Cyclist編集部がインプレッションブリヂストンだからできた通勤用クロスバイク「TB1」 5万円を切る“コスパ系ハイブリッド”

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 ブリヂストンが「通勤用クロスバイク」と銘打つモデル「TB1」が需要を伸ばしている。クロスバイクといわゆるママチャリ(シティバイク)の実用性を組み合わせた、ある種“ハイブリッド”なモデルで、ライトやロック等シティバイクに搭載された便利機能を装備しながら、スポーツバイクとしての走行性にもこだわった。それらを両立しながら価格(税別)は4万6800円。この価格帯に、果たして同社のノウハウとスペックがどう詰め込まれたのか。商品を企画した担当者に開発の裏側を聞くとともに、Cyclist編集部がその“通勤力”を検証した。

ブリヂストンが‟通勤用”と銘打って開発したクロスバイク「TB1」の実力とは? Photo: Kyoko GOTO

クロスバイクビギナーのニーズを形に

 “密”を避けた通勤手段として自転車の需要が高まるなか、クロスバイクを中心とするスポーツバイクにも関心が寄せられている。しかし、初めてスポーツバイクを目にした瞬間、スタンド無し、ロック無し、ライト無しの「ないない尽くし」に戸惑う人も少なくない。

 そんな“スポーツバイクショック”を和らげてくれるクロスバイクがTB1だ。全体の見た目はスタイリッシュなクロスバイク。しかし、よく見るとライトをはじめ、ロックやスタンド、泥除け等、シティバイクに見るアイテムが標準搭載されている。

“通勤・通学自転車”に関するアンケートを元に開発されたTB1(カラーは写真のP.Xスノーホワイトを含む7色を展開) Photo: Kyoko GOTO

 「いままでスポーツバイクに乗っていなかった人たちも通勤用でクロスバイクに興味を持ち始めていますが、そこには既存のスポーツ車では受け止められないニーズもあります」と話すのは、TB1の開発を担当した木村龍一さん。実際、TB1の開発時に同社が行った市場調査では、消費者が通勤・通学用自転車に求めるものとして「走りはスポーツバイク、使い勝手はシティバイク」という双方の“美味しいとこ取り”なニーズが浮かび上がったという。

 さらに「使い勝手の良い機能」とは何かを具体的に挙げてもらうと、スタンドや泥除け等、ほぼシティバイクに搭載されている機能が上位になった。「スポーツバイクがどういうものかを知っているかどうかで、視点の置き所が異なるということに気付きました」という木村さん。そこにブリヂストンとして新たな“通勤用クロスバイク”像を提案するヒントを得た。

実用性と快適性の好バランス

 そんな着想から誕生したTB1は、通勤・通学に求められる要素を詰め込んだクロスバイクとなった。暗さを感知して自動で点灯するライトはハブダイナモ発電式なので電池切れの心配がなく、前後のタイヤには泥除けを装備。チェーンステー上には片持ち式のキックスタンド、さらにシートステーには頑丈なロック(鍵)が完備された。

標準装備された自動点灯ライト「点灯虫」の取り付け位置もスポ―ティーな印象にこだわった Photo: Kyoko GOTO

電池交換不要のハブダイナモが標準装備 Photo: Kyoko GOTO

スペアキー付きのロックが備え付けられている Photo: Kyoko GOTO

快適ながらスポーティーなスタイルを崩さないサドル Photo: Kyoko GOTO

 これらの便利機能が搭載されて、価格(税別)は4万6800円と5万円を切った。ちなみに同社がラインナップするシティバイクは3万円~となる。クロスバイクであるにもかかわらず、それらを少し上回る程度の価格に設定できた理由を木村さんに尋ねたところ、「クロスバイクと言い切るにはスペックがシティバイク寄りなので、正しくはクロスバイクとシティバイクの中間に位置する“ハイブリッド”的な自転車です」という返事が返ってきた。

 たしかにコンポ等はシティバイクに使われるランクのもので、よく見ると部分的には割り切ったスペックでコストを抑えているのがわかる。一方で、快適性を生み出すパーツにはブリヂストンならではのこだわりが見える。

設計は同社のスポーツバイクブランド「アンカー」も手掛けるエンジニアによるもの。見た目だけのスポーティさではない、走行性へのこだわりを感じる Photo: Kyoko GOTO

 設計は同社のスポーツバイクブランド「アンカー」も手掛けるエンジニアによるもの。フレームには同社のクロスバイクと同じアルミ素材を採用している。また7段変速の採用で快適な走行感を生み出し、フロントブレーキにVブレーキを採用することで車体のクイックな操作感を感じられるようにするなど、快適走行を作り出す要所に工夫が施されている。

ギヤは外装7段。快適な走行感を生み出すとともに、メカの操作感にもこだわった Photo: Kyoko GOTO

フロントブレーキはスポーツバイクの操作感を感じられるVブレーキを採用 Photo: Kyoko GOTO

 実際に必要なスペックを取捨選択し、限られた価格設定で最大のパフォーマンスを実現した格好だ。

自転車の楽しさを感じられる走行感

 このTB1のコストパフォーマンスはいかほどのものか。元自転車ショップ店員という経歴をもつCyclist編集部員、石川海璃が売り手と買い手の双方の視点から検証した。

◇         ◇

石川:スポーツバイク専門店で売られているクロスバイクは価格が5万円以上のものがほとんどです。クロスバイクをシティバイクの延長線上の自転車として捉える初心者にとっては価格のハードルは高く、自転車ショップに勤務していたとき「クロスバイクって結構高価なんですね」と多くのお客さんから言われた経験があります。

元ショップ店員の経歴をもつ『Cyclist』編集部の石川海璃。クロスバイクを数多く販売してきた経験と、このコロナ禍で自ら通勤自転車を検討中という双方向の視点でTB1をインプレする Photo: Kyoko GOTO

 まして泥除けやスタンドが初めから付いている製品は多くはなく、実用性を重視して必要なアイテムを揃えるとなると1万~3万円程度の値幅で追加出費を見込まなければならないので、心理的なハードルはさらに上がります。その点「TB1」は5万円を切る価格帯で必要な装備が標準搭載されており、それだけでクロスバイクビギナーに対してハードルを下げてくれるでしょう。

 さらに細部を見ると、ホイールはシティバイクで用いられる27インチ1 3/8タイプで、チューブバルブは英式。スポーツバイク専門店以外の自転車店でも修理作業や空気を入れられるように配慮されています。

タイヤは一般車と同じ27インチ1 3/8タイプ。パンク・ひび割れに強い高耐久タイヤ“ロングレッド”を採用。バルブは英式 Photo: Kyoko GOTO

錆びにくく耐久性に優れるステンガードチェーン Photo: Kyoko GOTO

 またメンテナンス性も良く考えられています。スポーツバイクでは定期的なメンテナンスは当たり前ですが、シティバイクユーザーの感覚ではメンテといっても空気を充填する程度の認識。なので、サビにくいステンガードチェーン、パンク・ひび割れに強い高耐久タイヤ“ロングレッド”、そしてリアには雨に強く、音鳴りも発生しづらいローラーブレーキを搭載するなど、「実用的」という言葉に隠れた「メンテナンスに手間をかけたくない」というニーズにもしっかり対応しています。

サイクリングにも便利なボトルケージ用のダボ穴も完備 Photo: Kyoko GOTO

 肝心な乗り心地ですが、乗ってみると思ったほど前傾がきつくならず、ややシティバイクに近いポジション。重量が15kgほどですが、それを感じさせないほど安定性が高く、走りも軽快な印象です。ギヤが幅広く、ボトルケージ用のダボ穴も着いているので、通勤・通学用途だけでなく週末のライトなサイクリングなど、楽しみの幅を広げるデビュー用バイクとしても最適な1台だと思います。

通勤用にはもちろん、趣味として自転車を楽しむデビュー用バイクとしても最適 Photo: Kyoko GOTO

◇         ◇

 自転車通勤の需要が高まる中、TB1が注目されていることについて前述の木村さんは、「市場が拡大・変化する中で、実用性と楽しさという、それぞれの良さを兼ね備えた自転車を求める新たなニーズが生まれていると感じています」との見方を示す。

 「スポーツバイクとはこういうもの」という定型ではなく、乗り手がどう乗りたいか、どう使ったら便利で快適かを知り尽くしたブリヂストンならではの視点とノウハウが注ぎ込まれたTB1。シティバイクからレース機材まで自社で設計して製造しているブランドとしての強みを柔軟に組み合わせた、ある意味で進化系のハイブリッドモデルといえるだろう。

■TB1(ティービーワン)

税抜価格:46,800円
カラー:E.Xスモークブルー、P.Xスノーホワイト、F.Xピュアレッド、M.Xオーシャンブルー、E.X ブラック、T.X マットグレー(ツヤ消しカラー)、T.Xネオンライム(ツヤ消しカラー)
サイズ(適応身長):420mm(146cm~)、480mm(157cm~)
タイヤサイズ:27×1-3/8
変速段数:7段(リア)

TB1の電動アシストモデル「TB1e」

 「自転車通勤を始めたいけれど、勤務地までの距離が長いし、坂も多くて…」といった人におすすめしたいのが「TB1」の電動アシストモデル「TB1e」(ティービーワン・イー)。TB1の標準装備そのままに、1回の充電で最長130km(※1)というe-BIKE並みの航続距離を維持しながら約13万円とリーズナブルな価格に設定された電動アシストクロスバイクだ。

※1:標準パターン/業界統一基準/エコモードでの走行時

TB1の電動アシストモデル「TB1e」(カラーはT.Xネオンライム)。航続距離130km(※1)で13万円というリーズナブルな価格が注目を集めている Photo: Kyoko GOTO

 TB1eの最大の特徴は、同社独自の両輪駆動(前輪はモーター、後輪はペダルで駆動)による自動充電機能「走りながら充電」。電力消費のスピードを緩和し、結果として1充電あたり最長で130km(※1)の航続距離を可能にした。

前輪のハブに搭載された回生充電機「走りながら自動充電」のモーター。走行中にペダルを止めるか左ブレーキをかけると発電する(※2)。アシストをオフにしていると発電機能もオフになる。(※2:バッテリーが満充電の時、低温や高温時には作動しない) Photo: Kyoko GOTO

 これによって、ちょっとしたロングライドにも安心して乗り出すことができ、また日常使いでも面倒な充電の手間を減らすことにもつながる。

バッテリー残量と、丸の数でアシストモードを示すモニター(現状はパワーモード) Photo: Kyoko GOTO

 平地は「エコ」モードで走れば軽々と走行可能。平地からちょっとした上りへの変化にもスムーズに対応させたい場合は「オート」モードで走るとちょうどよい。

 アシストはこれらに「パワー」を含めて3モードあり、斜度に応じてアシストを切り替え、さらに変速(7段)を調整すれば、よほどの激坂でない限り心拍を上げずにクリアできるだろう。

 通勤に、少し運動の要素を取り入れられるTB1、走力を補いながら快適に走れるTB1e。自身の通勤スタイルに合ったモデルはどちらだろうか?

■TB1e(ティービーワン・イー)

1充電あたりの走行距離目安:パワーモード54km、オートモード90km、エコモード130km(標準パターン/業界統一基準)
カラー:E.X ブラック、T.X マットグレー(ツヤ消しカラー)、M.Xオーシャンブルー、T.Xネオンライム(ツヤ消しカラー)
サイズ(乗車可能最低身長):450mm(151cm~)
タイヤサイズ:27インチ×1-3/8
変速段数:7段(リア)
バッテリー:リチウムイオンバッテリーB400
バッテリー充電時間:約4時間10分
税抜価格:129,800円

(提供:ブリヂストン)

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