ジロ・デ・イタリア2020 第10ステージ序盤から逃げたサガンが独走で今季初優勝 昨季ツール以来の勝利を手に入れる

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
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 ジロ・デ・イタリアの第10ステージが10月13日に行われ、序盤から逃げに乗ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が、終盤の山岳ポイントで単独アタックに成功、独走に持ち込んで今シーズン初勝利を手に入れた。また、マリアローザは、ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)がキープ。日本の新城幸也は105位でフィニッシュした。

独走で勝利したサガン。久しぶりの勝利はサガンらしいものだった Photo: Yuzuru SUNADA

新型コロナ陽性で2チームが大会撤退

 休息日明けの第10ステージ、恐れていたことが起きた。休息日に選手・スタッフ全体を対象に行われた新型コロナウイルスのPCR選手において、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)とマイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)に陽性反応が出たことが判明。第2週を戦わず大会を去ることになった。

 ユンボ・ヴィスマに関してはチーム全体でのジロ撤退を決断。また、第1週途中でサイモン・イェーツ(イギリス)が新型コロナ陽性で離脱していたミッチェルトン・スコットも、4人のスタッフが陽性に。ユンボ同様、チームごと大会を去ることを決めた。

ジロでの活躍も期待されたユンボも大会を去る Photo: Yuzuru SUNADA

 波乱の中で迎えた第10ステージは、ランチャーノからトルトレートまでの177km。山岳ポイントは3級1つ、4級3つだが、132km過ぎから約40kmはアップダウンの繰り返しとなる。終盤での激しい攻防、同時にそこまでは落ち着いたレース展開となることが予想された。

 だが、その予想に反して、レースは序盤から荒れる。逃げては捕まえての繰り返しで、中々逃げが決まらない。スタートから約40kmでは一旦5人の逃げが出来上がるが、この逃げも許されない。トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)が出る場面もあったが、結局は集団に戻ることに。名だたる逃げの常連さえも手を引く荒れた展開となっていた。

サガン対グルパマの綱引きはサガンに軍配

 その後もアタック合戦は続く。マッテオ・ファッブロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)ら複数の選手が飛び出し、サガンもこの動きに同調。サガンはそのまま抜け出し、そこについたフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)と先行。47km地点にある最初の山岳ポイントもサガンとガンナの順で通過する。その後10人ほどが加わり、サガン、ガンナを含む先頭が出来上がるが、それでも逃げ決定的なものにはならなかった。

 その理由の一つが、グルパマ・エフデジの動き。マリアチクラミーノ争いをしているアルノー・デマール(フランス)擁するグルパマが、ポイント賞で2位のサガンの逃げを見過ごすわけにはいかない。チームで追走のペースを上げる。だが、タイム差は思うように縮まらない。グルパマ以上に、逃げがハイペースでレースを進めていた。

サガンの乗った逃げを追走するグルパマ勢は、マリアチクラミーノのデマール自身も先頭に立つ Photo: Yuzuru SUNADA

 90kmを過ぎ、とうとうグルパマが逃げ吸収を諦める。最終的に逃げに乗ったのは、サガンのほか、ガンナ、ヨナタン・レストレポ(コロンビア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)、サイモン・クラーク(オーストラリア、EFプロサイクリング)、ダリオ・カタルド(イタリア、モビスター チーム)、ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、モビスター チーム)、ベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の7人となる。逃げとメインのタイム差は徐々に広がり、3分から4分程度で推移。メイン集団はUAE・チームエミレーツが牽引していた。序盤の展開が嘘のように、レースは落ち着きを取り戻した。

 119km地点にある2つ目の4級山岳ポイントもこの構図のまま通過。138km地手のの3級山岳ポイントでは、タイム差が約2分に縮まり、ガンナとクラークが逃げから脱落する場面がみられたが、その後ガンナは集団復帰に成功した。一方、メイン集団はドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)擁するNTTプロサイクリングが牽引していた。

逃げ集団では、上りでペースを上げるカタルドにスウィフトが反応 Photo: Yuzuru SUNADA

クライマックスに向け戦いのゴング

 この日4つ目となる4級山岳に向けアップダウンをこなしていたゴールまで残り20km手前、逃げまで30秒程に迫っていたメイン集団で動きが出る。総合3位のペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)がアタックし自ら攻撃に出た。一方、総合4位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)はメカトラでストップ。遅れをとってしまう。

この日も無事フィニッシュした新城幸也 Photo: Yuzuru SUNADA

 ラスト20kmで、ビルバオと逃げのタイム差は約20秒。逃げから脱落してきたヴィレッラと協調し、前を急ぐ。一方、逃げからはカタルドの他にも脱落する選手が続出。逃げはサガンとスウィフトのみとなる。約20秒後ろにビルバオと脱落した逃げで形成された追走、さらに約20秒離れれてドゥクーニンク・クイックステップが牽引するメイン集団と続いていた。そのメイン集団では、テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がアタックを試みるなど、終盤に向けて各選手がさまざまな動きを見せてた。

 ラスト約12km、最後の4級山岳の上りで、追走のビルバオがスピードアップ。ヴィレッラを引き離しサガンとスウィフトまで目と鼻の先という状況になる。だが、ここでサガンが動く。上りの最中でアタックし、単独で前へ。その後の山岳ポイントも先頭で通過する。そのペダリングは他を寄せ付けない力強さ、サガンの代名詞「上れるスプリンター」らしい走りだった。

まさにこの日は「サガンの日」となった Photo: Yuzuru SUNADA

 一方、メイン集団は総合勢の争いが活発化。首位のアルメイダが自らアタックし、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)やヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ プロチーム)もその動きにつく。だが、フルサンはこの後メカトラに見舞われ遅れをとる。そして、サガンを追走していたビルバオも程なくしてメイン集団に吸収されてしまう。

 後ろがこうなれば、サガンの優勝はより濃厚に。持ち前のバイクテクニックを存分に発揮し、下りも快調にクリアしていく。下りを終え平坦区間に入ってもサガンのペースは落ちず。一番にフィニッシュラインを通過した。

 今シーズンはツール・ド・フランスを含めて勝利がなく、10年近くほぼ独占してきたマイヨヴェールも失ったサガン。今ジロでもスプリントステージの優勝には恵まれなかった。だが、この日は序盤から攻撃を仕掛け、グルパマの追撃を振り切り逃げに乗ることに成功。終盤の上り区間で一早くアタックし独走、見事勝利を手に入れた。観客を沸かせる展開は、まさにサガンらしい走りだった。

 一方、2位以降はスプリント争いに。序盤レースをコントロールしたUAE・チームエミレーツのブランドン・マクナルティ(アメリカ)、マリアローザ着用のアルメイダ、スウィフト、 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ)の順でフィニッシュした。

マリアローザのアルメイダが3位を取り、ボーナスタイムで総合2位以下とのタイム差を広げることに成功 Photo: Yuzuru SUNADA

 勝負を仕掛けたビルバオは、結局大きな差をつけられず3位のまま。一時は遅れたポッツォヴィーヴォもタイム差なしでフィニッシュし総合4位をキープした。ボーラ・ハンスグローエのパトリック・コンラッド(オーストリア)とラファウ・マイカ(ポーランド)はサガンが逃げたおかげで終盤まで脚を休めることに成功。総合6位と8位に順位を上げた。

 一方総合6位だったヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ プロチーム)は、終盤のメカトラからメイン集団に復帰できず。総合トップ10から姿を消した。

 翌日開催の第11ステージは、ポルトセンテルピディオからリミニまでの181kmで争われるスプリントステージ。第2週開幕から激しい攻防となった総合勢にとっては、一息つけるステージになることを願うところだろう。

この日もマリアローザをキープしたアルメイダ Photo: Yuzuru SUNADA

第10ステージ結果
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 4時間1分56秒
2 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAE・チームエミレーツ) +19秒
3 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) +23秒
4 ベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
5 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ)
6 ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)
7 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
8 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)
9 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング)
10 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)
105 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) +15分51秒

個人総合(マリアローザ)
1 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 39時間38分5秒
2 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ) +34秒
3 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) +43秒
4 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、NTTプロサイクリング) +57秒
5 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) +1分1秒
6 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +1分15秒
7 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ) +1分19秒
8 ラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +1分21秒
9 ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) +1分36秒
10 ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・マクラーレン) +1分52秒
88 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) +1時間17分56秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 167 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 147 pts
3 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 51 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFプロサイクリング) 84 pts
2 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ヴィーニザブ・KTM) 76 pts
3 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 45 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 39時間38分5秒
2 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、チーム サンウェブ) +1分19秒
3 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAE・チームエミレーツ) +2分39秒

チーム総合
1 イネオス・グレナディアーズ 118時間48分14秒
2 ドゥクーニンク・クイックステップ +12分32秒
3 チーム サンウェブ +13分55秒

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