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三船雅彦の「#道との遭遇」<9>超級山岳・麦草峠 メルヘン街道を西から上るか?東から上るか?

by 三船雅彦 / Masahiko MIFUNE
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 長距離のエキスパートでプロサイクリストの三船雅彦さんが、全国の道を普通と違った走り方で紹介する連載「#道との遭遇」。今回のテーマは長野県にある「麦草峠」です。国道では全国で2番目の標高を誇る峠ですが、三船さんにとってはブルベにおける“超級山岳”としておなじみのスポットです。

今回中部の1000kmブルべではラスト230kmから麦草峠へと向かう。なるべく最低気温の時間帯には下らないように時間調整して頂上へ Photo: Masahiko MIFUNE

超級山岳への憧れ

 開催が危ぶまれたツールドフランスも劇的な勝利で幕を閉じた。若いポガチャルの活躍は見ていてすがすがしい気持ちになった人も多いだろう。そしてグランツールの魅力でもあるのがカテゴリー超級の上りではないだろうか。

 長く、時には急勾配の、標高の高い上りを信じがたいスピードで駆け上がっていく。グランツールで勝つためにはタイムトライアルの能力もだが、山岳コースを無難にこなせるだけの登坂力が必要だ。まるでモーターでも仕込まれているような軽快な走りは、一般的なサイクリストからは想像もつかない。それは憧れなのか嫉妬なのか、すべてのサイクリストの目指すところなのかもしれない。

 上りが遅い、上りが嫌い、というサイクリストでも、標高の高い天空の景色への憧れはあるだろう。ゆっくりでも上ってさえいれば、いつかその頂へと辿り着く。そして頂上に辿り着けば誰もが達成感に包まれるに違いない。

標高が100m上がるごとに看板で確認できる。これが励みになるのか、はたまたやる気を削がれるのはその人次第か・・・ Photo: Masahiko MIFUNE

日本にもある“超級”

 日本でもツールに匹敵するようなカテゴリー超級の上りはあちこちにある。富士山や乗鞍などはツールにも勝るとも劣らないものだ。標高2000mを超えるような上りになると、実は天候であったり日本の場合は火山の影響で通行止めもありうる。例えば草津温泉から渋峠へと向かう道路は、現在白根山の火山活動の影響で自転車通行止めだ。

 比較的天候などの影響を受けず進める2000m級の峠として麦草峠が思いつく。標高2127m。佐久穂と茅野を結ぶ峠で、どちらから上っても1000m以上の標高差のある峠だ。

山の天気は不安定。今まで何度も嵐や雨の中をクリアしてきた。ちなみに雨だぁ!と思ったら実は雲の中に入っただけということも。 Photo: Masahiko MIFUNE
真夜中の麦草峠はまた別の顔だ。ライトがないと曇りの場合だと天地すらわからなくほどに暗い Photo: Masahiko MIFUNE

 この八ヶ岳山麓を走る麦草峠、関西サイクリストには少し縁の少ない峠ではあるが、日本ロマンチック街道の最高地点であり、国道299号線である。渋峠が無料開放されるまでは国道最高地点であった峠だ。

 頂上の駐車場からはハイキングに向かう起点となっていて朝から車は頻繁に上がってくる。標高を稼いでいくとどちらも景色はキレイだが、茅野側の上りは松本盆地が一望できる。この景色を見れば、まさに上ってきた甲斐があるというものだ。

美しい景色がご褒美

 先日走ってきたブルべ「BRM919中部1000」でも後半に麦草峠を上ったのだが、体力を削がれたところから上ることになるのできつさ倍増だ。9月の麦草峠の最低気温は5℃を下回ることも十分ありうる。そのため手前の佐久で仮眠をして、最低気温となる時間帯に上るよう調整。朝7時ごろに頂上に到達した。

 なんと何度となく上った麦草峠だが、実は天気の良い明るい時間に上ったのは今回が初めて。初めて見る松本盆地の景色だったが、盆地全体が雲海に覆われる神秘的な景色だった。

今回松本盆地は雲海に覆われて、高い山だけが雲からそびえたっていた Photo: Masahiko MIFUNE

 ロマンチック街道を走るような長い距離の途中に挟むのもよし、ツールを彷彿させるようなスピードで駆け上がるのもよし。いずれにしても20kmほどにわたる上り、標高2000mを超える麦草峠は、十分に楽しめるだろう。

 あ、1000kmブルべのラスト230kmには十分酷な峠でした・・・。

三船雅彦(Masahiko MIFUNE)

元プロロード選手で元シクロクロス全日本チャンピオン。今でもロード、シクロクロス、ブルべとマルチに走り回る51歳。2019年は3回目の『パリ~ブレスト~パリ』完走を果たす。今年は新型コロナウィルスの影響でイベントがことごとく中止。その腹いせ?に関西圏の道を走り回っている。「知らない道がある限り走り続ける!」が信条。。

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