自分で安全に組み立てできる?キャニオンジャパンの京都オフィスに潜入!新型「エアロード」のギミックを大解剖

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 キャニオンの「エアロード」がいよいよ6年振りにフルモデルチェンジして登場した。ハンドル周りには特殊かつ、ユーザビリティに優れたギミックを多数採用した新時代のプロダクトだ。今回、キャニオンジャパンの京都オフィスに潜入。刷新された新型エアロードを解剖し、細部の造りを確かめた。

実用性に富んだ独自機構

 各メーカーがエアロロードをラインナップに取り入れ始めて間もない2014年、キャニオンは初代エアロードをデビューさせた。その後6年という間も大きなモデルチェンジをせず、これまでモビスター チームやアルペシン・フェニックスなどのチームがビッグレースで結果を残してきたことから、その完成度の高さが伺える。

6年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたキャニオン「エアロード」 Photo: Shusaku MATSUO

 キャニオンはユーザー直販のスタイルを貫いており、他メーカーと比べると同じグレードのモデルで群を抜いてコストパフォーマンスに優れている。しかし、“安かろう悪かろう”ではない。1985年から操業を開始したアーノルド兄弟の「レース機材をより安価に」という思いが販売様式と価格に反映されている。質実剛健な自動車メーカーを生んだドイツのブランドらしく、エンジニアリングに多大な情熱を注いでおり、今回の新エアロードも4年の開発期間を経て生み出された自信作だ。

ケーブル類は全てハンドル、フレーム内に収まったフル内装式。フレーム形状も見直され、空気抵抗を前モデルから7.4W削減した Photo: Shusaku MATSUO
チェーンステーやシートステーはボリュームアップ Photo: Shusaku MATSUO

 風洞実験を経てデザインされたエアロ形状は、前モデルから空気抵抗を7.4W削減し、ねじれ剛性は14%アップ、そして全体で140gの軽量化を果たした。しかし、数字上のスペックだけでない進化がフレームには隠されている。

ハンドルは上部で分割する仕組みで、幅を3種類から選択できる Photo: Shusaku MATSUO

 最も特徴的なのは上ハンドル部中央付近から分かれる特殊構造のハンドルだ。これはスライドすることで予め20mmごとに定められた3つのハンドル幅(XSサイズは370mm、390mm、410mm)のうち、ユーザーに最適な幅を選択することが可能なのだ。

ハンドル幅が370、390、410mmから選択が可能 Photo: Shusaku MATSUO
ハンドルは下部からボルト2本で固定する Photo: Shusaku MATSUO
握りやすさを優先したエルゴノミックなデザインを採用 Photo: Shusaku MATSUO

 通常、ケーブル類がフル内装されたフレームでハンドル交換をするとなると、全てのケーブルを一度引き抜かなければならず手間がかかる。しかし、新機構では裏側のボルトを2本脱着するだけで変更が可能。ワイヤーテンションの調整が必要ない、油圧ディスクブレーキ専用バイクだからこそできるデザインだ。

 ハンドル部には力がかかるので強度面が心配だが、ボルト1本の固定でも十分な剛性になるよう強度計算が行われているという。

エルゴノミックなハンドル形状に対応するオリジナルのSTI固定バンド Photo: Shusaku MATSUO

 ハンドルのドロップ部はエルゴノミックデザインになっており、下側が楕円形に、中央部が絞られ、握りこみやすい形状に設計された。ここまで凹凸のある形状だとSTIレバーを取り付けるクランプパーツが装着できないので、キャニオンは専用のスモールパーツを制作。ヒンジが付いたオープンタイプになっているほか、薄くなっている一部の個所からしかパーツがハンドルに通らない形状となっている。何らかのトラブルでヒンジが緩んでもSTIが脱落しないための設計だ。

 「クイル式」のステムをご存じだろうか。スチールフレーム世代ならお馴染みだが、ステム側にコラムが設けられることで、ハンドルの高さを比較的簡単に、そしてコラムをカットをせずに上下して調整できる機構だ。新エアロードにはこのクイル式がフルカーボンステムに用いられているのだ。

コラムを切らずにハンドル高を調整可能なクイル式を採用 Photo: Shusaku MATSUO

 調整幅は15㎜で、ステム下のスペーサーの有無で高さを決める。スペーサーには“割り”が入っており、横から引き抜ける仕組みだ。もちろん、ハンドルとステム内を通るワイヤー類は取り外すことなく、そのまま作業が可能。コラムをカットする必要が無いため、スマートかつ機能的に最適なポジションを実現することができる。

 ボリュームアップしたシートポストにもギミックが隠されている。実は後部はカウルとしてのみ機能しており、シートを固定する箇所は細身の下部のみ。そして、固定部(=支点)を下に配置することで、積極的にシートポストをしならせ、振動吸収性を高めている。エアロ性能と乗り心地を両立した仕組みを実現したのだ。

より太くなったシートポストは、振動吸収性を考慮した造りに Photo: Shusaku MATSUO
2重構造になっており、前部が固定として、後部がエアロ効果を高めるカウルとしての機能を担う Photo: Shusaku MATSUO

問い合わせは京都オフィスで対応

 新エアロードをはじめとするキャニオンのバイクは、専用の段ボールに詰められた状態で本国ドイツから直送される。中には組み立てるために必要な工具、クイックスタートガイドが同梱。ユーザー自らの手で簡単かつ安全に組付けできる一式が入っている。

メカスペースとオフィススペースが設けられたキャニオンジャパン社内 Photo: Shusaku MATSUO

 しかし、複雑な構造のため、内装するワイヤーケーブル類の交換や、オーバーホールといった大掛かりな作業はユーザー自身がなかなかできるものではない。(複雑な内部構造ながら、段ボールから開封後にユーザーの手で組み立てまで完了できるシンプルな仕組みにした点は素晴らしいが)。

メールや電話での問い合わせも京都オフィスで対応している Photo: Shusaku MATSUO

 そこで、キャニオンジャパンでは保証内の点検や、オーバーホールを有料で実施している。車体やサービスに関する質問はメールの他、京都オフィスで電話対応するなど、アフターサービスは手厚い。

 スモールパーツのストックも一部日本国内で確保しており、緊急性の高いディレーラーハンガーの在庫も豊富だ。ドイツへ注文するより安価で、より早くユーザーへと届けることができる。

国内ユーザーにより早く、より安価にスモールパーツを届けられるよう、一部ストックも完備 Photo: Shusaku MATSUO
保証内の初回点検やオーバーホールといった作業も行われている Photo: Shusaku MATSUO

 代理店やショップを挟まない販売形式のため、一部の店舗からは敬遠されてきたキャニオンだが、積極的にメンテナンスを受け入れる店舗も全国的に増えてきているという。

 ドイツらしい堅実かつ斬新な製品開発と、ユーザー直販という先進的なサービスを提供するキャニオンは、新エアロードの登場を機にさらにユーザーへ向けて存在感を示していくだろう。

新「エアロード」登場を機にますます存在感を示すキャニオン Photo: Shusaku MATSUO

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