アイテムインプレッション2020フィジーク「アダプティブ」のミドルグレード「R1」と「R3」をインプレッション

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 従来のサドルの常識を覆したフィジークのサドル「ANTARES VERSUS EVO ADAPTIVE」(アンタレス ヴァーサス エボ アダプティブ)に、よりコストパフォーマンスに優れたR1カーボンブレイデッドレールととR3キウムレールを使用した2モデルが追加された。3Dプリンタ技術を駆使したユニークな構造はライドフィーリングにどう影響するのか。ラインナップ拡張に伴い追加された新作を実走し、使用感を確かめた。

フィジーク「アダプティブ」シリーズに追加されたミドルグレードをインプレッション Photo: Shusaku MATSUO

ベースとレールの素材をダウングレード

 アダプティブシリーズで用いられるパッドは、液体樹脂にデジタル紫外線を投影することで成形している。立体的な網目状の形状は内部にまで至っており、体重がかかる部分ほど密に設計。樹脂自体の硬さは均一だが、内部を構成する密度と形状によって硬度が変えられているのだ。

カーボン強化ナイロンシェルのベースにカーボンブレイテッドレールを組み合わせたANTARES VERSUS EVO R1 ADAPTIVE(アンタレス ヴァーサス エボ R1 アダプティブ) Photo: Shusaku MATSUO
強度と軽さを両立したコストパフォーマンスに優れたK:ium(キウム)レールを用いたANTARES VERSUS EVO R3 ADAPTIVE(アンタレス ヴァーサス エボ R3 アダプティブ) Photo: Shusaku MATSUO

 今回登場したR1とR3グレードは、ハイエンドグレードの00からベースとレールの素材をダウングレードさせたモデルだ。00にはHMフルカーボンシェルにメビウスカーボンレールが組み合わされていたが、R1はカーボンブレイテッドレールを、R3にはkiumレールがカーボン強化ナイロンシェルに合わせられている。139mm幅で比較すると、00が147g、R1で174g、R3で209gという重量スペックだ。価格は00が4万8000円(税抜)、R1が3万8300円(税抜)、R3が3万2200円(税抜)とハイエンドモデル比で1万円〜1万6000円ほどの差がある。

カラーがブラックになったことで自然と車体に馴染むスタイリングに Photo: Shusaku MATSUO

 特徴的な薄緑の蛍光色が目を引いた00だが、R1とR2はブラックに統一され、大人しい印象に。以前、00のインプレッションを行った際には、装着したバイクの中でも最も目立つパーツとなった。個人的には好みの見栄えになったが、賛否あるかもしれない。その点、馴染みのあるブラックでの登場を待ちわびていたサイクリストも多いはずだ。実際に前回と同じ車両に取り付けてみたが、まとまったスタイリングに仕上がった。

上位モデルとの性能差は僅か

 樹脂パッドに関しては、前回のインプレッション同様、座ってみると驚くほど違和感がない。指で硬さを確かめると、場所によって明らかに違いがあるが、座ると均一な硬さに感じる。圧力分布を計算した構造だからこその感触だろう。適度な厚みが潰れて体にフィットするので、表面が微細な振動を吸収してくれているようにも思えた。

内部の密度を調整することで、圧力の分布ごとに硬さを調整している Photo: Shusaku MATSUO

 クッション性に関しては、00と違いはほぼないと言えるだろう。00が非常に硬質なフルカーボンベースを採用しており、R1とR3の樹脂ベースとの硬さの違いは確かにある。しかし、圧力の分布を考慮し、4つのゾーンに分けて形成された樹脂パッドが体重を最適に分散。よほど激しいレース展開の中で、極端なポジションを取らない限り、ベースの硬さの違いを感じることは難しいだろう。

 R1のカーボンブレイテッドレールとR3のkiumレールを比較すると、やや前者の方に柔軟性を感じる。kiumレールも剛柔のバランスが整っているが、当たりのソフトさにはカーボレールに軍配が上がる。

約1万円価格が抑えられたR1だが、性能差は大きく開いておらず、コストパフォーマンスが高いモデルだと実感 Photo: Kyoko GOTO

 よって、明確に異なるのは重量ということになる。150gを下回る00は圧倒的に軽かった。車体の最も高い部分に位置するパーツだけに、ダンシングではその差を感じることができる。R1は僅か27g増しなので、コストパフォーマンスは非常に高い。価格とスペックのバランスが取れている。

 R3は超軽量ではないが、十分にレースでも耐えうる重量である。樹脂パッド自体の性能は同等なので、アダプティブをまずは試してみたいサイクリストにおすすめだ。また、00とR1のレールが7×10mmの楕円形なのに対して、R3のkiumレールは7×7mmと円柱である。前者だと適合するシートポストを用意する必要があるが、R3の場合はその必要はないだろう。気兼ねなく導入できるはずだ。

 1gでも軽くしたいシリアスライダーなら00一択である。しかし、R1、R3と比較してみると性能差の開きは大きくないことが実感できた。より安価な選択肢が生まれたことで、多くのユーザーへと浸透してくだろう。レーサーからロングライド派、また、脚力のレベルを問わずにおすすめしたいプロダクトだ。

ANTARES VERSUS EVO R1 ADAPTIVE(アンタレス ヴァーサス エボ R1 アダプティブ)

税抜価格:38,300円
サイズ:139mm、149mm
レール:10×7mm カーボンブレイデッドレール
シェル:カーボン強化ナイロンシェル
カラー:ブラック
重量:174g(139)、180g(149)

■ANTARES VERSUS EVO R3 ADAPTIVE(アンタレス ヴァーサス エボ R3 アダプティブ)

税抜価格:32,200円
サイズ:139mm、149mm
レール:7x7mm Ki:umレール
シェル:カーボン強化ナイロンシェル
カラー:ブラック
重量:209g(139)、215g(149)

松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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