UCIロード世界選手権2020女子エリート個人タイムトライアルはファンデルブレッヘンが初優勝 與那嶺は31位

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 2020年のロード世界王者を決めるUCIロード世界選手権が9月24日に開幕。イタリア・イモラで4日間の会期で開催される。今大会最初の種目として女子エリート個人タイムトライアルが行われ、アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス)がトップタイムをマークし、この種目で初優勝。ロードレースとの2冠に向け、まずは1つ目のタイトルを獲得した。日本からは與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ)が出場。31位で終えている。

UCIロード世界選手権2020・女子エリート個人タイムトライアル。アンナ・ファンデルブレッヘンがこの種目初優勝。ロードとの2冠へ向けて最高のスタートを切った Photo: Yuzuru SUNADA

22日間での準備で迎える世界一決定戦

 今年のロード世界選手権は当初、スイスのエグル・マルティニーで9月20日から27日までの日程で行われる予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大によって開催が白紙に。同国が定める現状のイベント実施規模とマッチせず、今年の開催返上を余儀なくされた。

今回の主会場であるイモラ・サーキット ©︎ Isolapress

 その後開催の可否も含めて調整が行われ、9月2日に代替開催地としてイタリア・イモラが選出。イタリアとフランスの複数都市が受け入れに名乗りを挙げたが、その中でも運営ビジョンがもっとも明確だった同地をUCIがセレクトした。現在イタリア政府が設けている入国制限を勘案し、今回は男女エリートカテゴリーのみを採用することに決定し、会期も9月24日から27日までの4日間に短縮された。

 なお、イモラでのロード世界選手権開催は1968年以来2回目。会期中は各日1種目ずつのレース実施。まずは、女子エリート個人タイムトライアルで大会がスタートする。

高速レースをモノにしてまずは“1冠”

 個人タイムトライアルのコースは、男女共通の31.7km。モータースポーツでおなじみのイモラ・サーキットを発着とするルートは、平坦基調で獲得標高も200m。最後の5kmで小さな上りがあるものの、そこで勢いが押さえられるほどの難易度のものではない。長い直線がいくつもあり、タイムトライアルスペシャリスト向きにセッティングされた。

 51選手が出走の女子エリート。1分30秒おきにコースへと繰り出していった。まず基準タイムとなったのが、9番出走のエマセシリー・ノールゴー(デンマーク、エキップ ポーレ・カ)がマークした41分42秒26。中間地点に設けられた途中計測でノールゴーを上回る選手が数人出たものの、後半にペースを落としフィニッシュではトップに立てない状況が続く。

 その状況を変えたのは、33番出走のグレース・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)。中間計測でトップタイムを出すと、後半も好ペースを刻みフィニッシュでも一番時計。ついに均衡が破られた。

3位となったエレン・ファンダイク Photo: Yuzuru SUNADA

 ただやはり、後半スタートの選手たちに実力者が多くそろうこともあり、好タイムが次々と記録される。2013年にこの種目の女王となったエレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)は中間計測こそブラウンを下回ったが、終始スピードを維持。フィニッシュでは29秒上回って、このレース最初の40分台に引き上げる。

 そして最後の4人になると、その水準がさらにアップ。2014年の勝者であるリサ・ブレナウアー(ドイツ、セラティツィット・WNT)が中間計測でトップに立つと、続いてやってきたマーレン・ローセル(スイス、エキップ ポーレ・カ)がそれを27秒更新。次のファンデルブレッヘンはローセルから9秒遅れでの通過となるが、昨年の覇者で最終走者のクロエ・ダイガート(アメリカ。Twenty20)はローセルを26秒上回り、この時点で全体のトップに立った。

 前半の圧倒的なペースで2連覇へ向けて視界良好かと見られたダイガートだったが、コース後半に入ってまさかのアクシデント。ハイスピードで入った右カーブでタイヤを滑らせ、ガードレールを乗り越えてコースアウト。これによってリタイアを余儀なくされた。

2位のマーレン・ローセル Photo: Yuzuru SUNADA

 ブレナウアーが後半に入ってペースが上がらなかったこともあり、マイヨアルカンシエルをかけた争いはローセルとファンデルブレッヘンに絞られた。先にスタートしていたローセルがフィニッシュへとやってくると、ファンダイクのタイムを16秒更新。あとは、ファンデルブレッヘンの結果を待つだけに。

 そのファンデルブレッヘンは、後半にかけてペースアップに成功。最後までその勢いは衰えず、フィニッシュライン通過タイムは40分20秒14。ローセルを15秒上回って、この種目での初優勝を決めた。

 過去5年で4回2位となっていた個人タイムトライアルで、悲願の女王戴冠。ロードレースでも2年ぶりのマイヨアルカンシエルが期待されているが、今大会での2冠に向けてまずは“1冠”を達成。レース後の記者会見では、「ついにこの種目で勝つことができて本当にクレイジーな気分」とコメント。ちなみに、今回のアベレージスピードは47.16km。2位から4位までも46km台と予想通りの高速レースになった。

女子エリート個人タイムトライアルの表彰。左から2位マーレン・ローセル、1位アンナ・ファンデルブレッヘン、3位エレン・ファンダイク Photo: Yuzuru SUNADA

與那嶺「ロードレースに向けてよい刺激に」

 日本勢としては唯一の出場となった與那嶺は、4分8秒差の31位。このレースに関しては、「プロトン内で自分がどの程度の位置にいるのかを知ること」がテーマだったといい、2日後に控えるロードレースに向けて刺激になったと表情は明るかった。

 シーズンが中断するなどイレギュラーな中でも大きな目標に据え続けてきたロード世界選手権。高地トレーニングを通じてフィジカル面の強化を図ったうえで今回に臨んでいる。「試走してみたらロードのコースが思っていたよりハードだった」と印象を口にしたが、この大会後もチームの主力として出場するレースが控えているといい、残るシーズンにもつなげるべくメインであるロードレースへ果敢に挑む心積もりだ。

31位で個人タイムトライアルを終えた與那嶺恵理 Photo: Yuzuru SUNADA

女子エリート個人タイムトライアル 結果
1 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス) 40分20秒
2 マーレン・ローセル(スイス、エキップ ポーレ・カ) +15秒
3 エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード) +31秒
4 リサ・ブレナウアー(ドイツ、セラティツィット・WNT) +45秒
5 グレース・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +1分1秒
6 アンバー・ネーベン(アメリカ、コギア・メトラー プロサイクリング) +1分20秒
7 エマセシリー・ノールゴー(デンマーク、エキップ ポーレ・カ) +1分22秒
8 ミーケ・クルーガー(ドイツ、ハイテックプロダクツ) +1分31秒
9 ローレン・ステフェンス(アメリカ、チーム ティブコ・SVB) +1分43秒
10 ヴィットリア・ブッシ(イタリア) +1分46秒
31 與那嶺恵理(アレ・BTCリュブリャナ) +4分8秒

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