バイクインプレッション2020合理的な速さとユーザビリティを追求 キャニオン新型「エアロード」

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 3代目にフルモデルチェンジを果たしたキャニオン「エアロード」のインプレッションをお届けする。目に見える数値だけでなく、ユーザビリティを追求した注目の新作をじっくり走り込んでレビューした。

3代目となるキャニオン「エアロード」 Photo: Masami SATOU

複雑かつスマートなコックピット周り

 エアロードは2014年にデビューしたキャニオンのエアロロードで、空気抵抗を削減する形状を持ちつつ、オールラウンダーな走りを発揮することで人気を博してきたモデルだ。これまでに、ディスクブレーキ搭載モデルが追加で発表されるなど、ブラッシュアップを果たしながら、長きにわたってラインナップされてきた。

 3代目のエアロードは、持ち前のエアロデザインをさらに追及した。風洞実験施設での開発を経て、空気抵抗は̠̠7.4w削減。ねじれ剛性は14%アップし、重量は170g軽減された。

コラムカットが必要ないクイル式を採用 Photo: Masami SATOU
ワイヤー類を全て内装したスマートなコックピット周り Photo: Masami SATOU

 最も特徴的なのがハンドル周りの構造だ。上ハンドル部が中央付近から分離できる構造になっており、予め決められた2cm刻みの3つの位置にスライドすることでハンドル幅を調整することが可能に。ステムはクイル式となり、コラムカットをせずにハンドル高を上下できる。内装したワイヤーやケーブル類を引き抜くことなく、乗り手に合うポジションへと調整できるのだ。

内部にリブを設けて剛性を確保 Photo: Shusaku MATSUO
スライドさせてハンドル幅を調整可能に Photo: Shusaku MATSUO

 自由度が高いハンドル形状である一方、剛性や強度が落ちるのではないか。そう考え、上ハンドルから分離してみると、隙間やがたつきの無い優れた精度で製造されていることが分かった。円筒ではなく、リブのように内部を隆起させて、剛性を保つ形状であることも見受けられる。

 実走ではパワーをかけたダンシングやスプリントを試してみたが、柔らかいと感じることは全くなかった。感覚としては“普通の固いカーボンハンドル”という印象である。ライド中に特殊な構造であることは一切感じさせない。

長所を伸ばし、デメリットを解消

 フレームはねじれ剛性が向上したことで、車体のバランスが整っていた。前モデルではやや縦剛性の高さが目立っていたものの、新作では横剛性との調和がとれている。剛性が上がっているが、乗りやすさがグッと増している。ディスクブレーキを装着しつつ、従来のリムモデルと同等のチェーンステー長を実現したことで、鋭い加速も体感できた。

長所を伸ばし、エアロロードのデメリットを解消。合理的な速さを求めて正常進化を果たした Photo: Masami SATOU

 26~28Cの太さをメインとしたタイヤは、横方向の動きに対して、乗り心地の良さと速さを生み出していた。特に下りでは繊細な挙動を起こさず、多少荒れた路面でも切り込んでいける。手になじむエルゴノミックなドロップ部は車体との一体感を高め、意のままにコントロールできる感覚を与えてくれる。振動吸収性を高めたシートポストの効果もあり、トータルで優れたコンフォート性能を発揮していた。

エッジの効いたデザインは更なる空気抵抗の削減を実現した Photo: Masami SATOU

 一方、複雑な内部構造となったことで、ユーザー自身が大掛かりなメンテナンスをするのはほぼ不可能となったと言える。各部のサイズ調整といったライトな工程なら問題ないが、内装するワイヤーケーブル類を引き抜いての作業はおすすめしない。オーバーホールはキャニオンジャパンでも有料で受け付けているほか、積極的にキャニオンのバイクをメンテナンスするプロショップも増えているという。ユーザーになるのであれば、これらを上手に活用できるか検討したいところ。

 新型エアロードは、これまでの長所を伸ばし、エアロロードであるが故のデメリットを払拭して正常進化を果たしていた。凝ったギミックが目を引くが、全ては合理的なユーザビリティとスピードへと繋がっていたのである。

■キャニオン「エアロードCFR Disc 9 Di2」

税抜価格:809,000円
コンポーネント:シマノ デュラエースDi2
(デュラエースパワーメーター付き)

松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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