・11・12・17ステージと計6つのステージに設定された。前述のトゥール・マレー峠は1週目の最終日である第6ステージで姿を現し、2週目の最終日には登坂距離12.4km・平均勾配9.9%・最大勾配23.5%に達する「魔の山」アングリルが待ち構えている。

アングリル峠はアルベルト・コンタドール現役最後の勝利を飾った2017年以来の登場 Photo: Yuzuru SUNADA

 個人タイムトライアルは2回目の休息日明けの第13ステージに1回のみだが、距離33.7kmのうちラスト1.8kmは最大勾配29%の激坂を上るタフなコースだ。

 タイムトライアル能力があるに越したことはないが、それ以上に6度の山頂フィニッシュを含む難関山岳で飛ぶように走れる選手こそが総合優勝に近い存在といえそうだ。

マイヨロホは前年王者のログリッチを中心に争われるか

 2019年ブエルタ総合優勝を飾ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が総合優勝候補の筆頭であることに疑いはないだろう。今年のツール・ド・フランスでは、まさかの逆転負けを喫したものの、総合2位は立派な成績。さらに世界選手権6位、リエージュ~バストーニュ~リエージュ優勝とツール後の成績も素晴らしい。

ツール第20ステージでまさかの大逆転を喫したプリモシュ・ログリッチ Photo: Yuzuru SUNADA

 また、ログリッチのチームメートであるトム・デュムラン(オランダ)も有力候補であり、セップ・クス(アメリカ)、ジョージ・ベネット(ニュージーランド)、ロバート・ヘーシンク(オランダ)らアシスト陣も充実しており、ユンボ・ヴィスマのチーム力はずば抜けている。

 唯一の懸念点はツールや世界選など連戦しているため、蓄積した疲労などコンディション面となるだろうが、これはなにもログリッチやデュムランに限った話ではない。

 そういう意味ではツールを欠場したことでフレッシュな状態での参戦が期待されるクリストファー・フルーム(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)はもちろん有力選手だ。しかし、2018年ジロ総合優勝以来、勝利から遠ざかっており、直近2年ではかつてのような力強いフルームの姿は見られていない。来季はイスラエル・スタートアップネイションへの移籍が決まっており、イネオスでのラストレースで有終の美を飾ることができるか注目だ。

2017年にはフルームの総合優勝をアシストしながら、自身も総合6位となったワウト・プールス Photo: Yuzuru SUNADA

 そのフルームと共にダブルエースを担うのはリチャル・カラパス(エクアドル)だ。急遽参戦が決まったツールでは尻上がりに調子を上げており、ブエルタでトップコンディションを迎えることが期待できそうだ。

 落車によりツール総合を棒に振ったティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)も参戦。背中の痛みから回復さえしていれば、ブエルタ特有の急峻な上りとの相性はとても良く、ピノ向きなコースといえるだろう。

 モビスター チームはツールに引き続きエンリク・マス(スペイン)、マルク・ソレル(スペイン)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)の3人を投入。

2018年総合2位と躍進したエンリク・マス Photo: Yuzuru SUNADA

 ツール総合11位のギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)はブエルタに初参戦。同一年に2つのグランツールに出場することも初めてである点は気がかりか。

 ツール第1ステージで肋骨を骨折していたワウト・プールス(オランダ、バーレーン・マクラーレン)は2017年ブエルタではフルームの総合優勝をアシストしながら自身も総合6位になった実績の持ち主だ。

 同じく仙骨骨折の影響で低調だったダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)、落車負傷でリタイアしたダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)といった、ツールでは怪我で本領発揮できなかった選手たちの走りにも注目したい。

次世代のスター誕生の瞬間を見逃すな

 2018年まで設定されていた複合賞に代わって、25歳以下の選手で最も総合成績が良い選手に白い新人賞ジャージが贈られる。また、ブエルタでの活躍をきっかけに飛躍した選手(フルーム、デュムランら)も多く、若手からスター選手へと成長する過程を目撃できるかもしれない。

 総合優勝候補であるマスは同時に新人賞の最有力候補となるだろう。

総合力に定評のあるアレクサンドル・ウラソフ Photo: Yuzuru SUNADA

 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナプロチーム)はジロで新人賞の有力候補に推されていたものの、胃腸のトラブルから第2ステージでリタイア。ある意味ではフレッシュな状態での参戦が期待され、さらに単独エースとして参戦できる点も見逃せない。総合表彰台も狙える実力者だ。

 クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ総合優勝を飾ったダニエル・マルティネス(コロンビア、EFプロサイクリング)は、ツールでは総合28位だったものの区間1勝をあげた。新人賞対象ながらグランツール出場6回目という経験の多さもポイントだ。

ツール第13ステージで勝利したダニエル・マルティネス Photo: Pool / PN / SUNADA

 アンドレア・バジオーリ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)は、今季プロ初勝利を含む2勝をあげ、イタリアの1クラスのステージレースで総合2位に入っている。ドゥクーニンクの若手総合系選手の台頭が著しいなか、ブエルタではバジオーリに期待が集まるだろう。

 ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)、イバン・ソーサ(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)も有力候補であるが、それぞれピノ、フルームとカラパスのアシストが最優先任務となるため、自身の総合成績は二の次かもしれない。

 平均年齢23歳という驚異的な若いメンバー主体で構成されるチーム サンウェブからは、若手登竜門レースのツール・ド・ラヴニールで、2018年総合2位のティメン・アレンスマン(オランダ)、2019年総合3位のイラン・ファンワイルダー(ベルギー)にも注目だ。

総合勢がついでに獲得しがちなポイント賞

 ブエルタのポイント賞は中間スプリント地点が厳しいカテゴリー山岳を越えた先に設定されることが多く、今年も中間スプリント地点までにカテゴリー山岳が設定されていないステージは3ステージのみだ。

4度のマイヨプントス(ポイント賞)獲得の実績を持つアレハンドロ・バルベルデ Photo: Yuzuru SUNADA

 そのため、スプリンターがポイントを伸ばしにくいことが特徴で、過去10年のうち7回において、総合トップ10に入った選手が獲得している。なお、昨年の獲得者は総合優勝のログリッチで、バルベルデは歴代最多タイの4度受賞を誇る。

 ツールでポイント賞ジャージを獲得したサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)といったピュアスプリンターにとってジャージ獲得の道は険しいものとなるだろう。

 総合勢でスプリントも得意なログリッチ、ピノ、バルベルデ、マーティンといった選手たちがこのジャージに近い存在といえそうだ。

逃げのスペシャリストにふさわしい山岳賞

 過去10年の受賞者は全員、逃げを中心に稼いだポイントで山岳賞を獲得している。ブエルタの山岳賞は逃げ屋の称号といえるだろう。

 2016年に1ポイント差で山岳賞を逃したケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)、2018年3位のルイス・マテ(スペイン、コフィディス)、そして昨年山岳賞ランキング2位だったアンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴス・BH)らは今年も逃げに積極的に乗るはずだ。

2016年ブエルタで1ポイント差で山岳賞ジャージを逃したケニー・エリッソンド Photo: Yuzuru SUNADA
フレーシュ・ワロンヌ3位に入るなど激坂を得意とするマイケル・ウッズ Photo: STIEHL / SUNADA

 マイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)は2018年に逃げ切りで区間優勝を飾った経験を持ち、登坂力に優れた逃げのうまい選手だ。

 過去に2度受賞のオマール・フライレ(スペイン、アスタナプロチーム)は総合エースのアシストが最優先で、自由な走りを許される機会は少なそうだ。

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UCIワールドツアー ブエルタ・ア・エスパーニャ2020

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