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浅野真則の使ってよかった自転車アイテムワフー「エレメントボルト」はすべてがちょうどいい エアロで軽量な地図付きナビのGPSサイコン

by 浅野真則 / Masanori ASANO
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 様々なブランドが様々な機種を展開し、群雄割拠の様相を呈するGPSサイクルコンピューター。デジタルデバイス好きでこれまで様々なGPSサイクルコンピューターを試してきた自転車ライター浅野は、長年ガーミン党でしたが、2年ほど前からwahoo(ワフー)の「ELEMENT BOLT」(エレメントボルト)を愛用しています。なぜ乗り換えたのか? 使い勝手はどうか? などおすすめのポイントを紹介します。

ワフーのGPSサイクルコンピューター「エレメントボルト」。写真のモデルは限定カラーのブルー Photo: Masanori ASANO

画面サイズと自分に合った機能探しがサイコン選びのキモ

 一度使うと、その便利さからサイクルライフの必需品になると言っても過言ではないGPSサイクルコンピューター。機能も価格も様々なものがありますが、大まかな傾向としては多機能になるほど、ディスプレイが大きくなるほど価格が上がります。

 機能については、多機能になるとつい表示項目を増やしたくなり、画面がゴチャゴチャしたり表示項目が小さくなって見にくくなることが考えられます。特に老眼が気になるお年ごろ(幸い僕はまだ症状が出ていませんが…)のサイクリストには重要な問題です。なので、一概に「多機能であること=いいサイクルコンピューター」とは言い切れません。

 ではディスプレイが大きければ万事解決ではないか、と考える方もいらっしゃるでしょう。ところが、ディスプレイが大きくなると本体のサイズも大きくなり、重量が増える傾向にあります。また、バイクのハンドルまわりでサイクルコンピューターの存在感が大きくなるので、特にロードバイクの場合、スッキリとした外観を損ないがちです。最近のエアロロードのようなケーブルをフル内装するタイプのバイクだと、なおさらサイクルコンピューターの存在感が際立ってしまいます。

 ディスプレイの表示項目を見やすくするひとつのアプローチとして、カラー表示対応のディスプレイを選ぶことも考えられます。特にナビゲーションで地図を表示できる場合は、カラー表示の方が圧倒的に見やすいです。逆にトレーニングやレース中に表示するようなスピードやケイデンス、パワーなどの数値は、モノクロでも全く問題ありません。

 というわけで、サイクルコンピューターを選ぶときは、機能が自分の使い方に合っているか、画面サイズがちょうどいいかどうかが大きな選択基準になります。

 前置きが長くなりましたが、僕がガーミンからワフーのエレメントボルトに乗り換えたのは、画面サイズと機能が自分にちょうどいいと感じたからです。

ペダリングモニターのベクトル表示に対応、地図上にナビ表示も

 僕がサイクルコンピューターに求めるのは、パワーメーターと連携でき、トレーニングに必要な項目が過不足なく表示可能で画面が見やすく、あとはサイクリングの実走取材で知らないところを走るときに地図付きのナビが使えること。バッテリーもできれば15時間程度持てばうれしいし、重量も軽いに超したことはない―とかなり欲張りかもしれません。

 エレメントボルトは、モノクロではありますが、ナビゲーション機能で地図上にルートが表示されるのは魅力でした。さらに重量も当時使っていたエッジ520より軽く、バッテリーの稼働時間も最大15時間とエッジ520より長く、さらにマウントと本体が一体化するエアロ形状であることが購入の決め手になりました。

 また、僕は3台のロードバイクでローターのパワーメーター(2インパワー&インパワー)とパイオニアのペダリングモニターを併用しているのですが、2年ほど前にワフーのエレメントとエレメントボルトがペダリングモニターのベクトル表示にサードパーティー製のサイクルコンピューターとして初めて対応することが決まったことも購入の後押しになりました。

パイオニア純正のサイクルコンピューター以外で唯一、パイオニアペダリングモニターと連携してペダリングのトルクの大きさとトルクがかかる向きを矢印の長さと向きで表示することができる Photo: Masanori ASANO

ルートナビは地図上に表示される。「今どの道を進んでいるか」「どのぐらい進んだら交差点を曲がるのか」「この先のルートはどうなっているか」が視覚的に分かるのがうれしい Photo: Masanori ASANO

空気抵抗を考慮したマウントと本体

 レース目線でもガーミンから乗り換えたいと思わせる魅力がいくつもあります。

 最大の魅力のひとつは、専用のアウトフロントマウント(ハンドル前方にサイクルコンピューターを装着できるマウント)に装着したときにサイクルコンピューターとマウントが一体になるエアロなデザインを実現していることです。

エレメントボルトを専用のアウトフロントマウントに装着した状態。先端部が風を切り裂くような形状で底面に突起のないエアロ形状なので、空気抵抗の削減が期待できる Photo: Masanori ASANO

 さらにサイクルコンピューターの前方の幅が後方より狭くなっていて、先端部は横から見ると少し尖っていて、サイクルコンピューター自体も風を切る形状になっているのが分かります。

エレメントボルトを真上から見ると前方に来る先端部の幅が細くなっていることが分かる。これも空気抵抗を削減するための形だ。本体上部のLEDはパワーや心拍数と連動させて点灯させることができ、運動強度によってLEDの点灯する数や色が変わる Photo: Masanori ASANO

 ハンドル周辺は、バイクの中でも空気抵抗を受けやすく、エアロ化の恩恵を受けやすい個所です。TTバイクやエアロロード、最近ではレーシングバイクの多くがブレーキケーブルや変速ケーブルを内装するのは、ケーブルによって発生する空気抵抗が見た目以上に大きく、それを少しでも減らしたいからです。ハンドル周辺にサイクルコンピューターを付けると空気抵抗が増えてしまいますが、エレメントボルトなら小さくてエアロな形状で、かつハンドルが真後ろに隠れる位置に設置できるので、空気抵抗増も最小限に抑えられるはずです。

 実際にワフーではCFD(数値流体力学)試験の結果、「40kmのタイムトライアルを時速21マイル(時速およそ33.8km)で走った際に他社の製品と比べて12秒短縮できる」とうたっています。これは同じスピードで走る場合により少ない出力で走れ、同じ出力ならより速く走れることを意味します。実際にレースの平均速度はこれより高くなることも少なくないので、そうすると実験以上の効果が得られることになるはずです。さすがに明らかに体感できるほどの効果があるわけではありませんが、こうした小さな積み重ねがレースの世界では勝負を分けることもあり得ると考えると見逃せません。

小型、軽量、高精細、操作もストレスなし

 小型で軽いのも魅力のひとつです。レース用の自転車はUCI規定準拠の車重制限があるレースでもない限り、なるべく軽い方が上りでは有利です。特にヒルクライムに情熱を燃やすような方なら、大金を使って軽量パーツを購入することもあるかと思いますが、サイクルコンピューターだって軽い方がいいはずです。

 では、小さくて軽ければいいのか、というと必ずしもそうとは言えません。サイクルコンピューターは、いわば自転車のメーターなのですから、表示内容が見やすいという視認性も重要です。その点、エレメントボルトは2.2インチのモノクロディスプレイを採用し、高精細で小さい文字も見やすく、高速走行中でも必要十分な高い視認性を誇ります。重量も60g(カタログ数値)と軽いです。

 さらにエレメントシリーズでは、「表示項目のズーム」という機能があります。これは本体右側のボタンを押すと同じページの中でディスプレイに表示される項目を増やしたり減らしたりすることができる機能です。例えばレースやトレーニングのときに必要な項目を絞って集中したい、というような場合に有効です。

 なお、表示項目を絞っていったときに優先的に表示されるのはページの最上段にある項目です。例えば、普段は5項目表示していて、3項目に絞ったときにラップタイムとパワー、ラップ数を表示したければ、最上段からそのように表示できるようにあらかじめページをレイアウトしておく必要があるので注意が必要です。

 ちなみに、ページのレイアウト変更は、スマホのアプリを使って簡単にできるので、その点もストレスが少ないです。

本体の設定はスマートフォンとペアリングして専用アプリ上から行う。各ページの表示項目数や表示内容、表示の順番の入れ替えなども容易にできる Photo: Masanori ASANO

 トレーニングに集中するのによいと言えば、本体上部のLEDも忘れてはいけません。このLEDはパワーや心拍などと連携させて点灯させることができ、例えばパワーなら各自のFTP(有酸素能力の限界を示すパワー)をあらかじめ入力しておけば、強度に連動してLEDの点灯数や色が変わります。つまり、パワートレーニングの際に目標の強度で走れているかをLEDの点灯数や色で瞬時に判断することができるのです。もちろん点灯させないことも可能なので、レース中に相手に自分の手の内をさらけ出すこともありません。

 もうひとつ、使ってみて分かった素晴らしいポイントは、ボタンの配置と操作感の良さです。タイマーのスタートやラップの記録といった走行中に操作するボタンは本体の正面の手前側に3つ並んでいます。表示項目やナビゲーション画面の地図のズームを行うボタンは本体の右横に配置されています。いずれもフルフィンガーグローブを着けたままでも押しやすいです。また、ボタンを押したときにクリック感があるので確実に操作できたことが指先から分かるのも、ストレスがなくて素晴らしいと感じました。

本体正面の手前側には3つのボタンがある。タイマーのスタートやラップタイムの記録などに使う。一つひとつのボタンが大きく、押したときにクリック感もあるので、フルフィンガーグローブ装着時でも確実に操作できる Photo: Masanori ASANO

本体右側面には2つのボタンがある。サイクルコンピューターの表示項目のズームイン/ズームアウトを行ったり、センサーのペアリング時にカーソルを移動させたりするのに使う Photo: Masanori ASANO

ガーミンの牙城を崩すGPSサイクルコンピューター

 ライバルはガーミンのエッジ500シリーズということになるでしょう。最新モデルのエッジ530と比べて、どちらがよいかは人それぞれだと思います。単純に機能の数を比較すると、ガーミンの方が多機能ではありますし、カラー液晶も備えています。多機能であることやカラー液晶であることが重要ならガーミンを選ぶのがいいでしょう。

 しかし、エレメントボルトでもパワートレーニングやレースで使う必要最低限以上の機能は備わっています。重量はエレメントボルトの方がエッジ530より10g以上軽く、価格も1万円ほど安いです。

 さらに、エレメントボルトにしかない良さもあります。例えば、パイオニアのペダリングモニターと接続してベクトル表示ができること、マウントを含めたエアロ形状で空気抵抗の削減ができること、設定がスマートフォンから簡単にできることなどです。そこに魅力を感じられるなら、個人的にはエレメントボルトをおすすめします。

浅野真則(あさの・まさのり)

自転車ライターとして活動する傍ら、Jエリートツアーやホビーレースに参戦したりロングライドを楽しんだりする根っからの自転車好き。楕円チェーンリングやビッグプーリーなど気になったものは試さずにいられないタイプ。試してみたいアイテムや自転車は多いが、身体がひとつしかないのが悩み。

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