ツール・ド・フランス2020 コースプレビュー(第3週)アルプスやヴォージュの山々が選手たちの運命を決める 山岳やTTステージひしめく大会終盤戦

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 フランス南部を進行した第1週、同国中央部へと移って中央山塊やジュラ山脈へと足を踏み入れた第2週、そして迎えるは運命の第3週。ツール・ド・フランス2020の終盤戦は、アルプスの山々をめぐり、さらにはヴォージュ山脈へ寄り道してパリ・シャンゼリゼ到達を目指す。そこに待ち受けるのは、急峻な山を舞台としたタフなステージと個人タイムトライアル。ドラマ満載の戦いは、ついに決着の時を迎える。

急峻な山々をめぐるツール・ド・フランス2020第3週。最後の6ステージで選手たちの運命は決まる(写真は第13ステージから) Photo: Yuzuru SUNADA

●9月15日 第16ステージ ラ・トゥール=デュ=パン~ヴィラール=ド=ラン 164km 山岳

ツール・ド・フランス2020 第16ステージコースレイアウト ©︎A.S.O.

 2020年のツール・ド・フランスの勝者を決める大会第3週。まずはアルプス山脈をめぐる戦いだ。週の初日は脚試しといったところか。44.5km地点に中間スプリントポイントが置かれることから、スタートからしばらくはプロトンの動きが活発になりそう。それでも中盤の2級山岳2つ、コル・ド・ポルト(登坂距離7.4km、平均勾配6.8%)、コート・ド・ルヴェル(6km、8%)で前線はある程度選別がなされるだろう。フィニッシュ前20.5kmで頂上となる1級山岳モンテ・ド・サン=ニジエ=デュ=ムシェロット(11.1km、6.5%)がこの日の勝負どころとなるが、総合上位陣の間でも何らかの揺さぶりが起きても不思議ではない。このステージでタイムを失うようだと、マイヨジョーヌを狙ううえで痛手となりそうだ。

●9月16日 第17ステージ グルノーブル~メリベル,コル・ド・ラ・ローズ 170km 山岳

ツール・ド・フランス2020 第17ステージコースレイアウト ©︎A.S.O.

 今大会のクイーンステージ(最難関)との呼び声高く、フレンチアルプスを代表する上りがマイヨジョーヌ争いの形成を固めていくことになる。45.5km地点に中間スプリントポイントが置かれ、しばし慌ただしい時間を過ごすと、いよいよ主役は総合勢へ。中間地点を過ぎた直後に超級山岳マドレーヌ峠(17.1km、8.4%)の上りへ入る。先を考えると、ここで苦しんでいるわけにはいかない。そして最後に向かうは今大会最高峰、標高2304mの超級山岳コル・ド・ラ・ローズ。21.5kmという登坂距離のみならず、フィニッシュ前約4kmでの勾配の変化は有力選手たちの対応力を試すものに。残り2.5km地点で最大勾配24%、その後も20%前後の激坂が連続。スキー場内のルートを走行することもあって、舗装が変化していることも想定される。どんな展開になろうと、この日強さを発揮した選手の目にはツールの頂がちらつくことだろう。なお、コル・ド・ラ・ローズをトップで上った選手に特別賞「アンリ・デグランジュ賞」が設けられ、超級山岳の2倍分の山岳ポイントが付与される。

●9月17日 第18ステージ メリベル~ラ・ロシュ=シュル=フォロン 175km 山岳

ツール・ド・フランス2020 第18ステージコースレイアウト ©︎A.S.O.

 ツール史に刻まれるであろう1日を終えてもまだ、アルプスの山々は選手たちの力と忍耐を試す。5つのカテゴリー山岳が凝縮した175kmは、獲得標高4000mを超える。前日までの結果を受けて、追う立場の選手たちが捨て身の攻撃に出ることだろう。特に、フィニッシュ前31.5kmで頂上を迎えるモンテ・ドゥ・プラトー・デ・グリエール(6km、11.2%)では、総合上位陣によるノーガードの打ち合いが見られそう。それでも、頂上フィニッシュとは異なり、下ってからの最終局面とあって戦術に何らかの動きがあるかも。上位浮上をもくろむ総合系ライダーにとっては、アシスト陣を含んでの総力戦へと持ち込みたい。かたや、マイヨジョーヌを着る選手は、消耗戦を耐え抜きたい。

●9月18日 第19ステージ ブールカン=ブレス~シャンパニョル 166.5km 平坦

ツール・ド・フランス2020 第19ステージコースレイアウト ©︎A.S.O.

 久々の平坦ステージ。ここまでの山々を耐え忍んできたスプリンターたちに、ようやく出番が回ってくる。中盤以降に細かな上り基調が増えてくるが、スピードマンたちにとっても問題のないレベル。総合系ライダーを抱えるチームとしては、スプリント狙いのチームにコントロールを任せて、エースのケアに集中したいところ。パリ・シャンゼリゼ到達がイメージできるところまできているだけに、クラッシュや思わぬバイクトラブルには細心の注意を払いたい。

●9月19日 第20ステージ リュール~ラ・プロンシュ・デ・ベル・フィーユ 36.2km 個人タイムトライアル

ツール・ド・フランス2020 第20ステージコースレイアウト ©︎A.S.O.

 山岳比重の高い今大会とはいえども、上位陣の争いがもつれるようであれば、勝負を決めるのは独走力となってくる。期間中で唯一の個人タイムトライアルステージが、最終日前日に設けられる。コースは平坦基調の前半から、中盤に入って徐々に上り基調へ。そして、30.3km地点に置かれる予定の第2計測地点を過ぎると、ツールではおなじみになっている1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベル・フィーユの頂上へとアタックする。フィニッシュまでの登坂5.9kmは平均勾配にして8.5%だが、断続的に10%を超える区間があるほか、フィニッシュを目の前に20%まで勾配が跳ね上がる。これだけのタフなコースレイアウトからして、山岳タイムトライアルと見てよいだろう。中盤まではタイムトライアルバイクで走り、ラ・プロンシュ・デ・ベル・フィーユの上り口でノーマルバイクに交換する選手が数多く現れると予想される。そして、このステージを終えてマイヨジョーヌに袖を通した選手が、ツール2020の覇者に事実上決定。最終決戦の地はヴォージュ山脈だ。

●9月20日 第21ステージ マント=ラ=ジョリー~パリ・シャンゼリゼ 122km 平坦

ツール・ド・フランス2020 第21ステージコースレイアウト ©︎A.S.O.

 新型コロナウイルス感染拡大による開催延期、そして多数の厳格のレギュレーションのもと8月29日にニースを出発した大会は、3週間フランス各地をめぐった末に、ついにパリ・シャンゼリゼへと到達する。総距離3484kmの終着地はもちろん、パリ・シャンゼリゼだ。マイヨジョーヌ争いは前日で実質終了。この日は勇者の行進よろしく、3週間を走り抜いた選手たちによるパレード走行がスタートからしばし続く。走りながら4賞選手の記念撮影や、チャンピオンチームのメンバーそろっての“祝勝会”などがコース上で見られるのが例年の流れだ。中間地点を越えたところでシャンゼリゼ通りの周回コースへ。ここからは少しばかりの“レース”がスタート。1周7kmを9周回する間、最後にひと目立ちしたい選手たちのアタックがあり、スプリントを狙うチームの集団コントロールあり、そしてスプリンターチームのトレインによる主導権争いありと、急激に大忙しに。そして最後は、コンコルド広場のコーナーを抜けてフィニッシュめがけてスプリント。スプリンターが憧れ、「世界スプリント選手権」とまで称されるシャンゼリゼでのスピード決戦で大会は幕を閉じる。

9月20日、パリ・シャンゼリゼの総合表彰台で祝福を受ける選手は誰になるだろうか(写真は2019年大会より) Photo: Yuzuru SUNADA

 全21ステージを終えると、シャンゼリゼ通りでは最終日のステージ優勝者にはじまり、個人総合優勝者へのマイヨジョーヌ授与、ポイント賞のマイヨヴェール、山岳賞のマイヨアポワ、新人賞のマイヨブラン、チーム総合、スーパー敢闘賞といった各賞の授賞式が行われる。だが、今年はパンデミック下での大きな不安の中での大会とあり、タイトル戴冠者に限らず、完走したすべての選手、そしてツール・ド・フランスに携わったすべての人々が勝者として称えられることだろう。

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