バイクパッカー2020☆国境越えてタイ、ミャンマー、ラオス<3>ペダルを回し山越え&山越えのミステリー旅 旅が終われば「きつかった坂」に大笑い

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 先日、思い切って右膝半月板損傷の内視鏡手術を受けたトミーです。大会やイベントがないことをチャンスだと捉えて、焦らずに治そうと思います。さて、男二人・ノープランのミステリー周遊旅の第3回は、6日目から9日目(タイ・トゥンチャン 〜 ナーン 〜 チェンムアン 〜 パヤオ 〜 チェンライ)をお届けします。

きれいな国道を走る。タイ北部は寒暖差が大きく、朝方は肌寒かった Photo: Takeshi TOMIOKA

Day6:ユニーク日泰交流

 (第2回から続く)嵐で停電したトゥンチャンの町で、補給ジェルの夕食を覚悟したぼくたちを救ってくれたのは、2.5km先でぽつんと一軒だけ営業していたセブンイレブンだった。遠くにコンビニの明かりが見えたとき、思わず「開いててよかった!(※1)」と叫んでしまった。ありがとう、セブンイレブン!

※1: セブンイレブンが1980年代に使っていたキャッチコピー

 旅の折返しとなった6日目は、きれいな国道を順調に走り、午後2時頃にタイ北部の街ナーンに到着した。道中にドラマはなく、タイのスタバ的なCafé Amazonで休憩し、ランチにクイッティアオ(米麺)を食べただけ。宿は昼食時にAgodaで予約しておいた。大きな街に到着する場合は、事前に場所がわかっていると、ルートのロスが少なくなるからね。

セブンイレブンの夕食。喜びと空腹でつい買い過ぎた Photo: Takeshi TOMIOKA
国道沿いのおしゃれなCafé Amazon Photo: Takeshi TOMIOKA

 夕食は、宿のオーナーに教えてもらったナーン料理のレストランまで、借りたママチャリで出掛けた。途中で、自転車に貼ってあった千葉県警の防犯登録ステッカーに気づき、「なんでナーンにあるの?」と二人で大笑いした。ぼくらも千葉県出身なのだ(笑)。一体どんな旅をして、ナーンに辿り着いたのだろう? ちょっと興味が湧いたので調べてみたら、日本の地方自治体等がアジア・アフリカの途上国に、放置自転車を何十万台も無償提供していることがわかった。日本で撤去されたママチャリの半数近くが、海外で第2の輪生を送っているとはまったく知らなかったなぁ。(※2)

※2: 出所 国土交通省「駅周辺における放置自転車等の実態調査の集計結果」 、公益財団法人自転車駐車場整備センター「海外供与事業について」他

 さて、ナーン料理のメインディッシュは、カッツさんセレクトで「プラーニン」という淡水魚を揚げた料理をチョイス。ピリ辛の香草&野菜とまったく臭みのないホクホクの白身の相性がすばらしく、ビールとタイ米がどんどん進んだ。

日本との縁が深かった絶品のプラーニン(ティラピア)料理 Photo: Takeshi TOMIOKA

 帰国後に調べたら、「プラーニン」はティラピアのタイ名称で、「プラー」が魚、「ニン」が昭和(裕仁)天皇の「仁」に由来することがわかった。魚類学者でもあった天皇陛下が、1964年にタイを訪問した際、当時の農村の食料難を聞いて、タンパク源として繁殖力の強いティラピアを寄贈し、その後養殖によってタイ全土に普及して大衆魚となった、という歴史をはじめて知った。(※3)

※3: 出所「タイが愛する陛下の魚 半世紀で養殖拡大、今や国民食」 朝日新聞デジタル他

 コースにはドラマがなかったけれど、ガイドブックにも教科書にも書いていないユニークな日泰交流を3つも経験した1日であった。

6日目の走行履歴

走行距離:89km(トゥンチャン 〜 ナーン)
獲得標高:589m

Day7:地獄から小さな町へ

「地獄」のジオラマ。悪いことをしてはいけません Photo: Takeshi TOMIOKA

 朝食前に散歩に行った近くのお寺が、「ランナーのモナ・リザ」と呼ばれている有名な壁画のあるワット・プーミンだった。個人的には、本堂の隣にあった、地獄絵図ならぬ地獄ジオラマのシュールな光景の方に目を奪われた。いや〜昨日の夜に見なくてよかった(笑)。

 この日は、昼食休憩を取らずに、獲得標高1600m余りの山岳ステージ約70kmを一気に走り切った。長い下りでは、未体験の最高速度77.8kmが出た。ひょえ〜!タイの坂、恐るべし。

坂で小休止。ORTLIEBのフロントバッグは、ハンドルとの間に隙間があり、フラットポジションが取れるのが最大の利点 Photo: Takeshi TOMIOKA

 チェンムアンという小さな町に着いたのは午後1時過ぎ。次の町が80km先だったので、早々にバイクを降りた。Googleマップで宿を探し、飛び込みでチェックイン。広い庭がある、感じのよいホステルだった。一泊900円(朝食付)也。

 洗濯を済ませ、冷たいシャワーを浴びてから、遅い昼食に出掛けた。足元は快適なサンダル(※4)だ。実は荷物の中で一番嵩張るのがサンダルなんだけど、バイクシューズを脱ぐ解放感のために、サドルバッグの上に括り付けて持ち運んでいた。

※4: 「軽さ」と「薄さ」を兼ね備えたEV素材の超軽量(150g)サンダルを携行した「VIVA ISLAND SANDALS」 https://amzn.to/3hX5V5l

夕方のきれいな光で写真を撮った。旅のカメラはiPhoneとGRだ Photo: Takeshi TOMIOKA

 昼食から宿に戻ると、バイクウェアがもうすっかり乾いていた。庭に差す夕方の光がとてもきれいで、小さな町の何でもない日常の光景が、美しいアートに見えた。暫し写真を撮った。

 そうそう、1週間で真っ黒に日焼けしたカッツさんは、ついにお店の人から自然にタイ語のメニューを渡されるようになりました(笑)。

夜8時のチェンムアンのメインストリート Photo: Takeshi TOMIOKA

7日目の走行履歴

走行距離:68km(ナーン 〜 チェンムアン)
獲得標高1,609m

Day8:あのときのパヤオ

 朝7時、スクーターに乗ったおばちゃんがどこからかやってきて、朝食を届けてくれた。カオマンガイ(鶏肉ライス)だった。シンプルな蒸し鶏に、スパイスの効いた自家製のタレがよく合って、実にうまかった。

 さあ8時に出発というタイミングで、隣の部屋に泊まっていた陽気なオヤジが、「早い出発だね。どんな自転車で走ってるんだい?」と話しかけてきた。スイスからやってきたバイクパッカーだった。こんな小さな町で同宿だったという偶然に、お互いにハイテンションで、「坂きつ過ぎだよな、アハハ」と盛り上がった。一緒にビールを飲みながら、もっと話がしたかったなぁ。

オープンエアの部屋で朝食。窓ガラスは嵐で割れてしまったそうだ(笑) Photo: Takeshi TOMIOKA
陽気なスイス人バックパッカーと記念撮影 Photo: Takeshi TOMIOKA
チェンムアンの町外れを走る Photo: Takeshi TOMIOKA

 パヤオを目指したこの日もまた、山越えのルートを走った。斜度のきつい坂では、タイヤが空転して上れなくなったトラックが、ズルズルと滑り落ちてくる“まさか(坂)”の光景に、「どんだけ、きついんだよ!」と一人でつっこんでしまった(笑)。

 苦手な坂では、走り方や補給方法を色々と工夫した。その中で意外にも大きな効果を感じたのが「ガム」。喉の乾きが減るだけでなく、明らかに走りが楽になった。不思議に思って帰国後に調べていたら、「ガム咀嚼により膝伸展、屈曲の筋力が増加する」という主旨の興味深い論文に行き当たった(※5)。ご興味がある方、ぜひ一度お試しあれ。

※5:「ガム咀嚼が膝関節の伸展および屈曲時の筋力に与える影響」東京歯科大学 H23卒業論文
http://hdl.handle.net/10130/2967

坂で滑り落ちてきたピックアップトラック Photo: Takeshi TOMIOKA

 4年前のバイク旅でも訪れたパヤオに到着したのは、午後1時少し前。当時、Facebookにアップした写真に、「パヤオに数日いたことがあります!!普通行かない所ですよね!」とコメントしてくれた旅人とは、それをきっかけによく話すようになった。ニッチなつながりが見つかると、人と人の距離感はぐっと近くなるのだ。それがカッツさんだった。

 この夜、あのときのパヤオで一緒に飲んだビールは、また格別にうまかった。旅はいよいよあと1日だ。

8日目の走行履歴

走行距離:84km(チェンムアン 〜 パヤオ)
獲得標高882m

Day9:チェンライ帰還

 最終日の朝は、パヤオの長距離バスターミナルで、早朝から営業していた食堂で、おじさんお任せの朝食(チキンのココナッツ煮、煮卵、ライス)を食べた。都会へ旅立つ人をそっと応援しているような、とってもやさしい味だった。ごちそうさま。

長距離バスターミナルで早朝から営業していた食堂のおじさん Photo: Takeshi TOMIOKA
最後のカフェ休憩。チェンライ県はコーヒーの産地で、とても美味しい Photo: Takeshi TOMIOKA

 チェンライへの帰り道は、まったく坂のない国道をできるだけのんびりと走った。地元のカフェ、ユニークなお寺、餅菓子の露店など、気の向くままに寄り道をして、午後3時過ぎに無事チェンライに帰り着いた。

チェンライのワット・ロンクン(ホワイト・テンプル) Photo: Takeshi TOMIOKA

 チェンライを起点にした今回のミステリー周遊旅は、9日間で計649kmを走り(& 140kmメコンを移動し)、8321mを上り、タイ・ミャンマー・ラオスの国境を4度超えた。もし、最初からこんなに上ることがわかっていたら、怖気づいて行けなかっただろうなぁ(笑)。

 旅が終わった夜、カッツさんと話したのは、きつかった坂のことばかり。走っている時は吐きそうなほど苦しかったのに、思い出す時はずっと大笑いだった。後から振り返ったときに、「楽」が「楽しかった」とは限らないのは、自転車も、仕事も、人生も同じかもしれないね!

9日目の走行履歴

走行距離:94km(パヤオ 〜 チェンライ)
獲得標高:179m

9日間のバイクパッカー旅を終えてチェンライに戻る Photo: Takeshi TOMIOKA

バイクパッカー2020 走行履歴合計

総走行距離:649km + スローボート移動140km
総獲得標高:8,321m
訪れた国:タイ、ミャンマー、ラオス
越えた国境:4回

Day1〜Day9走行ルート図(Googleマップより)

 Cyclist読者のみなさまの健康と、また自由に旅ができる世界が戻ることを祈りながら、今年の旅日記を終えます。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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