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ようこそキャンプツーリングの世界へ③ダボ穴なしアルミロードでもリアキャリアを諦めないスーリー「ツアーラック」 

by 大城実結 / Miyu OSHIRO
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 ダボ穴は自転車フレームにキャリアを取り付ける際に必要な機構ですが、競技志向のロードバイクには付いていないものも多くあります。しかし、旅へ行ってみたくなる衝動はいつ何時やってくるかわかりません。今回は筆者も長年お世話になっていた、ダボ穴なしのロードバイクでも取り付けられるキャリア、THULE(スーリー)の「ツアーラック」を紹介します。伝統的なスタイルで自転車旅をしてみたいロードバイクユーザー、必見です!

ダボ穴のない自転車にも取り付けできるスーリーの「ツアーラック」を紹介! Photo: Miyu Oshiro

あ、私のロードバイクにダボ穴ないじゃん…

 初めてロードバイクを手にした夏、自転車仲間からキャンプツーリングのお誘いがありました。それも1週間に及ぶ山陰地方横断ライド。北九州から出雲を目指すという壮大な旅で、話を聞くだけで胸の高鳴りは最高潮になったものです。しかし次の言葉で、一気に地の底まで突き落とされたのでした。

 「あ、そっか、君が乗ってるのはダボ穴なしのロードなんだね。リアキャリア付けられないのなら、ちょっと厳しいかな。残念だけど」

競技前提で組んだバイク、まさか今後ツーリングバイクへ転身を余儀なくされるとは… Photo: Miyu Oshiro

 …さて、読者のみなさんこんにちは。筆者こと自転車ライターの大城実結です。

 筆者が自転車に乗り始めたのは、今から約10年前。バイクパッキングなど日本にまだ上陸していなかった時代のお話です。当時、旅スタイルの主流といえばサイドバッグで荷物を運ぶパニアスタイル。サイドバッグを取り付けるためのキャリアをバイクに設置せねばならず、バイクには固定するためのダボ穴が必要とされていました。

 が、筆者が所持していたのはアルミのエントリーロード。当時は競技志向で自転車に乗っていたため、ダボ穴はついていませんでした。

 「しかし…しかし、どうしてもキャンプツーリングへ行きたい。大型のサドルバッグという手段がない中で、どうすれば壮大な旅へ出ることができるんじゃ」

ロードバイクでの荷物運搬、どんな方法がある?

 テント、シュラフ、着替え2~3セットに洗面用品、最低限の工具、火器…キャンプに必要なものを書き出し、改めてレース向けロードバイクでのキャンプツーリング計画を考えてみることに。

 ちなみに、筆者のバイクフレームはアルミ製、フロントフォークのみカーボンというタイプ。それを前提に運搬方法を考えています。フルカーボンユーザーは残念ながら…フレームの強度を考えると今回の案はすべて難しいかもしれません。

①登山用ザックへ全てを詰める

 必要な道具を全て大型の登山用バックパックへ積み込むという方法です。自転車仲間からの情報によると「あり得なくはない」とのことですが、真夏におよそ10kgもの荷物を1週間担ぎ続けるというのは考えたくもない地獄の日々となることでしょう…。

<メリット>
・どんなバイクでも問題なく荷物を運べる

<デメリット>
・とにかく体への負担が大きすぎる
・かっこよさはない
・おそらく地獄の日々が始まる

②シートポスト固定型のキャリア

 次に浮かんだのが「シートポストへ固定するタイプのキャリア」を使用する方法。同じくダボ穴なしのロードバイクに乗っている知人が採用していたため、詳しく使い勝手を聞いてみることに。

<メリット>
・シートステーがカーボン製でも設置可能
・出先でも気軽に設置できる

<デメリット>
・シートポスト一点固定なので、左右への振れが大きい。
・耐荷重に制限がある。

 一点固定ということへの不安と、自身のバイクはシートポストもアルミ製だったため、より良い案を探してみました。

③シートステー固定型のキャリア

 自転車ショップへ駆け込んで見つけた「シートステーへ固定するタイプのキャリア」。リアとフロントどちらもアルミ製であれば前後設置可能でしたが、フロントフォークはカーボン製だったため、リアのみ検討してみました。

<メリット>
・シートステー4個所にベルトを締め付ける形で固定するため、左右に振れることはない
・耐荷重も心強い(〜10kg)

<デメリット>
・締め付けの強度によっては、シートステーへの負担が心配

 ③以上に良い案はないだろうと、シートステー固定型のキャリアことスーリー「ツアーラック」を導入した筆者。あの日から8年近くお世話になるとは、当時は知るよしもありませんでした。そう、これが正解だったようなのです…!

ツアーラックとはどんな製品なの?

 スーリーは、自転車をはじめクルマやウィンタースポーツといったアクティビティ全般のキャリアを生み出しているメーカーです。

 筆者が手にしたツアーラックは、シートポストの4個所をベルトで締め付けることで固定するため、ダボ穴が付いていないロードバイクをはじめ、車種を問わずパニアスタイルが可能となります。また1製品でフロント・リアどちらにも対応できるのも嬉しいポイントです。

8年連れ添い分かったことアレコレ

 そうしてツアーラックとの長い旅路がはじまりました。細かい旅は数知れず、1週間ほどに及ぶキャンプツーリングを2回通じて知った使い勝手や使い方のコツ、気をつけるべきポイントが明らかとなりました。

バイクおよびキャリアにかなり無理をさせている図。ごめんねえ Photo: Miyu Oshiro

ずり落ち防止には古いチューブが大活躍!

 耐荷重すれすれの重量物を積みながら走り続けていると、いつの間にかシュルシュル…と、タイヤが擦れる音が聞こえてきます。実はどれだけキツくバックルを締め付けても、ベルトでの締め付け強度には限界があるようなのです。

 製品説明にはラバー加工グリップの記載がありますが、ある一定の重量を超えるとその効果は薄れ、ずり落ちの可能性が高くなってしまいます。

 そんなときに有効なのが、数cmにカットした使用済みチューブ!

 キャリアを固定する際に、予めベルトを巻き付ける個所へカットしたチューブを挟み込み摩擦抵抗を上げることで、ずり落ちを見事防止することができました。これはツアーラックを使用しはじめて2年後ほどで編み出した裏技だったのですが、最初からできればもっと快適だっただろう…と悔しく思っています。

シートステーへの傷防止策あれこれ

 シートステーへ直接巻き付けるため、どうしても細かい傷が付いてしまうことは避けられません。筆者は「傷も思い出」と大味な思想の持ち主ですが、もちろん少しの傷も許したくない方もいらっしゃるでしょう。

 そこで解決策としてのサランラップです。予めシートステーへラップをひと巻きし、ずり落ち防止のための古いチューブを上から巻き付けることで、より安心で強固なキャリアへ進化します。同一製品を愛用する几帳面な知人は、この方法で意気揚々と旅をしていました。

脱着には慣れが必要!

 ベルトを固定するバックルにはスーリー独自の機構が採用されています。確実に固定するために少々複雑な構造となっており、慣れるまで脱着には時間を要してしまいました。ここで言えるのは、

・事前に脱着の練習をしていこう

・手元が明るい状態の場所で脱着しよう(夜のキャンプ場では難しい)

 という2点。スムーズな脱着で、旅が計画通り進むことを祈ってます。

ロードユーザーの“旅デビュー”にぴったり!

 「レースやトレーニングに少し飽きてしまったし、ちょっとした旅に挑戦してみたいな。でもダボ穴ないし、ツーリングバイクを組むのもな〜」

奄美大島にて。荷物はその日の宿に置いて身軽にライド! Photo: Miyu Oshiro

 という声を最近よく耳にするようになりました。今であればラインナップ豊富の大型サドルバッグを気軽に勧められますが、やっぱり一度は試していただきたいのがパニアスタイル! 気軽に重いものをひょいひょい乗せ、「重いなあ」とぼやきながらもゆっくり進む楽しさもまたあはれなり、です。

 旅専用の自転車を用立てるためにお金をかける、というのもナンセンス。もっとハードルは低くていい、と筆者は常々考えています。新車を組む前に、まずは手持ちの機材に+αのアイテムで新世界に飛び込んでみる、というのもなかなか乙なものですよ。

大城 実結(おおしろ みゆう)

自転車や農業について執筆するフリーライター。旅やキャンプ、離島、風呂をこよなく愛する。念願のツーリングバイクがやってくることとなり舞い上がっている
Twitter:@moshiroa1

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