12月20日まで開催、完走で記念品もアプリ使って「ツール・ド・京田辺」 栗村修さんが三船雅彦さんと道と歴史と秋を満喫

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 秋の京田辺(京都府)を自転車で満喫する、サイクリングコース共有アプリ「ツール・ド」を使ったキャンペーン「ツール・ド・京田辺」が、10月17日から12月20日までの約2カ月間にわたり開催されている。キャンペーンの開始に合わせて、用意された5コースの中では最長のロングコースを、ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)大会ディレクターの栗村修さんが、コースを作ったプロサイクリストの三船雅彦さんと共に実走した。

秋の京田辺を満喫するライドを、栗村修さん、三船雅彦さんと実走 Photo: Ikki YONEYAMA

秋の京田辺を楽しむ5コースを用意

 「ツール・ド」は全国各地のサイクリングコース情報を詰め込んだスマートフォン向けアプリだ。ただコースを紹介するだけでなく、ルートの案内や現在位置の表示、スタンプラリー感覚でのご当地スポットへのチェックイン、オリジナルフォトフレームでの記念撮影など、サイクリングコースを楽しむのに必要な機能を提供している。さらにコースを完走すれば、アプリ上で完走証がゲットできる。

「ツール・ド・京田辺」の発着点になる普賢寺ふれあいの駅 Photo: Ikki YONEYAMA

 「ツール・ド」のアプリを活用した今回の「ツール・ド・京田辺」では、普賢寺ふれあいの駅を発着点に、京田辺の魅力を楽しめる長短5つのコースを公開。さらに期間中にアプリを利用して各コースを1つでも完走すれば、記念品としてオリジナルグッズがもらえる。参加費は無料で、各自が好きな日に、自由なペースでチャレンジ可能。さらに全コースを制覇すればオリジナルメダルと認定証をプレゼントする。

 京田辺市では2016年より国際ロードレース「ツアー・オブ・ジャパン」の京都ステージを実施している。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で大会は中止となったが、自転車を利用した地域おこしの一環として今回のキャンペーンが企画された。今回走るコースはTOJ京都ステージアンバサダーでもある三船さんが作成した2コースのうちの1つ。TOJのコースは何度も走ったことがあるという栗村さんも、新たな発見の一日となったようだ。

50km弱のロングコースへ出発! 栗村さんと三船さんはかつて監督と選手という立場で同じチームに所属したこともあるが、自転車で一緒に走るのは、栗村さんがベルギーで選手活動をしていた2000年以来、実に20年ぶりだそう Photo: Ikki YONEYAMA

最初は一気の上りで最高地点へ

 コースのスタートはTOJ京都ステージと同じ「普賢寺ふれあいの駅」。三船さんは自宅までわずか2kmだそうで、まさに“地元中の地元”。なんでも選手時代に、ロードとシクロクロスの練習環境と、全国各地へのアクセスの便利さから、このエリアに住み始めたという。高速道路のインターが近く、大阪市内からも京都市内からも意外に短時間で来られるのだ。

序盤は断続的に上り坂が続く。多忙で近頃は走る機会の少ない栗村さんは悲鳴! Photo: Ikki YONEYAMA

 正面の府道に出たと思いきや、いきなり脇道に入る三船さん。今回のコースは地元の三船さんならではの、走りやすい裏道をつなげたルートになっている。

 まずは標高300m近くまで一気に上っていく。序盤にまとまった上りをこなすが、その後は下り基調のアップダウンで、快速・快適に走ることができるのがうれしい。

 緩やかに上っていく途中、下に田園風景が見えるところで、三船さんが一旦停止して下を指さす。

 「あれは…TOJのコース!」

下に見えるのはTOJコース。山岳ポイントを終えて高速で通過していくエリアだそう Photo: Ikki YONEYAMA

 アップダウンとハイスピードが巧みに組み合わされたTOJ京都ステージの周回コース。その山岳ポイントの少し後のあたりが見える。ちょうど1本上の道を走っていたらしい。しばらくするとTOJコースに合流しそうになるが、逆方向に曲がりさらに上る。少し息が切れたが、しばらくすると最高地点の笠上神社に到着した。スタート地点から標高差200m少々を一気に稼いだ形だ。ここからは全体に下り基調となる。

薄暗く神秘的な急坂で三船さんははるか遠くに… Photo: Ikki YONEYAMA
上りが終わるとここがコース最高地点! この先は下り基調になるので、最初ここまでは少し頑張ろう Photo: Ikki YONEYAMA

けいはんな地域をクルージング

 笠上神社から少し下ると右に入り、のどかな池のほとりの公園に出る。ここは「くろんど池」。関西シクロクロスの大会など自転車のイベントも行われていることから、サイクリストにもおなじみの場所だ。ここまで走った距離は10km足らずだが、茶店もあるので休憩スポットに良いかもしれない。

くろんど池の脇を通過。のどかな風景が広がる Photo: Ikki YONEYAMA

 元プロ選手の2人は立ち話もそこそこに先を急ぐ。実はルートは京田辺市から、奈良県生駒市へと入っている。このあたりは京阪奈(けいはんな)丘陵と呼ばれ、その名の通り京都府・大阪府・奈良県の境が交わっているエリアだ。

前方のアンテナ塔が立つのが生駒山。奈良側を走っているが、実はここは大阪府 Photo: Ikki YONEYAMA

 大阪在住なら「テレビアンテナの山」でおなじみの生駒山がすぐ近くに見えるが、その姿は普段の大阪側から見るのと反対側。こちら側は奈良県…と思いきや、三船さんによるとここは大阪府で四條畷市。大阪人には生駒山の向こう側は奈良県という固定観念があるが、実は生駒山の北側は丸々四條畷市で、市域は山の東側のけいはんな地域まで広がっている。そういえば駐車場に停まるクルマのナンバーも、京都、奈良、大阪が同数くらいに入り交じっている。

途中にある住吉神社。このあたりは古堤街道で、大阪と奈良を結ぶ主要な道の一つだった Photo: Ikki YONEYAMA
ところどころでちょっとした上りがスパイスになる。どれもそれほど長くないので心配はない Photo: Ikki YONEYAMA

 ニュータウンや学研都市のイメージから最近開けたような感覚になるが、実はこの付近は古くから街道筋として栄えたエリア。進んでいくと道や町並みもニュータウン風の場所と、旧街道風の場所が切り替わっていく。特段観光地に立ち寄るわけではないが、走っていると「ここは新しい」「ここは古い」と変化して面白い。

整然としたニュータウンがあるかと思えば、昔ながらの田園農村風景の中を走ったりする Photo: Ikki YONEYAMA

“フランドルもどき”の激坂も

 やがてコースは、けいはんな学研都市をかすめるような裏道となる。小さな丘を登ったところで、三船さんが「ここが“フランドルもどき”の坂やで」と教えてくれた。フランドルとはワンデーロードレースの最高の一つで、石畳の急坂で知られるベルギーのクラシックレース「ツール・デ・フランドル」のこと。三船さんはこれに日本人として初めて出場している。

 木に囲まれた暗いコンクリート舗装の急坂は、フランドルの雰囲気十分。実際に三船さんは現役選手時代、ここでトレーニングもしていたそうだ。

複雑に角を曲がり、けいはんな学研都市の中を抜けていく Photo: Ikki YONEYAMA
これが「フランドルもどき坂」! 三船さんから「アレージャポネー」の声が掛かる Photo: Ikki YONEYAMA

 少し進んだ場所には、コース自体からわずかに外れるが、もう1つ激坂スポットが。左に曲がりながら一気に上るコンクリート舗装の坂は、一番内側は瞬間勾配40%以上か?と思うほど。「ここはキープレフト(一番内側)で!」と笑いながら話す三船さん。本場ベルギー仕込みの見事なフランドルクライムを披露してくれた。

こちらもコンクリート舗装の急坂。三船さんは見事“キープレフト”で走破 Photo: Ikki YONEYAMA

 このあたりの裏道アップダウンは、完全に三船さんの“練習コース”だそう。突如選手時代の血が騒いだのか、上りでダッシュをかけて姿が見えなくなってしまうことも。そうして進んでいるうちに、TOJ京都ステージのコースの途中へと出る。レースでは上り坂になっている区間を逆方向に、けいはんなプラザの裏を下っていった。

TOJコースを逆向きに走っていく。ここはTOJでは上り坂でギャラリーの多いことで知られるコーナー Photo: Ikki YONEYAMA
下り基調で京阪奈丘陵から一気に下っていく。道路脇には茶色のサイクリング誘導ライン「茶いくるライン」が引かれている Photo: Ikki YONEYAMA

 丘陵地から一気に下ると木津川近くの平地となる。精華町の古い町並みをゆっくり抜けてしばらく走ると、いよいよ木津川の河川敷へ。しばらく川沿いの信号のないサイクリングロードを北上する。走りやすいが車止めが定期的に現れるので、複数で走る際には要注意だ。

木津川そばにある祝園神社 Photo: Ikki YONEYAMA

サイクリングロードは歩行者と分離されており、ところどころ土手から降りて細い別の道を通ることがあるので注意 Photo: Ikki YONEYAMA

徹底裏道の快適ロングコース

 木津川サイクリングロードを抜けると、住所は京田辺市に戻っていた。しばし走る古い町並みは飯岡の集落で、ここは高級玉露の産地として有名だそう。そういえば発着点の普賢寺ふれあいの駅でも、お茶関連の商品が色々と売られている。

玉露で有名な飯岡を抜けると丘に茶畑を発見 Photo: Ikki YONEYAMA
田んぼの間をクネクネ曲がっていくのでルートには要注意 Photo: Ikki YONEYAMA
小さな丘を越えるラストの上り坂 Photo: Ikki YONEYAMA

 少し交通量の多そうな道にも入るが、入ったと思ったらすぐ脇道に抜けていく。田んぼの間をクネクネ走ると、やがて近鉄興戸駅横の踏切を渡り、田園地帯の裏道をじわじわ上っていく。ここが最後の上り坂。小さな丘を越えると、同志社大学の京田辺キャンパスの裏手を下り、出てきた場所はスタート地点のすぐそばだ。いよいよゴール、と思いきや太い道の手前で曲がる。最後の最後まで裏道を使って安全快適に走るのが三船さん流だ。

ゴールは目の前!というところでも細い裏道を使う Photo: Ikki YONEYAMA
観音寺は古代・中世には普賢寺と呼ばれ、地名にもその名が残っている Photo: Ikki YONEYAMA

 ゴールする前に、普賢寺ふれあいの駅の裏手にある観音寺に立ち寄った。ここには8世紀に作られた木心乾漆十一面観音立像があり、国宝だそう。京田辺市内には北側に有名な一休さんの一休寺(酬恩庵)もあるが、一休寺が室町時代の京都文化であるのに対し、南側の観音寺は木製の観音像など奈良時代の文化で、これは京田辺がかつて奈良と京都の境だったことを示しているのだ。と、これは寺社マニアの三船さんの受け売りだ。

無事ロングコースを完走して、記念品のオリジナル手ぬぐいをゲット! Photo: Ikki YONEYAMA

 たっぷりのライドを終えて普賢寺ふれあいの駅にゴール。距離は50km足らずだが、栗村さんは「180km走ったみたい!」との感想。それは大げさとしても、道や町並みの変化、古くからの歴史の息づかいをそこかしこに感じられ、走りやすさも含めて多角的に楽しめるコースだった。

オリジナルの京田辺てぬぐいは3種類。色だけでなく柄も異なっている Photo: Ikki YONEYAMA

 走る上で注意するとすれば、裏道をつなげて走るため、コース上に特にこれといったグルメ立ち寄りスポットが皆無という点。道自体が“ごちそう”ということにして、胃袋は違う方法で満たすようにしよう。またルート自体はかなり複雑で、自力で初見から正しいルートを取ることは困難だろう。ナビ機能のあるサイクルコンピューターや「ツール・ド」のマップ機能を十分に活用して走るのがおすすめだ。

 見事完走すると、オリジナルグッズの手ぬぐいが、3色から好きな1枚を記念品としてもらえる。これから秋が深くなると紅葉の見頃になってくるそう。ぜひとも秋の京田辺をたっぷり楽しんでほしい。

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