ヘント〜ウェヴェルヘム202024歳ピーダスンが北のクラシック初優勝 注目のファンアールト、ファンデルプールは共に沈む

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 UCIワールドツアー「ヘント〜ウェヴェルヘム」が10月11日に開催され、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が北のクラシック初優勝を飾った。直接対決が注目されていたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)とマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)はそれぞれ8位、9位だった。

小集団スプリントを制して、北のクラシック初優勝を飾ったマッズ・ピーダスン Photo: STIEHL / SUNADA

石畳と激坂が待ち受ける北のクラシックが再開

 ベルギー北部のフランドル地方を中心に開催されるワンデークラシックレースを総称して呼ばれる「北のクラシック」が、2月29日のオンループ・ヘット・ニュースブラッド以来9カ月以上ぶりに再開した。

 例年はヘント近郊の街・ダインゼからウェヴェルヘムへ向かい、一部フランス国内を通過するコースとなっている。今年は新型コロナウイルス対策としてスタート地点はヘントから西へ80kmほど離れたイーペルへ移され、フランス国内を通るルートがカットされたため、例年より20kmほど短い232.5kmで争われた。

 結果として今年のコースはヘント周辺にはかすりもしないほど離れた場所で行われることになったのだが、前半は平坦路が中心、中盤から終盤にかけて激坂が多数登場し、残り34km地点の最大勾配20%超えの激坂ケンメルベルグを越えたあとは、フィニッシュ地点までほぼ平坦路という、スプリンターにも勝機のあるヘント〜ウェヴェルヘムの特徴は踏襲されていた。

 レースはスタート直後に元世界王者のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)や、昨年ジャパンカップに出場した経験を持つケニー・モリー(ベルギー、ビンゴール・ワロニーブリュッセル)らを含む7人の逃げが決まった。

 ドゥクーニンク・クイックステップが中心となってコントロールするメイン集団に対して最大8分程度まで開いたものの、中盤の激坂区間に向けてタイム差は縮小。3分弱のタイム差にコントロールされていた。

横風分断を契機に精鋭集団が形成

 残り74km地点、横風が強く吹いている区間で、ユンボ・ヴィスマが一気にペースアップ。集団が分断されるなか、横風にあおられるような形でダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)ら複数人が落車してしまう。

 混沌とした状況で、ファンアールト自ら集団を引っ張り、ファンデルプールがアタックを仕掛ける場面も見られ、メイン集団は2人を含む20人程度の小集団に絞り込まれると、逃げの7人を吸収。先頭集団は30人弱となり、遅れた後続集団とのタイム差は30秒となっていた。

 この先頭集団にはファンアールト、ファンデルプールに加えて、前年王者のアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAE・チームエミレーツ)、昨年のロンド・ファン・フラーンデレン勝者のアルベルト・ベッティオル(イタリア、EFプロサイクリング)、そしてピーダスンと、各チームのエースが集結している状況だった。

 一瞬レースが落ち着いた隙に、シュテファン・キュング(スイス、グルパマ・エフデジ)、マッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム)、セップ・ファンマルク(ベルギー、EFプロサイクリング)、ピーダスンらを含む9人の選手が飛び出した。ファンアールトらのいる集団とのタイム差を1分程度まで開く。

キュング、ピーダスン、トレンティンらを含む先頭集団が形成 Photo: STIEHL / SUNADA

 この日2回目となるケンメルベルグに差し掛かると、メイン集団からファンアールトがアタック。ファンデルプール、ベッティオルらが反応し、複数人の選手が追従する形で8人の小集団が形成。ここでクリストフらは脱落してしまった。

 先頭の9人に対して、追走の8人は20秒程度の差を維持。なかなか前に追いつけない状況で、残り34km地点、この日最後の激坂区間となる3回目のケンメルベルクに突入した。

単騎のピーダスンがスプリントを制す

 またしても追走集団からファンアールトがアタック。ファンデルプールも食らいつくと、2人は一気に先頭集団に追いついた。先頭からもトレンティン、キュングがアタックを仕掛けるも、集団から抜け出すまでには至らず。一連の流れで先頭と追走の選手の一部が合流。

 ファンアールト、ファンデルプール、トレンティン、キュング、ベッティオル、ファンマルク、ピーダスンらを含む新たに16人の先頭集団が形成された。ここにドゥクーニンク・クイックステップはフロリアン・セネシャル(フランス)、イヴ・ランパールト(ベルギー)、カスパー・アスグリーン(デンマーク)と3人の選手を送り込んでいた。

 さらにファンアールトにはミケ・テウニッセン(オランダ)が残っている。一方でトレンティン、キュング、ピーダスンらはチームメイトがおらず単騎での戦いを強いられていた。

 そうした状況で、キュングがアタックを仕掛け、集団から飛び出した。数km独走するも、十数人とはいえアシストが多く残っている集団を引き離すことはできず、残り26km地点で吸収されてしまった。

サバイバルレースを制したピーダスン Photo: STIEHL / SUNADA

 次にレースが動いたのは残り16km地点。ランパールトのアタックに対して、テウニッセンがチェック。集団に引き戻したタイミングで、今度はベッティオルが飛び出した。

 トレンティン、ファンアールトが先頭となりベッティオルを追いかけて、すぐに吸収。しかし、この一連の動きでアスグリーン、ファンマルク、テウニッセンら6人の選手が脱落。先頭集団は9人となり、セネシャルとランパールトの2人を残しているドゥクーニンク・クイックステップ以外は、みな単騎というサバイバルレースの様相を呈していた。

 9人全員でローテーションしながらも、残り5.6km地点でベッティオルのアタックをきっかけに、誰かがアタックして飛び出しては誰かがチェックして集団に戻すという展開に。ファンアールトとファンデルプールはほとんど後手を踏むこととなり、ほぼすべてのアタックに対して自ら動いてチェックしている状況だった。

 フィニッシュまで残り2kmを切ったところで、ファンアールトやファンデルプールのいる道路右側とは逆の左サイドからトレンティンがアタック。ベッティオル、セネシャルが反応し追従したものの、ファンアールト、ファンデルプールは動けず。

 お見合い状態に陥った集団からピーダスンのみが抜け出して、数十メートル先の先頭3人に追いつくことに成功。

 残り1kmを切って、ようやくファンデルプールとファンアールトが差を埋めようとするも、ここまでに積極的に動いてきた2人に力はほとんど残っておらず万事休す。

 ピーダスン、トレンティン、セネシャル、ベッティオルによるスプリント勝負に持ち込まれたが、今季はワールドツアーの集団スプリントで2勝をあげているピーダスンが3人を突き放して先着。2018年のロンド・ファン・フラーンデレンで2位に入った経験を持ち、昨年は世界選手権を制した24歳の期待の新星が、ついに北のクラシック初勝利を飾った。

北のクラシック初制覇のピーダスン Photo: STIEHL / SUNADA

ヘント〜ウェヴェルヘム結果
1 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) 5時間19分20秒
2 フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +0秒
3 マッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム)
4 アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFプロサイクリング) +1秒
5 シュテファン・キュング(スイス、グルパマ・エフデジ) +3秒
6 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、ロット・スーダル) +4秒
7 イヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
8 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) +7秒
9 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) +8秒
10 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・マクラーレン) +1分40秒

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