過去50年で最年少の金星本命不在で混戦のフレーシュ・ワロンヌ、22歳ヒルシが激坂バトルを制して初優勝

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 2020年シーズンのアルデンヌクラシック「初戦」となる、ベルギー南部のアルデンヌ地方の丘陵地帯を舞台に「フレーシュ・ワロンヌ」が9月30日に開催された。フィニッシュには最大勾配26%の激坂「ユイの壁」が待ち受けるレースを、22歳のマルク・ヒルシ(スイス、チーム サンウェブ)が初優勝を飾った。

激坂バトルを制したマルク・ヒルシ ©ASO / Gautier Demouveaux

変則日程によるアルデンヌクラシック開幕戦

 例年であれば4月下旬に開催されるアルデンヌクラシックは、通常アムステルゴールドレース、フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ~バストーニュ~リエージュという順で行われるのだが、今年は9月末の開催となり、さらにフレーシュ・ワロンヌが初戦という順番になった。さらにツール・ド・フランス、世界選手権を終えて、週末に開幕するジロ・デ・イタリアやリエージュ~バストーニュ~リエージュの合間に開催されたこともあって、歴代優勝者が一人も参加せず、その他の有力選手も出場回避が相次ぎ、本命不在のレースとなった。

 コースはエルヴからユイへの202kmで争われ、終盤はユイの壁を含む周回コースを3周走る。ユイの壁の9km手前にはコート・デュ・シュマン(登坂距離1.8km・平均勾配6.5%)が初登場。レース終盤のアップダウンを経て、最後はユイの壁で勝負が決まる展開が例年のパターンだ。

 レースはスタート直後に4人の逃げが決まった。メンバーはマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、アーロン・ファンプック(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)、マティス・パーシェンス(オランダ、ビンゴール・ワロニーブリュッセル)、マリオン・ガイヤール(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)で、最大9分程度で逃げていった。

ユイの壁を上る4人の逃げ集団 ©ASO / Gautier Demouveaux

 メイン集団はUAE・チームエミレーツ、イネオス・グレナディアーズ、チーム サンウェブが中心にけん引。レース後半に差し掛かる頃には逃げ集団とのタイム差を5分程度に縮めていた。

 すると、残り80km地点付近でメイン集団から複数人が飛び出す動きを見せる。アタック合戦のような活発の動きの末、イーデ・シェリング(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)とアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、CCCチーム)の2人が追走グループを形成。しばらくは先頭4人を追走2人が追い、後方にメイン集団が控える形でレースが進行した。

好調を維持しているヒルシがユイの壁を制す

 再びレースが動き始めたのは、残り32km地点付近。2回目のユイの壁に入ると、先頭からファンプック、ガイヤールが脱落。追走からシェリングが脱落。そして、メイン集団からはUAEを中心に集団から飛び出す動きが見られるなど、徐々に活性化してきた。

 残り20km地点、コート・デレッフェの上りで先頭のファンセヴェナントがパーセンスを千切って独走開始。後続の集団とは1分程度の差を保って逃げを続行した。

序盤から積極的にレースをコントロールするも結果が実らなかったUAE・チームエミレーツ ©ASO / Gautier Demouveaux

 同じ上りで再びUAEが動いて、ポルトガルチャンピオンのルイ・コスタがアタックするも、すぐに吸収。続くコート・デュ・シュマンの上りに入ると、リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング)がアタックして、集団から飛び出した。

 依然として先頭はファンセヴェナントが独走。ウランが20秒程度後方に迫るなか、ファンセヴェナントはコート・デュ・シュマンからのダウンヒル中にコースアウトして草むらに落車してしまった。すぐに再スタートを切るも、ウランに追いつかれてしまう。それでも、ウランとローテーションしながら最後の粘りを見せ、ユイの壁の麓に到達したところで、2人は集団に吸収された。

 上りに先頭で入ったのはUAE。続いてイネオスが先頭でペースを刻んでいった。勾配が厳しくなる区間を前に激しいポジションが繰り広げられるなか、残り400mを切って先頭に出たのはリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)。

 集団を千切るようなペースではなく、ハイペースなマイペース走行で先頭をキープするポート。その後ろにはヒルシ、ブノワ・コヌフロワ(フランス、アージェードゥゼール ラモンディアール)、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)、そしてマイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)と続いていた。

 残り200mを切ったところで、大外からウッズが加速。ヒルシ、コヌフロワはウッズの背後にピタリと付いていく。
 
 そしてフィニッシュまで残り100mのところでヒルシが上体を激しく揺らしながらアタック。コヌフロワを振り切って、残り50mでウッズと横並びになると、その勢いを保ったまま壁の頂上に先着し、初優勝を飾った。

表彰台に上るマルク・ヒルシ(中央)、2位ブノワ・コヌフロワ(左)、3位マイケル・ウッズ(右) ©ASO / Gautier Demouveaux

 ヒルシは大会史上3番目の若さで勝利した選手となり、直近50年に絞ってみると最年少王者となった。スイス人としては1952年のフェルディナンド・キュブラー以来2人目となる優勝となった。ツール・ド・フランスでは区間勝利と総合敢闘賞を獲得し、世界選手権では銅メダルを獲得と、22歳の若者の勢いが止まらない。

女子レースはファンデルブレッヘンが6連覇

 また男子レースに先立ち、女子レースが開催された。ユイの壁を含む周回コースを2回こなす124kmで争われ、先日世界選手権でロード&個人タイムトライアルの二冠に輝いたアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス)が前人未到の大会6連覇を飾った。

6連覇を飾ったアンナ・ファンデルブレッヘン ©ASO / Thomas Maheux

 ファンデルブレッヘンは厳しいマークを受けているにもかかわらず、ユイの壁の勾配が厳しくなる残り800m付近から先頭で上り続けていた。途中、デミ・フォレリング(オランダ、パークホテル・ファルケンブルグ)が前に出るも、ファンデルブレッヘンは残り200mでラストスパートを開始。フォレリングを突き放すと、セシリーウトラップ・ルドウィグ(デンマーク、エフデジ・ヌーヴィルアキテーヌ・フュチュロスコープ)の追撃を振り切って勝利を決めた。

 また、日本勢として唯一参戦した與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ)は先頭から7分10秒遅れの50位で完走した。

フレーシュ・ワロンヌ結果
1 マルク・ヒルシ(スイス、チーム サンウェブ) 4時間49分17秒
2 ブノワ・コヌフロワ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +0秒
3 マイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)
4 ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)
5 ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)
6 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)
7 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +5秒
8 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)
9 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)
10 シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム) +10秒

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