ジロ・デ・イタリア2020 第11ステージ段違いのスプリントを見せたデマールが4勝目 スプリントトレインが主導権握り好位置から加速

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 大会第2週が進行しているジロ・デ・イタリアは、現地時間10月14日は第11ステージが行われ、集団スプリントによる勝負をアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)が制した。これで今大会4勝目。ポイント賞のマリアチクラミーノも首位を快走している。個人総合順位は、平坦ステージとあって上位陣に変動なし。ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)がマリアローザをキープしている。

ジロ・デ・イタリア第11ステージ。絶好のポジションから加速したアルノー・デマールが勝利。第4・6・7ステージに続く今大会4勝目を挙げた Photo: Yuzuru SUNADA

逃げと集団との差は3分台で推移

 前日に引き続いてアドリア海沿いを北上していくジロ。この日は、ポルトサンテルピディオからリミニまでの182kmに設定された。中盤に4級山岳が控え、それをきっかけに細かなアップダウンがあるものの、ステージ優勝・個人総合ともに争いを動かすようなアクセントとはならない。

 スプリント勝負になることが大方の予想だが、フィニッシュ前8kmを切ったところからコーナーやラウンドアバウトが連続し、テクニックとスピードの強弱への対応が求められる。特にリミニ市街地に入り、残り800mからは鋭角コーナーが連続して登場。最終コーナーはフィニッシュ前500mで、ここを前方でクリアすることが勝負において大前提となった。

序盤に形成された逃げグループがしばらく先頭を走った Photo: Yuzuru SUNADA

 迎えたレースは、リアルスタート直後にアタックを決めた5人が先行する。マッティア・バイス(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)、ファビオ・マズッコ(イタリア、バルディアーニ・CSF・ファイザネ)、フランチェスコ・ロマーノ(イタリア、バルディアーニ・CSF・ファイザネ)、サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・スーダル)、マルコ・フラッポルティ(イタリア、ヴィーニザブ・KTM)の面々は、集団に対して早い段階で3分台のリードを確保。ただ、集団もコフィディスやUAE・チームエミレーツが牽引を開始したことによって、それ以上の開きとはならず。この構図は長時間にわたって続くこととなった。

ジロカラーのトレインがプロトンと並走する Photo: Yuzuru SUNADA

 そんな流れに少しばかり動きが生じたのは、105.1km地点に設定された1つ目の中間スプリントポイント。先頭の5人が通過後、残るポイントをかけてメイン集団に待機していたスプリンター陣が前方に集結。ここはボーラ・ハンスグローエのトレインをかわしたデマールが最前方を確保し、全体の6位通過。ポイント賞争いのライバルであるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)に先着し、得点を伸ばすことに成功している。

 ただ、その後は再びタイム差が3分台に戻って、淡々と進行。それでも、残り40kmを切って小さな上りをこなしていくうちに先頭グループが崩壊。3人が遅れ、前線に残ったのはバイスとアルメに。

 タイミングを同じくして、メイン集団ではアクシデントが発生。ラウンドアバウトから続いた右コーナーで集団全体が減速したことに起因して、選手たちと並走していたモトバイクがエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)に追突。モトバイクもスピードが落ちていたこともあり、ヴィヴィアーニの被害は数カ所の傷でとどめたものの、この日予定していたであろうスプリントに向けては大きな痛手に。集団は復帰を目指すヴィヴィアーニらコフィディス勢を待って、いよいよ先頭2人を射程圏へ捉えようとペースを上げていった。

コーナーでモトバイクとエリア・ヴィヴィアーニ(手前)が接触するアクシデント。一時集団内が混乱した Photo: Yuzuru SUNADA

残り1kmのポジション争いを制しデマールがフィニッシュへまっしぐら

 しばし2人で進んだ逃げだったが、残り25kmでアルメがバイスを引き離し独走を開始。逃げ切りにかけて粘りを見せるが、集団も残り20kmを切ったところから多くのチームが隊列を組んで前方にポジショニング。その差を1分台にまで縮めると、さらには残り10kmを前に急激にタイム差が縮小する。

懸命に逃げ続けたサンデル・アルメ。残り6kmで集団に吸収された Photo: Yuzuru SUNADA

 ここからは集団前方では各チームによるポジション争いが激化。スプリントを狙うチーム、総合エースの危険回避とその狙いはさまざま。個人総合3位のペリョ・ビルバオ(スペイン)を擁するバーレーン・マクラーレンは、新城幸也が先頭に立って牽引する姿も見られた。

 こうしていくうちに、懸命に逃げ続けていたアルメに集団が迫ってきた。結局、テクニカルなセクションに入った残り6kmで集団がキャッチ。ここからは、いよいよスプリントに向けた態勢が本格化。それまではUAE・チームエミレーツが集団を牽引していたが、残り5kmからはイスラエル・スタートアップネイション、残り3kmで再びUAE・チームエミレーツが主導権を取り戻すなど、激しい位置取り争いが繰り広げられる。

 残り2kmを迎えようかというところで、デマールを引き連れたグルパマ・エフデジのトレインが猛然と浮上。ここにUAE・チームエミレーツ、ボーラ・ハンスグローエなども絡み、コーナーのたびにそのポジションが入れ替わった。

 勝負を左右したのは、残り1kmでのグルパマ・エフデジ勢のポジショニングだった。再び先頭に躍り出ると、リードアウトマンの作るペースもあってライバルたちを近くへと寄せ付けない。連続コーナーを抜けて最終ストレートに入ると、残り200m通過を合図にデマールがスプリントを開始。ここにサガンやアルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ)らが続いたが、今大会に入って群を抜くスプリントを見せているデマールの前に出ることはできず。デマールが今大会4勝目のフィニッシュへと飛び込んだ。

デマールが集団スプリントで圧倒。後方マリアローザのアルメイダもタイム差なしのゴールを確保する Photo: Yuzuru SUNADA

 デマールは、この勝利でさらにポイントを加算。マリアチクラミーノ争いで2位につけるサガンに対して36点差と拡大させることに成功している。

今大会4勝目をアピールするアルノー・デマール Photo: Pool / LAPRESSE / SUNADA

 この日は総合争いにアクションはなく、上位陣はしっかりメイン集団内でフィニッシュ。アルメイダもきっちり前方でレースを終えて、マリアローザを守っている。アシストとしての役目を果たした新城もメイン集団でフィニッシュ。ステージ50位で1日を終えている。

 翌15日はチェゼナティコを発着とする204km。スタートから少しばかりの平坦区間を進んだのち、アペニン山脈の上りへ。カテゴリー山岳は3級または4級で合計5カ所だが、山岳にカテゴライズされない上りも複数あり、そのいずれもが最大勾配15%に迫ろうかという急坂。同様に下りも急なうえテクニカルとあって、アップダウンをこなしていいくうちに自然と人数が絞られていきそうだ。ステージ優勝を狙うには逃げ向きとの声も挙がる。ちなみに、チェゼナティコはかつての王者である故マルコ・パンターニの故郷でもある。

第11ステージ結果
1 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 4時間3分52秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) +0秒
3 アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
4 シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)
5 リック・ツァベル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)
6 ニコ・デンツ(ドイツ、チーム サンウェブ)
7 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAE・チームエミレーツ)
8 ステファノ・オルダーニ(イタリア、ロット・スーダル)
9 ジャコポ・モスカ(イタリア、トレック・セガフレード)
10 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)
50 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン)

個人総合(マリアローザ)
1 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 43時間41分57秒
2 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +34秒
3 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) +43秒
4 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング) +57秒
5 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) +1分1秒
6 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +1分15秒
7 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ) +1分19秒
8 ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +1分21秒
9 ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) +1分36秒
10 ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・マクラーレン) +1分52秒
85 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) +1時間17分56秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 220 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 184 pts
3 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 51 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング) 84 pts
2 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ヴィーニザブ・KTM) 76 pts
3 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 45 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 43時間41分57秒
2 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ) +1分19秒
3 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAE・チームエミレーツ) +2分39秒

チーム総合
1 イネオス・グレナディアーズ 130時間59分50秒
2 ドゥクーニンク・クイックステップ +12分32秒
3 チーム サンウェブ +13分55秒

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