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教えて! 安井先生<8>ロードバイクの携帯工具などの携行品はどう選んでいますか?

by 安井行生 / Yukio YASUI
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今回のお題

Q:先日、走りに行った先で、携帯用工具では対応できない機材トラブルに見舞われてしまい、閉口しました。これを機に、携行品を見直そうと思っています。安井さんは携行品をどのように選んでいますか?

 僕の携行品はかなり変わってると思います。多くのサイクリストが使用している携帯工具(十徳ナイフ的なあれ)もサドルバッグも使ってないんです。

 そこにはちょっとした理由があります。参考になるかどうかはわかりませんが、お答えしましょう。

L字型工具を使うのは作業性を考えて

 まず工具ですが、いわゆる携帯工具は使いません。理由は作業性です。僕は結構頻繁にバイクをいじります。その日の体調、フレームの剛性、サドルのへたりなどによって、出先でサドルハイトを数ミリ変えたり、ハンドルの角度をわずかに調整したりするんです。

 だから携帯工具より作業性に優れるL字型の六角レンチのセット(もちろん軽量なショートタイプ)を携行してます。持ち歩いているのは1.5~6mmのセットですが、8mmのボルトが使われているバイクに乗るときは8mmを加えます。

 出先で自転車をイジることが少ない人は、利便性が高く「コレ一つ持っておけばとりあえずはOK」な十徳ナイフタイプの携帯工具がいいと思います。

サドルやハンドルの調整は携帯工具より作業性に優れるL字型の六角レンチで行っています Photo: Yukio YASUI

万が一への備え

 ドライバーはほとんど使わないので、簡易的なもの。チェーンカッターも使用頻度がかなり低いので、作業性より携行性重視。というわけで、携帯工具を分解してチェーンカッター部分だけを持ってます。

 チェーンのリンクとコネクトピンは、10速用と11速用を数個ずつ。ここ10年くらい走っているときにチェーンが切れたことはありませんが、山の中でチェーンが切れるとシャレになりませんし、お守り代わりという感じですね。

チェーンカッターを携行性重視。リンクとコネクトピンもお守り代わりに持っています Photo: Yukio YASUI

 使っている機材の専用工具も必要です。専用工具部分がトラブると復帰できません。僕は、タイムのヘッド調整用工具(タイムで走る場合)、マヴィックのハブの玉当たり調整工具(マヴィックを使う場合)、WRのシートポストのヤグラ角度調整用のレンチなどを入れてます(出先でサドル角度を調整することがあるため)。

装備に応じて必要な工具を持っていきます。写真はMAVICのハブの玉当たり調整工具です Photo: Yukio YASUI

 カンパニョーロのコンポなど、トルクスボルトを使っているパーツも増えているので、使用機材に合わせてT25やT30のトルクスを追加することもあります。

 自分のバイクをじっくりと観察して、「もしここが出先でトラブったら…」と想像して、それに合わせた工具を持つことが必要です。さすがにカンパのクランクボルト用の工具(10mmの六角レンチ+エクステンダー)までは必要ないと思いますが。

 あとは5mmのコラムスペーサー。これは、プレシャープラグが浮いてしまってヘッドにガタが出たときでも、ヘッドベアリングに与圧をかけられるようにするためです。プレッシャープラグは、プラハンなどがないと再装着が難しいケースが多々あります。スペーサーがあれば、とりあえずは加圧して安全に帰ってこられます。

ヘッドにガタが出た場合に備えて携行している5mmのコラムスペーサー Photo: Yukio YASUI

パンクに備える

 スペアチューブは長期間ツールボトルに入れっぱなしになるので、あえて耐久性の高そうな分厚いものを選んでます。スペアチューブのバルブはできるだけ長いものを。そうすればディープリムを使っているときでも対応できますから。

 一応、複数回パンクしたときのために簡易的なパッチ数枚と、バーストしたときのためにタイヤブート数枚、延長バルブ、バルブコアも2つほど入れてます。延長バルブを緩めるときに間違ってコア自体を緩めてしまい、フッ飛ばした経験があるからです(ロードタイヤの高圧で飛んで行ったコアを山の中で見つけるのはおそらく不可能です)。延長バルブは長めのものを。とりあえずは「長は短を兼ねる」ものですから。

 もちろんタイヤレバーも入れてます。チューブラーで走るときは、スペアタイヤを加えます。

パンクに備えてイージーパッチを複数枚。バルブコアや延長バルブも携帯しています Photo: Yukio YASUI

 聖人ぶるつもりはありませんが、困っている他人を助けられるという観点で入れているものもあります。

 例えば簡易パッチやタイヤブートを数枚持っておけば、パンクしている他人の修理をしてあげることができます。チェーンのコネクトピンやリンクの種類をたくさん入れているのは、チェーントラブルで困っているサイクリストが10速でも11速でも助けられるという理由もあります。長めの延長バルブを入れているのは、ディープリムを使っているサイクリストがパンクしたときを考えてのことでもあるんです。

収納はツールボトルとポケットに

 よく使うもの(六角レンチ)は少しの現金と一緒に背中のポケットに、それ以外のものはツールボトルに入れてます。できるだけ体を軽くしたいからです。

 サドルバッグは使っていません。理由は、僕は複数台を所有しているので、いちいちサドルバッグを付け替えるのが面倒であること。ツールボトルならバイクを変えても入れ替えるだけですから。

 そして、重心をできるだけ下げるため。さらに、できるだけロードバイクの美しいシルエットを壊したくないという理由もあります。

 特に僕は小柄なのでシートポストの出代が短く、サドルバッグを付けることで見た目が残念なことになってしまいやすいんです。付けるならツールボトルのほうがまし。ダブルボトルじゃないと脱水になりそうなときは考えますが。なので、携帯ポンプはツールボトルに入るサイズであることが大前提です。

 これらの携行品ですが、トラブルがないと何年間も使わないということが多々あります。意外な落とし穴が経年劣化です。スペアチューブはもちろん、携帯ポンプのパッキンや、パッチ・タイヤブートの接着剤、バルブコアのシールなど、いざ使おうと思ったら劣化してボロボロになっていた、なんて笑えません。工具やコネクトピンのサビも危険です。定期的にチェックしたほうがいいです。

とある日の携行品のすべて。サドルバッグは使わずツールボトルやポケットに収納 Photo: Yukio YASUI

 しかし、この僕の携行品や携行方法が正解というわけではありません。使用機材、走るフィールド、距離、走り方、自転車歴、整備能力、トラブルの多少、好みなどによって変わります。メンテナンスを自分でやっているかショップに任せているかでも携帯工具の選択は変わってくるでしょう。

 自転車歴を重ねるにしたがって、また一つ必要なものを加え、また一つ不必要なものを削ぎ…と、携行品が決まっていくものです。質問者さんのトラブルは、“自分だけの携行品セット”を完成させるためのワンステップになったというわけですね。

インプレッションライダー・安井行生(やすい・ゆきお)

 大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。ひょんなことから自転車ライターへと転身し、現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた自転車大好き人間。

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