ツール・ド・フランス2020 第11ステージ大混戦のスプリントはユアンに軍配 2着ゴールのサガンが降着でポイントを大きく失う

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・フランス第11ステージが現地時間9月9日に行われ、スプリントによる優勝争いに。大混戦となった勝負は、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が勝利し、第3ステージ以来となる今大会2勝目を挙げた。多くの選手がメイン集団でレースを終えた1日とあり、個人総合上位陣も問題なくフィニッシュまで。プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がマイヨジョーヌを守っている。

ツール・ド・フランス2020第11ステージ、4人が横並びとなった大接戦のスプリントはカレブ・ユアン(先頭右端)が勝利した Photo: Yuzuru SUNADA

ラダニュは124kmの独り旅

 終始海を見ながら進んだ前日とは対照的に、この日からは針路を東へと向けて内陸部を目指していく。シャトライヨン=プラージュからポアティエまでの167.5kmは、おおむね平坦基調。中盤に4級山岳が控えるが、レースに大きな影響を及ぼすことはなさそうだ。風が吹くようだと事情は変わるが、基本的にはスプリンターチームがコントロールするとみられる。なぜなら、この日を終えると第19ステージまで平坦ステージが設定されていないからだ。何としてもエーススプリンターを勝利に導きたいチームは、このステージに注力してくるとみられる。

 レーススタートを前に、ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)が前日の落車で鎖骨を骨折し、大会から離脱。163人がコースへと繰り出した。

単独逃げを試みたマチュー・ラダニュ Photo: Yuzuru SUNADA

 マチュー・ラダニュ(フランス、グルパマ・エフデジ)のファーストアタックで幕が開けたレースは、集団がそのまま容認したことで1人逃げで進行する。20kmを走ったところで6人がカウンターアタックで飛び出すが、これはプロトンが許さない。しばらくして捕まえると、再びラダニュだけが先行する形で進行していった。

 ラダニュと集団とは、しばし3分前後のタイム差で推移。この間、中盤でやってきた4級山岳、中間スプリントポイントともにラダニュが1位で通過した。

チームメートとともにレースを進めるマイヨジョーヌのプリモシュ・ログリッチ(中央) ©︎ A.S.O./Alex Broadway

 静かに進んでいたメイン集団は、中間スプリントポイントを前に徐々に活発になる。ラダニュから1分45秒遅れて到達すると、ポイント賞首位のサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)が先頭をとって全体の2位通過。発射役のミケル・モルコフ(デンマーク)もライバルの高ポイント確保を阻止するために動き、ベネットに次ぐ3位で通過。4位にはベネットとマイヨヴェールを争うペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が続いた。

 この動きを機に勢いを増したメイン集団は、あっという間に前との差を縮小させる。長く逃げ続けたラダニュの独り旅は124km。抵抗することなく集団へと戻った。

4人がならぶスプリント わずかな差でユアンに軍配

 逃げをキャッチし一団となったプロトンは、各チームが隊列を組んでポジショニングを測りながら進む。なかでも、スプリントを狙うロット・スーダルやドゥクーニンク・クイックステップ、リーダーチームのユンボ・ヴィスマが前方を固めてペースを整える。

各チームが隊列をなして進んでいく ©︎ A.S.O./Alex Broadway

 その状況はフィニッシュまで10kmを切っても変わらなかったが、残り6kmになったところでルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)がアタックしたことで、一気に慌ただしくなる。

 これをすかさずチェックしたのは、カスパー・アスグリーン(デンマーク)とボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)のドゥクーニンク・クイックステップ勢。ペストルベルガーに追いつき3人で残り少ない距離を急ぐ。メイン集団はコフィディスやロット・スーダルがスピードを上げて追撃。

 残り3kmでアスグリーンが牽引を止め、ユンゲルスとペストルベルガーが先頭に立つが、勢いはメイン集団が勝る。残り2kmで2人を捕まえて、いよいよレースはスプリント態勢へと移っていった。

 NTTプロサイクリングやCCCチームが牽引に加わるも、主導権を確保するところまでは至らない。残り1kmからは、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプトのトレインが上がるが、前線を奪うところまではいかず、混戦状態で最終局面を迎えることになった。

 ステージ優勝をかけたスプリントは、残り200mでワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が先頭へ。これをサガン、その逆サイドからはユアンとベネットがチェック。

 そして、その4人が並ぶようにしてフィニッシュラインへとなだれ込む。僅差の勝負は、わずかにハンドルが前に出ていたユアンに軍配が上がった。

激戦を演じたカレブ・ユアン(右)とサム・ベネットが健闘を称え合う Photo: Yuzuru SUNADA

ユアン「パリで今大会3勝目を挙げたい」

 第3ステージ以来の勝利を挙げたユアン。レースを振り返り、「残り2kmで前を完全にふさがれてしまったが、打開しようと試みた。最初の勝利(第3ステージ)以降は落ち着いて過ごせているが、昨日(第10ステージ)の結果を受けて勝ちたいという思いが強かった。チームメートの働きに応えられてよかった」とコメント。ここから先は平坦ステージがしばらくお預けとなるが、「すでに2勝しているので十分という思いもあるが、欲を言えばパリで今大会の3勝目を挙げたい」と述べ、大会最終日の第21ステージにフォーカスすることを宣言した。

ステージ優勝の表彰に臨んだカレブ・ユアン Photo: Yuzuru SUNADA

 大接戦となったステージ優勝争いだが、2着でフィニッシュしたサガンがレース後の裁定で降着となり、メイン集団最後尾の85位に下がった。理由は、スプリントラインをこじ開けようと頭や肩を使ってファンアールトに接触した点。マイヨヴェール争いに必要なポイントを逸する痛手となったが、チームは「常に勝利を目指しているが、リスペクトされる勝ち方であるべきだ」と声明を出し、裁定を受け入れる姿勢を示した。

 これにより、ベネットが繰り上げでステージ2位に。マイヨヴェールをキープし、ポイント賞2位のサガンに対して68点差とした。結果を受けて、「(ステージ優勝はできなかったが)ポイントの損失を最小限に抑えられたことはよかった。どれくらいジャージを守れるか分からないが、日々難しくなっていくレースの中でどうなるかを見ていきたいと思う」と語った。

 おおむねイージーな1日となり、個人総合上位陣には変動なし。ログリッチはマイヨジョーヌを守ったほか、山岳賞のマイヨアポワはブノワ・コヌフロワ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、新人賞のマイヨブランはエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が保持している。そのほか、グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が体調不良、ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ プロチーム)がクラッシュで、それぞれレース中にリタイアを喫している。

マイヨジョーヌを堅守したプリモシュ・ログリッチ ©︎ A.S.O./Alex Broadway

 9月10日に行われる第12ステージはショヴィニーからサラン・コレーズまで、今大会最長の218km。中盤以降が細かなアップダウンの連続となり、場所によっては10%近い急な勾配も潜む。カテゴリー山岳が4つあり、スプリンターには少々ハードか。逃げでチャンスをうかがう選手たちのための1日となる可能性が高い。主催者発表では丘陵ステージにカテゴライズされている。

第11ステージ結果
1 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) 4時間0分1秒
2 サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) +0秒
3 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
4 ブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)
5 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
6 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)
7 ルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット)
8 ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・スタートアップネイション)
9 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
10 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、NTTプロサイクリング)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 46時間15分24秒
2 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) +21秒
3 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) +28秒
4 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +30秒
5 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) +32秒
6 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング)
7 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +44秒
8 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +1分2秒
9 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分15秒
10 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) +1分42秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) 243 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 175 pts
3 ブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト) 157 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ブノワ・コヌフロワ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) 36 pts
2 ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) 31 pts
3 マルク・ヒルシ(スイス、チーム サンウェブ) 26 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) 46時間15分45秒
2 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +23秒
3 エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム) +1分41秒

チーム総合
1 モビスター チーム 138時間53分4秒
2 EFプロサイクリング +5分12秒
3 トレック・セガフレード +5分27秒


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