ツール・ド・フランス2020 第19ステージクラーウアナスンのアタック再び、終盤独走で今大会2勝目 個人総合は変動なし

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・フランス2020は現地時間9月18日に第19ステージを実施。166.5kmのレースは、後半に抜け出した選手たちによる優勝争いへ。残り16kmで単独アタックを成功させたセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チーム サンウェブ)がフィニッシュまでを独走し、第14ステージに続く今大会2勝目を挙げた。また、個人総合争いでの変動はなし。プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がマイヨジョーヌを守っている。

ツール・ド・フランス2020第19ステージ、最後の16kmを独走したセーアン・クラーウアナスンが今大会2勝目となる逃げ切り勝利を挙げた Photo: Yuzuru SUNADA

時速50km超えのカヴァニャの独走

 アルプス山脈での激闘を終えたプロトンは、久々の平坦ステージに臨む。中盤に待つ4級山岳をきっかけに細かなアップダウンが連続するが、極端な変化はないレイアウトから、大方の予想はスプリンター有利の1日。スピードマンの多くが大会中盤以降、このステージをターゲットの1つに据えていることもあり、フィニッシュに向かっての激しいバトルが期待された。

1人逃げとなったレミ・カヴァニャ Photo: Yuzuru SUNADA

 ブールカン=ブレスをスタートすると、レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が追い風に乗って1人飛ばす。いくつか追走を狙った動きも見られたが、スピードに乗ったカヴァニャまでは届かず、集団へと戻る判断をする。後ろを待たず逃げを決めたカヴァニャは、最初の1時間で51kmを走破した。

 主にボーラ・ハンスグローエがコントロールを担うメイン集団もペースを緩めず進む。しばし2分台でタイム差を推移させていたが、中間地点を通過する時点で1分55秒差へ。その後も着々とその差を縮めていった。

レース中盤からペースを上げたメイン集団 ©︎ A.S.O./Pauline Ballet

 フィニッシュまでの残り距離が50kmとなる頃には、メイン集団からカヴァニャの背中が見え始める。それを始まりの合図に、ブノワ・コヌフロワ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)、ルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がアタック。時間を要することなくカヴァニャに追いつく。それからも次から次へと選手がメイン集団から飛び出し、一時的に14人が先行する状態が生まれた。

 この間に中間スプリントポイントを迎えており、1人逃げ続けたカヴァニャがトップ通過。ポイント賞を狙う選手たちはメイン集団内での争いとなり、マイヨヴェールを着るサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)が全体の5位通過。直後に続いたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)の動きをチェックしながらの余裕のポイント獲得となった。

クラーウアナスンが最後の16kmを独走

 14人まで膨らんだパックは集団へと戻されることとなったが、残り30kmとなったタイミングでクラーウアナスンら7人が抜け出すことに成功。ここにベネット、サガン、マッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム)のポイント賞上位3人がジョイン。さらに後方からの合流もあり、今度は12人の先頭グループが形成された。

 スプリンターらステージ優勝候補がそろったことや、いずれの選手も個人総合争いに関係しないこともあり、メイン集団は先頭12人にゴーサインを出す格好に。前方へ乗り遅れたチームがメイン集団の牽引を行ったが、スピードの差は歴然。開く一方のタイム差に、追走を諦めざるを得なかった。

一発のアタックで独走に持ち込んだセーアン・クラーウアナスン Photo: Yuzuru SUNADA

 逃げ切りが濃厚になった先頭グループは、しばし先頭交代のローテーションが繰り返されていたが、残り16kmで決定打が生まれる。小さな丘越えでスピードが緩んだ一瞬を見逃さなかったクラーウアナスンがアタック。他選手の反応がなかったこともあり、あっという間に独走態勢へと持ち込む。

 なかなか追撃ムードが高まらない後続を尻目に、残り距離を快調に飛ばしたクラーウアナスン。まったく疲れを感じさせることなく、最後の直線までやってきた。

 今大会は第14ステージでも混戦の中からアタックを決めて独走勝利を挙げていたが、2勝目も同様に1人でフィニッシュへ。最後はきっちり2つ目の勝利であることをアピールしてのウイニングポーズとなった。

会心の逃げ切りに力がこもる Photo: Yuzuru SUNADA

ログリッチ「山岳タイムトライアルに全精力を注ぐ」

 チーム、そして自身の好調さを印象付ける再度の逃げ切り。フィニッシュ前1kmでは並走するテレビカメラに向かって歓喜の叫び声をあげたが、「本当に言葉にならなくて、あのようにしか喜びを表現できなかったんだ」と素直に語る。12人で逃げている間を振り返って、「あれだけのメンバーで、どのようにしたら勝てるのか想像がつかなかった。まずは人数を絞り込むことからだと思ってアタックしたら、そのまま勝利へとつながった」と説明。「このツールのことは一生忘れることはないと思う」と最後まで笑顔で取材陣の質問に応じた。

レース終盤に形成された先頭グループにはスプリンターも複数乗り込んだ ©︎ A.S.O./Pauline Ballet

 予想を覆して逃げ切りとなったレースだが、ポイント賞を争う3人はクラーウアナスンのアタックまではステージ優勝争いに加わった。残り2kmからステージ2位狙いのアタックが頻発したが、それを見送って目下のライバルとの争いに集中。ここもベネットがスプリント力の違いを見せて先着。ステージ8位とした。以降、サガン、トレンティンと続いている。このステージを終えて、ベネットとサガンとのポイント差は55点。さらに14点差でトレンティンが追う。残り2ステージを前に、ベネット有利が続く。

メイン集団は競うことなくフィニッシュ ©︎ A.S.O./Pauline Ballet

 そして、個人総合上位陣が待機したメイン集団。終盤はイージーを選択し、競うことなくフィニッシュまでやってきた。もちろん、総合順位とタイム差には変動なし。ログリッチがマイヨジョーヌをキープしている。

 ログリッチはレースを終えて、「決してリカバリーデーだったとは思わない。途中までのボーラ・ハンスグローエのペーシングはハードなものだった」とコメント。ジャージを守り、穏やかに走り切ったことについては、「よい1日だった。明日に備えていかにリカバリーするかを今は考えている」とした。そして、マイヨジョーヌ争いにおける最終決戦となる第20ステージの個人タイムトライアルについて問われると、「コースについては確認済みだ。最後の上りは本当にハード。そこにすべてを注ぎ込むつもりだ」と宣言。視線の先はすでに翌日へと向けられていた。

マイヨジョーヌをキープしたプリモシュ・ログリッチ。大会の覇権をかけて第20ステージの個人タイムトライアルに臨む ©︎ A.S.O./Pauline Ballet

 泣いても笑っても、ツールの覇権は9月19日の第20ステージで決まることになる。最終日前日は、36.2kmの個人タイムトライアルが設定される。平坦基調の前半、徐々に上り基調となる中盤を経て、最後の5.9kmは1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベル・フィーユの頂上めがけてのアタック。平均勾配8.5%だが、断続的に10%超えの急坂が現れ、最後の最後には20%にまで跳ね上がる。山岳タイムトライアルの趣きとなる1日は、ステージ優勝争いはもとより、レースを終えたときにマイヨジョーヌを誰が着るかが最大の焦点。なぜなら、次の第21ステージでは総合争いは展開されずパレード走行となるから。このステージを終えて、個人総合首位の選手がツール2020覇者となることが事実上決定する。

 マイヨジョーヌのポガチャルと、個人総合2位のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)との総合タイム差は57秒。さらに30秒差でミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)が続いている。なお、コースの変化に対して、ログリッチは第19ステージ後の記者会見で「上りの入口でバイク交換することも考えている。コンディションやその他の要素を総合的に判断して、出走直前に決めたいと思う」と明言。タイムトライアルバイクでスタートし、山岳区間からはノーマルバイクにチェンジして上る可能性を示唆。。一方のポガチャルはバイク交換について「秘密」とコメント。運命の1日を前に、2強は対照的な姿勢を見せている。

第19ステージ結果
1 セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チーム サンウェブ) 3時間36分33秒
2 ルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット) +53秒
3 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
4 グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、CCCチーム)
5 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
6 ニキアス・アルント(ドイツ、チーム サンウェブ)
7 ルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +59秒
8 サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) +1分2秒
9 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
10 マッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 83時間29分41秒
2 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +57秒
3 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分27秒
4 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) +3分6秒
5 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) +3分28秒
6 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) +4分19秒
7 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +5分55秒
8 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング) +6分5秒
9 トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +7分24秒
10 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +12分12秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) 319 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 264 pts
3 マッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム) 250 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 74 pts
2 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 72 pts
3 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 67 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 83時間30分38秒
2 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) +3分22秒
3 ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマ・エフデジ) +1時間35分35秒

チーム総合
1 モビスター チーム 250時間35分44秒
2 ユンボ・ヴィスマ +24分36秒
3 バーレーン・マクラーレン +58分47秒


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